毎年この頃になると、手帳特集の雑誌やら書籍やら、新しい手帳の出版がなされる。
<来年こそ、○○手帳で夢をつかもう>とか<できるビジネスマンの○○手帳術>とかいうやつである。
私は中学の頃から手帳にはこだわりがあった。
というより、覚えることに自信がなかったので、大事なことは手帳にその場でメモするようにしていただけなのだが。
ちょうど校内新聞を作る委員会などに入っていたこともあり、メモをする習慣もあったのかも知れない。(新聞記者のようなしっかりしたものではもちろんないが)
さて今年の7月に職場を移ったのを機に、樋口健夫氏の「A5ノート」というやり方に切り替えた。
これまでは、13年間ほど、バイブルサイズのシステム手帳だったのだが、背広の内ポケットに入れるのももう限界だなと思い、また、色々書くこと、書きたいことも増え、客先に行って書くためのノートとスケジュールや夢の実現に向けたチェックリストなどを別のものではなく一つの自分の生活の中で見ていきたいという思いがあって、行き着いた先が「A5ノート」である。
ということで、市販の台紙に気に入ったものがなければどんどん自分で作っていこう。
(100均のA5ルーズリーフはさすがにやめたほうが良い・・・インキがにじむし滑りが良すぎて安定的に文字が書けない)
少しだけ、手間がかかった。
市販のA5のルーズリーフは良いのだが、A4の資料を綴じ込むときにどうしたら良いか、という点である。
これには文具店で見つけたゲージパンチ(CARL GP-130)という穴あけ機(手でバツン、バツンと何回か穴を開ける機械)があり、それを活用している。(樋口氏の書籍にも紹介されている。)
それと、日々の仕事のタイムスケジュールを記録するための適当なフォーマットがなかったという点だ。
年度の途中で切り替えたこともあり、自分の求める条件の書式のものが市販されていない。
やむなく自分で手書きのデッサンをし、それをパソコンで作成し、白地のルーズリーフに印刷するというやり方をとった。
年末になれば自分の意に即したようなものも売りに出るだろうと思いつつ。(紙の質・・・書きやすさという点では、日本能率協会のBindexというシリーズがいい。つるつるしたきれいなルーズリーフではシャーペンが滑りすぎてという難点がある反面、Bindexはシャーペンでもしっかり受け止めてくれる安定感があるので)
ということで年末近くになり、文房具点をうろうろしていたら、やはり来年の月間スケジュールやらダイアリーやらというのが出ていた。
これらはシステム手帳用だから、もし使うとしたら、上記のゲージパンチでルーズリーフ用の20穴を開けなければならず、そういう割り切りが必要ではあるが。
ということで、月間スケジュールは市販のものがぴったしあったので良かったのだが、週間スケジュール用のものは帯に短し襷に長しで、ちょっと目的には合わない。
しょうがない。
市販のものがなければ自前で作れ、だ。
そういうことは今まではあまりしてこなかったことだが、必要とあれば、自分のイメージとパソコンとプリンタだけでできるわけだから、オリジナルなものを作ればよい。
バイブルサイズのシステム手帳のリーフと違って、A5サイズなら通常のプリンタで十分対応できる。
紙質だけ、少し引っかかるが、そこは割り切りだ。
バカの一つ覚え
勝間和代という文字を見ただけで反応するようになってきた。
以前、ドラッカーという文字だけで本を買っていた時期と同じ病のようである。
またまた「読みもしないのに・・・」という妻の声が聞こえてくるような気がする。
前回購入した『読書進化論』(小学館新書)はさらりと読めて面白かった。
その前の『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は勉強になるが、ちょっと力を入れて読まねばならず、パラパラっとやって初めて見るキーワードはしっかり読んだが、後のノウハウのところは今のところ放置状態である。
どれも、特段すごいことが書いてあるわけではないが、その一歩をするかどうかでこんなに違ってくるんだよ、ということを本人の体験をベースにして書いており、しかも今も実践してどんどんバージョンアップ(本人が)しているところがすごい。
