2017年の年末に出た経済誌を総ざらえ

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 最近は毎年年末に主要経済誌が翌年の予測の特集号を出すのが慣例になってきました。
 今回は『日経ビジネス』『東洋経済』『エコノミスト』『ダイヤモンド』の各誌をざっと総ざらえしてみました。
 ユーラシアグループのイアン・ブレマーさんと英国エコノミスト誌のビル・エモットさんが複数の雑誌に登場していました。特にブレマーさんは3誌にまで顔を出していました。ということでブレマーさんの象徴的なコメントから記載していきます。

1.日経ビジネスより

 ブレマーさん:Gゼロの拡大、ポピュリストの増大と権威の崩壊という潮流はさらに加速。トランプ大統領の弾劾は(中間選挙までは)なく、米国第一主義は続く。

 ジョセフ・スティグリッツさん:(中国の今後について)習近平国家主席は以前にはない方法で権限を集中させている。債務主導型の成長を続けてきた。債権問題が深刻化するのを避けつつ成長を維持できるか。

 ビル・エモットさん:(英国について)ジェレミー・コービン氏率いる労働党は格差是正を愚直に訴え支持を高めている。2018年労働党政権が誕生するかも。

 スコット・ギャロウェイさん:GAFA4社の中ではアマゾンが抜け出す可能性が高い。音声アシスタントが既存企業のブランド資産を壊す。今のトレンドが続けば、平均的なミレニアル世代は死ぬまでの間にエフィスブックとインスタグラムに合計2年半分の時間を費やす計算になる。かつて人間が神に聞いていたことを、私たちがグーグルに聞くようになっているとすれば、それは「神」と言えるだろう。グーグルは「脳」、フェイスブックは「ハート(心)」、アマゾンは「胃袋」、アップルは「局部」(アップルは財力や創造性の象徴であり人間の生殖本能にアピールしているから)。

2.東洋経済より

 ビル・エモットさんとリンダ・グラットンさんの対談。
 グラットンさん:日本企業は人材育成にかける費用を減らしてきている。これは間違い。
 エモットさん:日本企業は高水準の利益を上げており余裕はある。人材育成予算が縮小しているのは、非正規雇用が増えたことの裏返し。こういうやり方で競争力を高めようとするのは問題。
 グラットンさん:日本は世界のどこよりも急速に高齢化が進んでいる。日本がこれにどう対処していくかに世界は注目しており、日本はその経験を教えられる。また他国と比べて日本人はロボットやAIに対する信頼が厚く、生産性向上や人生を豊かにしてくれるものとしてロボットやAIがどう役立つかを示すことができる。

 2018年はリーマンショックから10年。先進国も新興国も経済は堅調で「ゴルディロックス(適温)経済」が続くと思われるが、信用危機は10年サイクルで到来するとも言われている。油断禁物。

 ロシア。財務大臣を務めていたアレクセイ・クドリン氏に注目。首相に指名されるかも。もう一人の注目すべき人物はセルゲイ・ソビャーニン・モスクワ市長・・・だそうです。クドリン氏が提唱する構造改革プランが実現すれば3%成長が期待できるとのこと。

 中国経済。習近平氏の2期目は改革促進。
 2015年12月の中央経済工作会議で提起された「五大任務」によって経済の構造改革が進められるのではないか
 五大任務:①過剰生産能力解消、②不動産在庫削減、③デレバレッジ(債務削減)・資産圧縮、④コスト引き下げ、⑤効率的な供給拡大(略称三去一降一補)
 2020年までの「小康社会の全面的完成の決勝期」に挙げられた3つの重点戦略:①重大なリスクの防止・解消、②貧困脱却、③汚染対策(全面的完成とは、2015年に5575万人いた貧困人口を2020年までにゼロにすること)
 金融政策はやや引き締め(資産管理業務規制など)でいくため短期的には景気減速も予想されるが、6%台の成長を維持し、2020年所得倍増計画達成に向かっていくであろう。

 ライドシェア・カーシェアが浸透。
 日本では白タク行為規制によりライドシェアはまだ導入されていないが、個人間のライドシェア(持ち主が使わない間、他人に車を貸す)は人気が出てきた。カーシェアは借りた場所に車を返すラウンドトリップ方式が主流、借りた場所以外の場所にも返せるワンウェイ方式はまだ。

