未踏に挑むINTERVIEW ファーストリティリング柳井正さんの慧眼

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2019年1月13日(日)の日経新聞2面に、ファーストリティリングの柳井正さんのインタビュー記事が載っていました。

そこからの抜粋です。

インタビュアーの記者さんはアマゾン・エフェクトや大型買収による巨大化を促すような取材姿勢のように感じましたが、柳井さんはそれを脅威としつつ、また日本の政府も含めた社会全体の立ち遅れを問題視しつつ、自分の頭脳で考え自分でやっていくことが大事だと言っておられました。ごく当たり前のことですが、新しい外部の動きに踊らされていることの危険さを認識していかなければならないのではないかなと感じました。これは、先日林修さんが「できる」「できない」「好き」「好きではない」の四象限でやるべきことを考えた場合、「好き」というのは偶然であってたまたまその時代に生きているから「好きかも」と思い込んでいるだけで、あまり「好き」なことに執着せず、「できる」×「好きではない」ことの方が成功するかも知れないよ、と言っていたことと共通するような気がしました。

色々感銘を受けたくだりがありましたが、ここでは4つのコメントに絞って紹介します。

1.AIの導入を考える前に自分の頭脳を鍛えてほしい。「AIにはまねできない意味」を理解し、適切な質問ができる人間にならないと(AIを)使いこなせない。本庶佑先生の話した6つのCが重要になる。キュリオシティー(好奇心)、カレッジ(勇気)、チャレンジ(挑戦)、コンフィデンス(自信)、コンティニュー(継続)、コンセントレーション(集中力)だ。それと、教科書を信じるな、教科書以上の答えを出せ。

2.アマゾンはショッピングセンター型だから、そんなに良い商品は提供できない。AIだけで採寸して、材質やシルエット、好みをつかむことはできない。(自らネットショップを構築して取り組んでいるがゆえの洞察と感じました)

3.うちもお金を借りようと思ったら何兆円でも借りられる。それで(ZARAを運営する)インディテックスと米GAPでも買いますか。バンバン買ってそれで世界一。以上終わりと。それじゃ面白くないよね、自分でやるから面白いんだ。

この心意気、自信。そして、後継者(経営者)に求める当り前の条件。

4.(後継者の条件は)当然だが、能力を備え、みんなに支持される人。みんなで経営するのだから、その人の言うことだったら聞いていいという人でないと経営者にはなれない。能力があっても、気遣いがないとね。

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明日ありと思う心、について(自戒をこめて)

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ある団体で「研修係」を務めていた時、その団体の副会長だった方がいらっしゃいました。2年ほどのおつきあいでしたが、その方が先日不慮の事故で亡くなりました。満61歳とまだお若く、突然のことでした。

「研修係」当時、その業務の必要性や進め方について迷っていた時に、その方はみんなの意見を聞こうと言って全員が集まった場に自ら登壇し、意見を引き出していつ何をやるかということをてきぱきとまとめて下さいました。見た目には、どちらかと言うととっつきにくい感じで、柔軟性に欠けるような印象があっただけに、その時の対応にとても頼りがいを感じました。

その方のお通夜に出席した時に、導師のお坊さんが語られた説教の中に、タイトルの親鸞の言葉がありました。

「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」

親鸞聖人が仏門に入るべく天台座主の慈円を尋ねた際、夜になっていたため、慈円から「今夜は遅いから明日夜が明けてから得度の儀式をしましょう」と言われたのに対し、幼い親鸞が「今夜中にお願いします」と言って詠んだ歌だと紹介されました。お坊さんは「親鸞が7歳の折に」と言っておられましたが、色々調べてみると「9歳」とあります。それなりのお年になっている真宗のお坊さんがよもや間違えることはあるまいと思いますが、どちらであっても小学校前半くらいの年齢の子どもが「明日には命がないかも知れません。一刻も早く仏の道に近づきとうございます」と言って「桜の花びらが夜半の風で散ってしまう」ことになぞらえて和歌をうたってしまうことには驚かざるを得ません。あるいは子どものが駄々をこねたのかな?とうがった見方をしてしまうのは私が悟りにはほど遠い俗物のためでしょう。