マインドマップなど、今は色んな「クリエイティブな」と言われる人たちが使っていて、本も沢山出ており、ポピュラーになっているが、私も見つけたのだけは随分早く、もう8年ほど前、東京の八重洲ブックセンターでムック形式のものを見つけた。これはすごい技術だ、と当時の職場の同僚などに話したものだが、あまり相手にはされず、そのまま細々と自分だけでやったりしていたが、今ではソフトなども含めて使いこなして自分のものにしている人が大勢いる。
ちゃんと勉強していればなあと思ったりしている。
そういうことどもを、この勝間和代という人は一つ一つ自己投資をきっちりやって、自分のものとして定着させているところがすごい。
ボイスレコーダーなどのデジタル機器もそうだろうし、フォトリーディングなどの知識習得手法もそうだ。
現実には、一般のサラリーマンにとっては、自己投資などと言っても、先立つものがないとなかなかできないものだ。そういうネックや不安を跳ね返して実践し、子供を三人育てながら自分の時間も持ち、睡眠を削るわけでもない状態でかつ所得も増やし、自分を高めている点が素晴らしいと思う。
そんなわけで、そろそろこの人の「ノウハウ」に関する勉強はもういいかな、と思いつつ、昨日、こういう雑誌を購入してしまった。(また積読かも知れないが・・・)

アスキー・メディアワークス発行の「ビジネスアスキー 2008年12月号」である。
アフィリエイトをやっていないので、画像をクリックしてもアマゾンの購入用ホームページにはいかない。ご容赦を。
なお勝間和代さんのノウハウを簡単に知ろうと思う場合は週間ダイヤモンドの今年の2月何日かの号に特集記事が載っており、大きめの紀伊国屋書店などにはバックナンバーが置いてあるので、求められたらよろしいかと思う。
マッサージの効用
初めてマッサージに行ったのは、上の子が幼稚園の年中のとき。
運動会が終わって駆け寄ってきた我が子を抱き上げたときに、腰がぎくっときた。
33歳だったろうか。
そのときに整体にかかったのが最初だった。
それから、癖になったわけではなかろうが、何度かぎっくり腰にはなった。
首が回らなくなって針を打ってもらったことやその他、その後のマッサージ通いは数知れず。
ぎっくり腰には注射が効くということもその後わかった。
腰痛や肩こりその他で色々通ううちに、マッサージが単にこりほぐしだけではなく、ストレス解消にもなることを経験から知った。
本当はスポーツや趣味でストレスを発散するのがいいのだろうけど、仕事と食事・風呂などもそこそこにして、日によっては睡眠もまともにとれないような状況の中では、とてもスポーツや趣味などでストレスの発散などできない。
というわけで、肩こり腰痛眼精疲労を和らげるついでに、ストレス解消にもつながるマッサージを多様してきたのがここ4~5年のことであった。
色んなマッサージにかかったが、最近のお気に入りは中国の遼寧省から来ている人のそれである。
さすが本場のプロ。
一発でなんでも直る、わけはないが、しんどい部位を言うと、それなりに楽にしてくれる。
それが目であっても腕のしびれであっても、ある程度楽にしてくれる。
しかも施術中はほとんど夢心地である。
ストレスも一緒に軽~くなっている。
つかのまの休養のひとときだ。
そんなこんなでその中国マッサージにはかれこれ2年ほど毎週のように通っていたが、最近は以前ほどストレスが溜まっていないのか、2週間に1回になり、3週間に1回に減ってきた。
ともかく、マッサージは、単にこりをほぐすだけではない、日常のストレスからの解放にも効用があるようである。但し、上手な人に当たれば、であるが。
ハチのムサシ
今日は銀行業務検定試験の「営業店管理Ⅰ」という試験を受験した。
金融機関の支店長や次長といったような人としての適性を問う試験である。
180分、記述。
目いっぱい。
ハチのムサシ状態であった。
難しく、かつ時間もなかった。
サブプライムローン問題に関する基本的な常識を問う問題やジェンダーハラスメントなど、一般人でも知っている人ならラクラク答えられる問題もあった。