 メルカリ。
 CASHが出たら即同様のサービスを開始。「メルカリナウ」というサービス。楽天もフリマサービスをメルカリを猛追している。メルカリはモノの売り買いに加え、自転車シェアサービス「メルチャリ」やスキル・知識のマッチングサービス「ティーチャ」などコトのサービスシェアへと拡張を始めている。日本発のフリーマーケットサイトから目が離せない。

 ビットコイン。
 デンマークの投資銀行サクソバンクは2018年に6万ドルまで上昇するがそれがピークとなり、その後は1000ドルまで急落するであろう。各国政府の規制と国家による独自仮想通貨発行が価格急落の要因になる。

 堺屋太一さん。
 2020年が過ぎると、大不況になる可能性が高い。膨大なカネを費やす東京オリンピックが終わって、公共事業が止まり、東京都内にまで少子化が及んで空き家だらけになる。2020年代後半には、医者が猛烈に余る。仕事確保のため健康な人を病人扱いしようとする恐れがある。不動産価格は暴落する。江戸時代でいうと天保のころのような雰囲気になる。近い将来の日本でも社会の安定を壊すようなムードが高まるだろう。閉塞感の源である人口減少問題に対して改革の機運が起こる。具体的には移民受け入れを政策的に行うべき。かつての日本は移民受け入れをし、彼らや彼らの子孫は偉大な業績を残したり日本文化の発展に貢献した。日本人は同化力に自信を持つべき、日本文化は決して日本土着の日本人だけで作られたものではない。

 3.エコノミストより

 嶋中雄二さんの景気循環論。
 キチンサイクル、ジュグラーサイクル、クズネッツサイクル、コンドラチェフサイクルの4つの景気循環サイクルすべてが上昇局面になる「ゴールデンサイクル」(嶋中氏命名)という視点で見ると、米国は2017年から2018年までがゴールデンサイクルとなる。2019年はコンドラチェフサイクルを除きあとの3つは下降へ向かう。2018年終わり頃から2019年にかけてインフレが発生する可能性がある。(米国のことです)

 水野和夫さんの予言。
 ゼロ金利下では近代資本主義は成り立たない。国家は労働分配率を高める努力をせずに、金融緩和のための低金利政策に邁進し、ROE(株主資本利益率)を高める号令を発することに躍起に。この結果、緩和で市中にあふれたマネーが株式に集中し、一部の投資家のみに莫大なリターンをもたらしている。
 16世紀の欧州では、オランダのチューリップバブル後、リターンを得た商人が、次にオランダと英国の東インド会社、南海会社を選んだ。その後南米との貿易に期待が過剰に膨らみ、株価が急騰し、ある日はじけた。この南海泡沫事件から見れば、チューリップバブルは序章に過ぎなかった。それに引き寄せて考えるならば、10年前のリーマン・ショックも序章に過ぎないのではないか。2008年のリーマン・ショックは世界に大きな景気後退をもたらしたが、足元ではまた世界中の資産価格が異様に上昇している。高リターンを得た一部の投資家が世界中で再投資をしているからだ。
 これから100年は近代資本主義とは違う世界が再構築されていく。今の子供たちの世代が再構築していく。今はその過渡期とも言え、絶えず改善策を見つけては一歩ずつ進んでいくしかない。

 中国のIT巨大企業。BAT:検索大手のバイドゥ、EC最大手のアリババ、SNS最大手のテンセント。

 4.ダイヤモンドより

 地銀は利益が20%減。銀行にとっての脅威はバランスシートの健全性からPLの収益性に移行している。(貸出先の企業の業績低迷=銀行の資産の不良状態がバランスシートの問題、PLの収益性は利益が出ずに企業を維持していけなくなる危険性という点での問題)
 (地銀の本業低迷行の地図はショッキング)

 似鳥昭夫氏のコメント。
 五輪景気や消費増税の駆け込み需要が終わる2020年以降の5~10年ぐらいは大不況になる。不況はチャンス。不動産価格が下がれば立地が確保しやすくなり、大手企業が採用を控えれば優秀な人材を採用しやすくなる。消費減退の影響で一気に寡占化が進む。

 KDDI田中孝司社長のコメント。
 われわれはライフデザイン企業に変革する。が、通信事業がコア事業であることになんら変更はない。
 IoTに関しては現在消費者向けに力を入れている。家のIoT化を実現する「auホーム」はこれから増えていく。鍵となる端末はカメラである。本当に需要があるのは家電操作などの機能ではなく、家の見守り。

 以上、私の勝手なつまみ食い抜粋ですが、2018年またはそれ以降を考えて行くための、自分自身の参考情報として記載しておきたいと思います。

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浅田彰さんの新「逃走論」と塩野七生さんの「自由な思考がイノベーションを生む」というお話

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明けましておめでとうございます。
2018年がスタートしました。

毎年元日の全国紙を買って見比べることが私の新年の行事の一つとなっています。
しかしここ数年は地元駅がJRの経営ではなくなったこともあり、売店で全国紙の取扱が一部のみとなってしまいました。
コンビニに行っても一部の新聞しか扱っていないため、いわゆる「朝・毎・読・日経・サンケイ」の五大紙のうち三紙しか手に入りません。加えて地元新聞と北陸中日を読み比べ。
今年は例年になく目ぼしい記事がありませんでした。新聞業界、パワーダウンでしょうか?

そんな中で一つだけ目を引いた記事が朝日に載っていた浅田彰さんのインタビュー記事でした。
浅田彰さんと言えば、私が大学に通っていた頃、ニューアカデミズムの旗手として中沢新一さんらとともにマスコミにもてはやされていた時期がありました。『構造と力』『逃走論』などという著書が大変な売れ行きだったことを記憶しています。
あれから30年以上経過し、時折論壇などでお目にかかる機会はあるものの、どんな研究をしてどんな言論をしているのかよくわかりませんでした。(私の見ている範囲が限定されていることはあると思いますが)

このインタビュー記事によると、80年代、「家族」「男らしさ/女らしさ」といった価値観が変化する一方、古い価値観やアイデンティティーに固執する(パラノイア)人も多いので、資本主義を半ば肯定しつつ、多様な人々と横につながり、自分も変身していこうと提唱した、これが当時の『逃走論』だったと。そういえば、その後異業種交流などが盛んになった時期でもありました。しかし異業種交流はその後会社で偉くなって行くための人脈形成というふうに一部では変質していったのではないかなと感じています。みんながみんなそうではないのでしょうけど。浅田さんも同様の印象を持ってかどうかはわかりませんが、同じインタビューの中で「逃走の多くは資本主義にのみ込まれた」と語っています。

現代のSNSの時代になっても「「いいね!」数を稼ぐことが重要」「人気や売り上げだけを価値とする資本主義の論理」に重なり、「仲良しのコミュニケーションが重視され、自分と合わない人はすぐに排除する」と分析しています。
多様な価値観をお互いに認めあうことが大切だと私たちは子どもの頃から教わってきましたが、私たちの先輩に当たる年齢の人たちも同年代の人も、驚いたことに私たちよりも若い人たちですら、排除・分断をいともたやすく口にする時代になりました。
浅田さんはそういう状況の中で「自由」を確保するために「ときには接続を切り、ネット村から逃走する必要がある。そのときConnectとCutの間にIが発生する。」と、つないで切断し、切断してつなぐ、その間にいる自分がクールでいることが重要だと説いていました。

この記事の数日前、平成29年12月26日付けの日経新聞には塩野七生さんのインタビュー記事が載っていました。
塩野さんは浅田さんが確保すべきだと語る「自由」について「自由とは基本的には思考の自由」であり、それが「イノベーションにつながる」と語っておられます。
「ネット中毒」や「スマホ中毒」「SNS疲れ」などといったことも言われて久しいですが、人の書いたもの、興奮を煽るもの、その「村祭りの熱狂」から時々少し自分(I)を離して、思考の自由を保つこと(逃走すること)で、心が解放されイノベーションをもたらす元になる、という着想をお二人からいただきました。

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角さんが心していた「10の反省」

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 昨年暮れにセブンイレブンが小林吉弥さんの編集になる「田中角栄名語録 日めくりカレンダー2017」なるものを販売しており、購入して机の上に置いて日々玩味しておりました。(今年は出ているのかどうかわかりませんが。)
 昨日と今日のカレンダーには角さんが「心している」という「10の反省」が2回に分けて記してありました。
 自らの備忘のためここに記しておきます。
①友達と仲良くしたか
②お年寄りに親切にしたか
③弱い者いじめはしなかったか
④生き物や草花を大事にしたか
⑤約束は守ったか
⑥交通ルールは守ったか
⑦親や先生など人の言うことをよく聞いたか
⑧人に迷惑をかけなかったか
⑩正しいことに勇気を持って行動したか
 これらのことはこの人の語ったものを読むと、たぶんにお母様の教えから来ているものが多いのではないかと感じます。
 しかしたったこれだけの項目ではありますが、自分自身で考えるといかにこの10項目を日々やり切ることが難しいか、額の後ろに汗がにじみ出てくるような気がします。
 来年はまずこれらのことが一つでも、一日でもできるよう改めて心していきたいと思いました。