しかしこだわり過ぎたのだろうか、金融検査マニュアルの中身を一生懸命に勉強して、一般常識がおそろかになって、トンチンカンな答えになってしまった。
当然想定の範囲内であるべきであったが、抜かった。勉強不足を否めない。
やはり、全く違う業界に24年もいて、金融業界にきてまだ4ヶ月も経っていない人間が受けるべき試験ではなかった。
ということは最初からわかって挑戦したのである。
だから勉強しがいもあった。
また地域の中小金融業の支店長が知っておくべき知識やノウハウの範囲も大体わかって、大変楽しかったというのが正直なところだ。
脳みそ全開で疲れたが、楽しく受験できた。
会社の中での格付けを得るために、あと2ポイント必要である。
この試験がだめだったら、次は1ポイントの試験を、来年6月までの間に2科目取れば良い。
なんとかなるだろう。
これでとりあえず受験生活は当面休止。
長い2ヶ月だった。
友人との約束も果たせていなかったことがあるので、勉強は少し一服してそちらに対してきっちり対応しなければと思っている。
また妻との時間も全然とれていなかったので、日帰り旅行ぐらいはしたいなあ。
読書も全然していなかったので、今度の3連休は少し身辺整理や小旅行や今後のスキルアップ、バージョンアップの計画などに進んで行きたい。
(次のテーマは速読術と記憶術。それを活用して、次の試験はらくらく通って、溜まっていた読書もガンガンやっていくつもりだ。少し準備期間はいると思うが)
とにかく難儀ながら楽しかった受験生活に一旦ケリをつける。
いずれにせよ、自分、お疲れさん!
まず一つ合格
10月8日に受験した損害保険募集人という試験は、本日合格通知がきた。
とりあえず一つめの関門はクリア。
アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ
作家の原という人のエッセイ集に「ミステリオーソ」というのがある。(ハヤカワ文庫)

ご存知セロニアス・モンクの曲名でもある。
買って久しく、遅読の私はなかなか進まないのだが、しばらくぶりにパラパラめくっていたら、その中にアート・ブレイキーについて書いたものがあった。
曰く、1963年の1月にアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズが来日コンサートをやって、福岡で演奏していった、男たちの音楽だった、というものである。
演奏した曲は「モーニン」やら「チュニジアの夜」やら「ブルース・マーチ」やらという毎度おなじみの曲たちである。
へえーっと思った。
私が生で演奏に接したのは、1985年か1986年の3月、たしか10日だったか。(たぶん1986年)
名古屋に来たブレイキー一座だった。
ドナルド・ハリソンやらテレンス・ブランチャードという当時新進気鋭の若手ジャズ・ミュージシャンを従えていた。(と思う)
わざわざ41号線を車で飛ばして富山から名古屋まで日帰りで行ってきた。
ジャズ大好き人間の先輩がいたからこその遠乗りだったが、疲れたけれどもサイコーにファンキーな夜だった。
その夜もやはり「チュニジアの夜」「モーニン」「ブルース・マーチ」は定番で、でもどの演奏もどの演奏も、レコードでも生でもみんな違う。
もちろん、名古屋コンサートの演奏もオリジナリティというか、インプロヴィゼーションというか、アドリヴがふんだんに利いていて、とても楽しくかっこよかった。
そのブレイキーが私が見たよりも20年以上前に来日して同じ曲を、リー・モーガンやウエイン・ショーターらとともに演奏していたというのが、頭ではわかっていても(1985年当時既にこの道40年という、ジャズ界の長老格だったので)、人の書いたもので読むと改めて驚いてしまった次第。
ミュージシャンでも一般にドラマーが一番長生きらしい。
そして、一般的にはピアニストが短命ということだ。
確かに、ブレイキーしかり、エルヴィン・ジョーンズしかり。
一方ではビル・エヴァンス(p)しかり。(後はよくわからんが)
その伝で行くならば、ブレイキーも長生きした方であろう。
う~ん、最近、あんなファンキーなジャズは聞いてないなあ。
(ちなみに私の大好きなLPはこの「サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ」というアルバム)
好天ながら在宅の二日間でした
丸二日間、良い天気であったが、ほとんど家から出ず、勉強中心の生活であった。
来週の日曜に「営業店管理Ⅰ」という試験を受けなければならない。
そのための準備である。
9月末からほとんど試験漬け、勉強漬けとなっている。
過去2つの試験は、「越中富山ふるさとチャレンジ」という、地元の人間としての楽しみもあった試験、それと「損害保険募集人」という、一般常識でもある程度はわかり、しかも4択中心の問題であり、短い学習時間ではあったがなんとかクリアできそうな代物であった。
しかし今回のは、極めて短時間。
前回の試験が終わってからわずか3週間しかない。
しかもレベルはこれまでの試験よりもかなり難しそう。
なにせ範囲が決まっているようで、明確ではない。
金融機関の出先営業支店の管理者向けの試験である。
金融機関の人間になってまだ日の浅い私が受けるレベルでは、本来、ない。
でもそれを受験することを決めたのは自分である。
難しいことに挑んでこその勉強だ、と思ったからである。
・・・しかし、難しい。
どうなるかはわからないが、次のこと(落第したときのこと)も考えておかなくてはならないなあと思う。
まあ、もしもこれがだめなら、来年6月までの間にあと2つ、選択式の軽易なものを取ることができれば、求められている必要条件までは達成できることになる。
簡単な道ではないけれども、営業店管理Ⅰよりはましだろう。
ところでそんな状態の中ではあったが、今日書店にふらりと立ち寄った。
ふと見た中に「転職したら1億円の損」というようなタイトルの新書があった。
うん、確かに、普通は生涯賃金として見るならば、転職したらそれまでの退職金や企業年金などの積立がクリアされたりして、ゼロからの積み直しになるだろうから、利息のことなどを考えるとずっと勤め続けるよりは少なくなってしまうだろう。
だから、私も安易な転職は決して勧めない。
色々事情はあろうけれど、判断するための最後の材料は、自己実現というキーワードであるべきではないかと思う。
私自身、今の職場は、前の会社よりも年間の総所得は少ない。
上記の試験にそれぞれクリアして、来年の7月にそれなりの格付け(処遇)が得られれば前職の給与水準まで回復する予定だが、その前提条件が整わなければ、所得ダウンのままである。
自信はあるが、リスキーであるとこは間違いない。
それでも転進したのは、やはり前職のままでは自己実現は叶わない、新たな仕事に進んだ方が自分の夢ややりたい仕事に近づけられ、やりたいこともできるだろうと判断したからである。
事実、今は試験勉強のためにあまり時間はないが、そもそも勉強する時間が平日でも30分から1時間ぐらいとれるという進歩、そして土日は会社に行ってメールチェックで一日費やすというようなこともないので、自分の時間がある。ものすごい変容である。
まず時間が確保できなければ、会社だけの人生になってしまう。(毎日深夜勤務のとなっていた6月までの私はそうでした)
それが自己実現である人は、それで良いでしょう。
しかし、今の仕事とは別に、やりたいことがある場合は、ちょっと考え直す必要があるかも知れない。
かと言って、何度も言うように、安易に転職することは勧められない。
先立つものがまずあるだろう。そうそうキャリアアップなんてできるものではない、とまずは決めてかかるべきである。うまい話には落とし穴がある。自分でしっかり確かめなきゃいけない。キャリアダウンでもいい、但しどこまでダウンしていいか、一生涯のことと捉えて計算はしておいた方が良い。
生涯所得が少なくなっても、あるいは日常の給料が減っても、それと引き換えにやりたいことがちゃんとできるか、そういうことに不満を持たずに新たな仕事に専念する覚悟があるか、自己実現の観点で見てどうか、ということではないだろうか、と思う。
ちょっと、上記の本をパラパラと見たので、という感想まで。
経営相談会のこと
今勤めている会社で、経営相談会というのをやっている。