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2017年日経ITProEXPO見聞録

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 先週東京に行ってきました。
 目的は日経の主催するITProEXPOというイベントの観覧です。行き先は「東京ビッグサイト」。
 一番の目当てはIT関係の新しい動向を勉強することですが、先に届いていた案内を見ると、クラウドやらセキュリティやらIoTやらFinTeckやらと今流行りのキーワードが沢山書いてあり、それぞれのコーナーでブースが設けられているということだったので、さぞかし賑やかなことだろうと期待して出かけました。時間がたっぷりあれば講演なども聞けばいいのですが、なにせ日帰りのためブースを回ってパンフを集めて、というのが精一杯。
 色々面白い展示もありましたが、何より目と耳についたのは「働き方改革」という言葉。幟旗にも「働き方改革のためのIT」だとかが書いてあり、またオープンシアターはデモなどでも盛んに「働き方改革」とのたまわっておりました。ちょっと食傷気味になってしまい、もうちょっと皆さんオリジナリティというか個性を出してもいいんじゃないかなあと感じた次第。

 そんな中にあって、目のつけどころがユニークだと感じたのはGMOさんのブース。
 何やら壁一面にバーコードリーダーが百本ほども刺してあり、ひときわ目を引くパネル。
 内容を聞くと、いわゆるショールーミング対策のソリューションだとか。
 ショールーミングとは店頭で良さげな商品を見るだけ見て、買うのは家に帰ってからネットで最安値のものを探してポチッとするというやり方をされると、リアル店舗にものを飾る企業がいなくなってしまうという恐れが言われています。
 GMOさんの提案は、顧客に店舗の会員になってもらい、会員はその場でお金を持っていなくても、会員カードとクレジットカードがあれば、その場で店のバーコードリーダーを使い、JANコードをどんどん読ませていき最後にクレジットカードを挿入して「決済」というボタンを押すだけで、買い物ができるという仕組みです。
 文章ではなかなか伝わりにくいですし、それでも見るだけのお客様をカバーしきれないと言われればそれまでですが、こういう仕組みの必要性に対して具体的に開発し展示して提案するという意思と力に感心しました。

 それともう一つ、大手ではありますが、Googleクラウドの拡張ぶりがすごいなと感じました。
 G Suite Businessというサービスで、AIが人間がスライドを作成する際にデザインの提案をしてくれるとか、Google Cloud Searchというものでは検索をする前に検索すべきものをプッシュ通知で提案してくるとか、Team Driveはファイルサーバの役割だとか。
 たまたま今お客様でグループウェアの導入を検討している企業があり、サイボウズLIVEでまずは色々試行してみるよう勧めているのですが、この企業が実現したいと思っていることがほぼGoogleクラウドで実現できそうな感じなのです。このイベントでの展示内容はそこからさらに進んだ感じで、正直言って何が起こっているのか理解し切れませんでした。世界企業Google恐るべし、と感じました。

 さて、最後に、あまり意味はありませんが、今回のイベント、およそ半日ほどしかいませんでしたが、色々ノベルティをいただきました。皆さまありがとうございました。

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バランスシートの読み解き方の一考察

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金融機関に奉職していた頃、お金は利益が出ている会社に貸すという発想ではなく、貸借対照表(バランスシート)を見て貸すのだ、という話を当時の上司から教わりました。
爾来、バランスシートとの格闘が始まりました。
損益計算書は、本業で儲かっているのか、金利負担が大きすぎて経常利益が圧迫されて返済財源がない、などのことがわかりやすいのですが、バランスシートを見てお金を貸せるかどうかの判断をする、という発想がなかなか理解できませんでした。
実際いまだによくわかってはおりません。

お金を右の方から借りて、左の方で使途を書いたものがバランスシートだ、と言われます。
私の日常では、物事は左から右へ流れていきます。(日本語や英語の横表記しかり、カレンダーしかり、スケジュール表しかり、バリューチェーンしかり、プロダクトライフサイクルしかり、需要供給曲線しかり、損益分岐点売上高のグラフしかり、日本刀の払い方しかり・・・これは日常的ではありませんが)
逆ではないか。
なかなか腑に落ちません。

自己資本は返済しなくていいから一番下、すぐに返済しなければならないお金であるところの「買掛金」や「支払手形」などは一番上、現金や預金はすぐに使えるから一番上。一番上同士を見れば、短期の資金繰りが忙しいかどうかがすぐにわかる。・・・これはまだなんとなく納得しやすいです。しかし現金や預金がすぐに使えるというポジションに置いておくのはいかがなものか。
売上に貢献していない過剰設備なるものがあるとしても、それは自己資本と長期借入金でまかなわれているから大丈夫(固定長期適合率)、というような解説をするものだから、経営者の方々は安心して、ああ、借入で賄えるから良いのだな、と錯覚してしまいがちです。
これがバランスシートの下の方に固定資産が置いてあることの弊害ではなかろうか、などと思うわけです。

歴史をひもとくと、バランスシートを発明したのは15世紀イタリアのルカ・パチオリ(ルカ・パチョーリ)という数学者だそうです。この人物の住んでいたところが右側が陸地でそこから資金を調達してきて、左側の海に向かって船が出て行く様子を見ていたので、バランスシートは右が資金調達、左が資金使途だ、という説明をどこかで読んだような気がします。

バランスシートの配置を、左右を逆に、上下も逆にしてみたらわかりやすいんではないだろうか、とふと思いました。
そうすると、損益計算書から一番最後に出てくる当期純利益が、バランスシートの左上に配置された純資産にプラスオンされて、それを増やしていく楽しみが経営者に伝わりやすいし、そのすぐ右を見ると不稼働な設備や不要な土地がどかんと鎮座していれば、もっと稼働率を高めるか不稼働資産を圧縮しなければ非効率だなと一目でわかる(コンサルとしては説明しやすくなる)のではないかなと思ってみました。
が、そもそもこの現在の形式で500年も続いているものです。そんなアホみたいな思いつきで変わるものではないでしょうし、配置を変えても内容を変えるものではないので、とりあえず細々と個人作業において試行錯誤してみようかなと思っています。
(この問題が自分の中で解決しても「債務超過」の場合のバランスシートの表し方がまた悩みどころになるような気がします・・・)

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プチ創業など起業の多様化

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 富山市のサンフォルテで今日から明日まで行われている、男女共同参画事業「サンフォルテフェスティバル2017」に行ってきました。
 今日は会場の一角に机を一脚借り、富山県よろず支援拠点の利用を呼びかけるなどしておりました。

 このイベントには「女性のチャレンジショップ」というものがあり、小物製作やエステや消しゴムはんこやブリザードフラワーなど、様々なショップが50店以上も出店されていました。
 ショップの店長さんは、20代から70歳ぐらいまで様々な年代層の方がおられ、また仕事は別に本業を持ちながらの方もおられれば、本格的にこの仕事に専念している方、趣味程度なんですよという方などまちまちです。
 中でひときわ目を引いたのがとっても風変わりな植木鉢。詳しくは書けませんが、それを窓際にちょこんと置くだけで部屋の中に小庭が演出できるような愛らしいものでした。素材の性質上水はけが良く、ペイントでデザインも自由自在、という品物でした。ステキなものなのですが、長持ちさせるための工夫などできるといいなと思いながらお話を聞いていました。
 また、富山県には当店一店しかないという珍しい種類のサロンも。女性限定とのことなので私は行けませんが、ご本人が体の不調を感じた時にたまたまそこへ行って良くなり、その勢いで毎週末関西の学校まで通って資格を取得し、勤めていた会社を辞めて創業した、というお話でした。
 自分に合った小石を持つことで体調などに何らかの影響があるというお店もありました。これも詳しくは書けませんが、ご家族のご病気が軽くなった(もちろんそれの影響かどうかを判断する手段はない、とご本人も仰っていましたが)ことをきっかけに資格を取って仕事の傍ら時々こういうイベントに出店してPRしているんです、というごく普通のお母さんでした。
 そんなこんなで、「創業」と一言で言っても、法人設立のような本格的なビジネスの立ち上げから、個人としての開業、プチ創業、とりあえず副業、趣味の延長など、色々な仕事の始め方・やり方があり、「何かやろう」と思った人は、国があれこれ心配するまでもなく、それぞれ自分のやりやすいようなやり方で始めておられるし、始めることができるような時代になったんだなあと感じた次第です。
 もちろん、利用できる制度があれば利用していただけるように、行政は広報をしっかりしなければならないし、受ける方もアンテナを上げて色々な所に聞きに行くことも必要でしょう。そして相互の情報交流の中でニーズに応えられるように、行政は新しい制度作りや参入のハードルを下げる取組も必要だろうなと思います。