やり始めた、と言った方が正確である。
9月にまず2回実施した。
そのときは先輩に主体的に実施してもらい、私はサブの位置づけだった。
その先輩は9月末で退職されたため、今後は自分自身でやらねばならない。
事前に財務等の資料は一読しているものの、実際に経営者に会うと、必ずしも想像していた点が問題ではない場合も結構ある。
しかし厳然として財務上の問題がある場合は、それは数字に表れているので間違いなくあるのであり、その点は経営者も納得せざるを得ない。
金融機関が開催する経営相談会は、中小企業診断士として実践力を磨く上では大変良い経験になる。
願ってもない仕事である。最高のOJTの場だ。
今後引き続き相談会をどんどん実施させてもらい、力を磨いていくとともに、当然のことながら草鞋を脱がせていただいた現在の会社の企業価値を高めることにも貢献したいし、相談にお越しになるお客様企業にとっても有用な相談会にしたいと思う。
まだまだ未熟だが、一歩一歩進めていきたい。
富山県の発展のため、そして自分の夢の実現のために。
歯ぎしりと夢
ここ2ヶ月ほど、歯ぎしりをよくする。
大体朝方、目が覚める直前、というか、目が覚めると同時に歯をギシギシやっている。
それと、妙な夢を良く見る。
ほとんど覚えていない。
しかしここ数年、いや生まれてこの方見たこともないような奇妙奇天烈な夢だ。
なんだろう。と思う。
考えても答が出るものではないだろうが、妙だなあと思っている。
疲れかな。
慣れない仕事での緊張感が原因も知れない。
楽しいと思う反面、やはり緊張は続いている。だって単語がわからないし、やっていることの意味もわからない作業も沢山あるのだから。
それはしょうがないし、起きているときはほとんど気になっていない。おいおい覚えていくものだと頭ではわかっているので。
しかし心の奥底では、こんなわからん状況に置きやがって、と自分への反発が起こっているのかも知れない。
そんなこんなの今日この頃である。
変化があり、おもしろい。
名優緒形拳さんの死
俳優の緒形拳さんが亡くなった。
人は皆死ぬものであるが、また1人素晴らしい俳優を日本は亡くした、と思う。
何がしかの影響を人々に与える人の死というものはそれなりにインパクトを与え、そして何かを失わせてしまうものではないかと思う。
昭和の終わり、昭和天皇が崩御したときとほぼ時を同じくして、手塚治虫さんや美空ひばりさんら昭和日本の文化を代表する巨人たちが何人も相次いで亡くなった。
あの時は、昭和天皇が同時代人を道ずれにしていってしまったような、時代が大きく変わる地殻変動のようなものを感じた。(そんなオカルトチックなことはありえないのだが)
有名人の死ということでいえば、あの時以来のショックだ。
緒形拳といえば、復讐するは我にありやNHK大河ドラマでの数々の主役脇役、藤枝梅安役を含む必殺シリーズでの殺し屋稼業の役など、数え上げればきりがないくらいに、色んな役を演じている。
この人の特徴は、人の心の奥底の狂気を演じることができるという点ではないだろうか。
太閤記での秀吉の演技も(竹中直人もすごかったが)、それ以外の色々な個性的な役も、どれも狂気、鬼気というものを演じきるという力があり、それが観る者を惹きつけるのではないかという気がしてならない。
狂気や鬼気を演じきれる役者はそう多くはないと思う。
怒りをあらわにする怒気ではなく、静かに、心の深いところに流れている暗い情念・・これは我々誰もが心の奥底に抱えているブラックな側面であり、人には皆一様にそういうものがあるのではないだろうかと思うのだが、そういう、内奥の暗い情念を深く静かに表すことのできる役者。
それが緒形拳さんではなかったろうか。
緒形拳さんのそういう演技が観る者を惹きつけ、見入ってしまうのではないかと思う。
日本では、仲代達也さん、山崎努さん、海外ではクリストファー・ウォーケンとゲイリー・オールドマン。ほかにも怪優と言われる役者は何人もいるにはいるが、この人たちは図抜けていると思う。
そういう中の数少ない1人である緒形拳さんを失ったことは大きい。
黙してご冥福を祈りたい。
ありがとうございました。