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Fintech(フィンテック)についてそろそろ考えてみる

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 今年はフィンテック(金融とITの融合)ということが騒がれています。
 と言ってもメガバンク辺りはもう10年以上前からフィンテック(という呼称を使わないでも)に取り組んで来ておられるようです。
 また、フィンテック企業は「新興」と言われてはいますが、10年以上前に設立された企業もあるようです。クラウド型の会計ソフトとして近年目覚ましい成長をしているMoneyFowardやFreeeなどは2012年の設立ということですから、これらは文字通り新興企業群であり、まさに時代の寵児と言って良いでしょう。
 私は個人事業者ですので、確定申告をする際、なるべく経費をかけないようクラウド型の会計ソフトを利用させていただいています。
 税務知識がなくてもそういうことができるのは、知をネットに載せ、それを低料金で一般の事業者が利用できるような仕組みがあるからです。しかも驚くべきことに、このクラウドサービスでは、インターネットバキングの利用を前提として、自分が取引している銀行の決済情報を全部吸い上げて管理することもできます。
 北欧のエストニアでは、個人の金融資産・金融機関経由の資金決済などが全て税務当局に把握できる仕組みになっているため、申告という作業もいらないくらいになっており、そのため税務申告をするための税理士さんの仕事が不要になっているということです。エストニア大使館に問い合わせたところ、税理士さんたちはそもそも有能な人たちなので、伝票整理仕事ではなく、もっと高度な助言等本来のサービスに業態転換をして仕事を続けておられるということでした。

 さてここ数か月、仮想通貨のニュースが日経新聞などでも沢山報じられています。
 仮想通貨は支払手段と定義づけられ(通貨ではなく資産との位置付けらしいですが)、今年の7月からは購入の際の消費税がゼロになるとか。
 世の中どんどん変化していますので、私も遅まきながら仮想通貨の勉強に着手しまた。
 とりあえず友人たちの勧めもあり、BitFlyerという両替店でBitcoinを少々購入し、Blockchainという名の財布をネット上に保有して購入したBitcoinをその財布に入れました。さらにはこれを現金化したりリアル店舗での買い物に使えるようにWirexという決済サービスに加盟しました。Wirexのサービスを利用するには決済用のICカードを使います。・・・と、ここまで書いてきて、この理解が正しいのかどうか実はよくわかっていないことに気付きました。まだまだ勉強しなくては到底世の中の流れに追い付かないのですが、着手しなければわからない。着手小極で、とにかくやってみる、もちろんリスクを抑えられるようにセキュリティには十分気を付けて、と思っています。

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外国語対応のヘルプデスクについて考える

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 某月某日、富山県内のある中華料理店に入りました。
 店員さんとおぼしき人が、スマホ片手にスピーカー受話で何やら会話中。
 注文もできないので聞くとはなしに聞いていると、NTTがどうこうと相手が話していました。
 どうやら通信回線のトラブルのようで、相手の方は○フト○ンクのオペレーターさんのよう。
 結局、店員さんが日本語がまったく話せないわけではないものの、オペレーターの言葉がうまく理解できなかったようで、中国語で説明してくれるところがあるのでそこに電話し直して下さい、と言われ、店員さんはそのように。

 私は料理を注文し、出来上がったところで、店主が改めて中国語対応のヘルプデスクにかけ直されました。
 彼も店員さんと同じように、スマホでスピーカー受話で相談しているため、こちらまでまる聞こえ。
 もちろん中国語の部分は理解できないのですが、このヘルプデスクでは、初めに日本語のオペレーターが喋って、それを中国語を話す人が翻訳して相手に伝える、というやり方でした。
 たぶん日本語のオペレーターは通信ネットワークや機器の接続について一通りは知識のある方なのでしょう。
 それに対して通訳さんは言語をさえ訳せればいいので、通信技術の素養がなくても大丈夫。
 という仕組みなんだなあと食べながら聞きながら理解できた次第です。
 最終的には光の終端装置と○フト○ンクのルーターをつなぐケーブルを送りますから自分で取り換えて下さい、という話に落ち着いたようです。

 日本在住の外国人も相当増えてきているだろうし、インフラなどのユニバーサルサービスを提供する会社は、そういう対応ができて当りまえの時代になってきたのかも知れません。
 ひるがえって我が古巣のNTTはどこまでそのような対応ができているのだろうか、とちょっと、いやかなり不安になってきました。

 ところで食事が済んで帰り際に、大変ですね、故障時のバックアップとしてケーブルを2~3本買っておいたらどうですか、と店員さんに声をかけたら、NTTの光の屋内ケーブルはもう3回も取り換えていると言われました。
 えっ?とびっくりしたところ、レシートに素早くネズミの絵を描いて、指をさします。
 あ、ネズミが?と聞くと、そうなんです、普段は出てこないのだけど休みの日に出てきてかじってしまっているようなのです、との答え。
 はて、次回もこのお店に行っても大丈夫だろうか、ちょっと不安を覚えつつ店を後にしました。(まあ、中華料理は熱をしっかり通すのが多い、とはいうものの)

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エイプリルフールについて考える

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 昨日はエイプリルフールでした。
 嘘をついても良い日、という風に一般的には認知されている日です。

 中学生の頃に読んだ江戸川乱歩さんの本に「プラクティカルジョーク」を趣味にしている人物の話が出ていました。
 「ペテン師と空気男」という題名の短い小説でした。
 電車の中で口から黒い糸を出している人物がいて、たまたま乗り合わせた主人公が「何をしているのか」と尋ねると、その人物は「胃の消化に関する実験をやっている」というような返事をし、さらに突っ込んで尋ねると、「金柑だけを食べており、胃袋には、糸で垂らした小さな容器が入っている、その容器を後で取り出して、胃の中の消化物がどうなったかを調べるのだ」という主旨のことを説明するのです。
 よくよく聞くとそれは手の込んだ冗談で、黒い糸の先には何もない。単に口に入れてあるだけで、自分の姿に関心を持つ人をからかうためのセットだという話。
 物語はその後もしばらく続いて、件の人物は最後は新興宗教の教祖となって多くの人をだますのですが、ジョークも規模が大きくなると新興宗教にもなれるという話です。だまされる方も壮大なジョークの主に自分の判断を任せてしまうことで精神的な疲労から解放される(心の苦労から楽になる)という道を選択するので、悪い気はしていません。ある意味エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』に似た心境なのかも知れません。ちなみに電車の中の主人公はその教祖の魅力の虜になってしまい、そのまま秘書か何かになるというオチだったと思いますが、子どもながらに新興宗教とは所詮そんなものかも知れないなと妙に納得したことを覚えています。

 最近は人をだます、はめる、ということはあまり良い行いではないという空気があるように思います。
 確かに悪意のある嘘はいけないと思いますが、さもありなんと思わせる軽い冗談(誰も傷つけないような)はたまにはあってもいいのではないか、せめて4月1日ぐらいは・・・と思っています。
 とはいえ、なかなかそういう軽いノリで人に嘘をついて、後からそれが嘘だとわかっても笑って許してもらえるシチュエーションはなかなかないものですね。
 私はちなみにフェイスブックで、年齢詐称の誕生日の話題、フルマラソンのコースがない大会でのフルマラソン出場宣言、今話題の映画の主人公二人が朝市にサイン会に来てる、巨大ネット産業と運送業の買収話、などなどいくつかの嘘を書き連ねて、最後に「嘘でーす」という遊びでお茶を濁しました。
 中には私の年齢詐称を信じて下さった方もあり(本当だと思った、という嘘かも知れませんが)、ひと時楽しく過ごしたエイプリルフールの日でした。お付き合い下さった皆さんに感謝です。

 では明日からの新年度、明るく楽しく元気に乗り切っていきましょう。

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うおづビジネスプランコンテスト

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 新規事業に関する政策が色々打ち出されています。
 魚津市でも創業や新規ビジネスを支援すべく「うおづビジネスプランコンテスト」という催しが初めて開催されました。
 魚津市になんからの関わりのあるビジネスプランを募集するというもので、結構短い募集期間だったように思いますが、47件もの応募があったそうです。
 今日はその中から厳選された8件のプレゼン大会でした。

 プレゼンに先だって経済評論家の森永卓郎さんの基調講演が行われました。
 有名なライザップでの減量経験談で会場を沸かせた後は、本業の経済論をひとしきり。
 いくつか私なりに選んだキーワードを記しておきます。

①1960年から1975年までの高度経済成長時代
②この時代に夫婦に子ども2人の計4人という「標準家族モデル」が作られた。
③〇〇の動きに乗れば必ず儲かる、といううたい文句はこの高度経済成長時代の呪縛による引っ掛けであり、現代の多様化した時代にはありえない。
④標準家族モデルでは、みんな同じライフスタイルでありみんな欲しいものは同じだった。だから隣がカラーテレビを買えばうちも、となったし、戦後のベビーブーム世代が一斉に大人になったので大量生産・大量消費が起こりえた、奇跡の時代だった。(一部筆者補足)
⑤2015年10月の国勢調査では30代前半男性の過半数が非婚。
⑥女性から見た男性の4区分。イケメン、フツメン、ブサメン、キモメン・・・後ろ二つはちょっとひどいなあと思いますが、我々男組も女性に対してコンテストだのランキングだのタイプ分けだのすることを思えば、これで平等ってことかも知れません。しかし話術が巧みだったりお笑いができれば後者もイケるため、森永さん曰く「変な人が増えてきた」ということです。
⑦すなわち多様化の時代ということ。
⑧ここで話題は急転直下。日本が目指すべき経済社会はイタリア型という主張。(色々批判はあるそうですが森永さんはこの主張を10年来持ち続けているとのこと)
⑨イタリア企業の特徴その1。現場への権限移譲による現場の裁量の自由度とスピーディーな意思決定。
 トップが絶対権限でデザイナーと販路と商品を決める。後は現場任せ。トップは口を出さない。たとえばフェンディは年間1500もの新商品を出している。上司がこまごまと口を出さないからこれだけのことがスピード感を持ってできる。おっさんがごちゃごちゃ言って社員の感性を評価せず、評価は市場に委ねる。その中でヒットしたものはどんどん売る。市場に出して売れなければ廃番にする。だからモノマネの国も追いつけない。だから真似されない。
 社員はどうやったら効率が良くなるかをいつも真剣に考えている。その改革案・改善策はどんどん自分で実行できる。上申不要、会議もない。残業はなく夏休みは1か月以上取得するが、それは働かないのではなく一年を11か月で考えて段取りし、効率改善を必死に考えている結果である。それでいて一人当たりGDPは日本とほぼ同じ。高い経済成長を100年以上継続している。(100年前はアルゼンチンに出稼ぎに行くいくらいに経済レベルは低かった)
 価格競争に陥るコモディティ商品よりも付加価値の高いアート商品を考え具現化している。例えば百均でも売っているトイレブラシでも本物の植木鉢っぽくすることで数千円の値段で売れる。
⑩アートとは、岡本太郎氏の定義によれば「見た瞬間、なんだこりゃ!?と思うが、一歩離れると気になってしょうがないもの。よって単に美しいものはアートにはなりようがない」というものだと。
⑪イタリア企業の特徴その2。どんな場面に遭遇しても決して暗くならない。
 だめになる会社の社長は社員に対して経営環境の厳しさとそれに打ち克つための頑張りを求めるばかり。経営環境が厳しいことなど、社員もわかっている。そこへまた悲壮感を漂わせるようなメッセージを発すると、いわば傷口に塩を塗りつけるようなことになる。社員はやる気が失せる。そして会社は社長が宣言したとおり厳しさの中でだめになっていく。・・・森永さん25年間の中小企業研究から発見した「法則」だそうです。
 対してイタリアの経営者の社員向けメッセージのポイントは3つだけ。歌おう、食べよう、恋をしよう。かの国の人たちはリーマンショックのような大変な経済危機が訪れても切り替えが早くうまいそうです。だめなことは引きずらない。起こったことそれ自体は取り戻しようがない。「次行こ!」ということです。

 そういえば、誰かが、植木等のノリで日本経済を再活性化させようではないか、と言っていたような気がします。
 もしかすると森永さんだったかも。

 良い悪い、好き嫌いはあると思いますが、私自身企業経営の支援をしていく上で、色々参考になる点があった講演でした。

 さて、ビジネスプランコンテストの結果は、最優秀賞1名、優秀賞2名、特別賞2名が選出されました。お世話をなさった魚津市及び魚津商工会議所並びに㈱アシステムの関係者の皆さん、大変素晴らしいイベントだったと思います。心から敬意を表したいと思います。
 次回に向けたキーワードとして審査委員長の中尾哲雄さんが「交流」「組合せ」「失敗を恐れずに」ということを講評で仰っていました。
 今回のイベントを嚆矢として、魚津市、さらには富山県東部地域が元気になっていくよう、私もなにがしかの貢献ができればと思っています。差し当たりは地元で行われる創業スクールのお手伝いなどさせていただき、やる気のある人たちの勇気づけ・理論武装・プレゼン支援などができればと思います。

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