あれほどの良いお人でも、一夜にして亡くなってしまうくらいにこの世ははかない。だからこそ生きている今を大切に、改めるべきは即座に改める、ということが大事なのだというおしえだと感じました。

 振り返ってわが身を考えると、個人事業者として独立して4年近くになりますが、サラリーマン時代と異なり、必ずしも毎日が定時出勤というわけではなくなり、朝少しゆっくりめに起きる(床の中でだらだらと二度寝などして過ごす)日があります。「明日ありと思う心」が気持ちのゆるみを招き、自分で自分をしっかり律することができなくなってしまったようです。その結果腹回りまでだらりとしてきました。かと言って他人様に依存して強制してもらうというのは問題外です。やはり自分で自分を律しなければなりません。来年、いや、明日からはこの親鸞さんの言葉を唱えながらしゃきっと床から出よう、と故人のご縁に感謝しつつこの年の瀬に決意をしたところです。

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NTT時代の恩師思慕の集まり

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今日は13年前に亡くなったNTT勤務時代の最初の上司を偲ぶ会でした。

集まった方々は私よりもずーっと年長の方ばかりで、私なぞはとてもその方々と席を同じうするような立場ではないと承知しつつ、上司のお子さまたちにもお声をかけ、お父様のご家庭でのお話を聞かせて下さい、ということで、比較的お子さまたちと年の近い私も同席を許された次第。

デザインを頼まれて彫刻で作った電話番号が間違っていることに印刷をかける直前に判明し、大慌てでお子様方総動員で修正の手伝いをした話や、手彫りの版画の年賀状の刷り込みもお子様方の仕事だったこと、小矢部の「ムーミン谷」の命名者は三女さんだったということ、照明のアルバイトに駆り出されていたこと、小学校の頃につかこうへいの黒テントを父に連れられて観に行ったこと、家では甘いものも含めてなんでも召し上がっていたこと、料理を作るのは得意だけど奥様が片付けを担当されていたからこそ成り立っていたことなど、ありし日のお姿が目に浮かぶようでした。尾道で生まれ、8歳か9歳で宮大工だったお父上を戦争で亡くされ、お母様の手で4人兄弟の長男として育ったということも初めて知りました。

一昨年奥様もお亡くなりになり、もはやご夫婦のエピソード、奥様のお話は聞くことができなくなりましたが、お子様方がしっかりそれぞれの場所で元気に活躍しておられるので、富山に集まっていただき、お話を伺うことができました。

私が今日このようにあるのは、この最初の上司と奥様のおかげです。ものすごく色々なことを学ばせていただきました。人の営みの連なりと言いますか、昨日があって今日があるということを改めて思い起こすことができ、感謝に堪えません。

上司と奥様に改めて感謝を捧げます。お子様方もお忙しい中ありがとうございました。合掌。

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交流分析全国大会での村上信夫(元NHK)さんのお話

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 昨日10月6日(土)と今日7日(日)にかけて、富山市のサンフォルテで、交流分析協会の全国年次大会が開催されていました。
 私もスタッフとして今日だけですが、参加して参りました。(やった仕事は3階から2階へ台車一つ運んだだけですが)

 今日の講演は元NHKエグゼクティブアナウンサーの村上信夫さん。
 現在65歳におなりになっており、言葉の伝道師として、全国で言葉の大切さを伝える仕事を続けておられるようです。
 2時間近い講演でしたが、その一部、私の中に大きく印象が残ったところを書き起こさせていただきます。
 以下の内容には、村上さんが語られたことと私がそれから想起したことが混在しています。そのため村上さんの意図とは合っていない部分があるかも知れないことをお断りしておきます。

 ちなみに、村上さん、最初の勤務地は富山だったそうです。私は高校生くらいの時ですが、覚えていないものですね。すみません!

・天気の「いい」「悪い」は自分の都合である。
・正しい(〇)、誤っている、(×)の他に「別解(△)」というものが沢山ある。多くの「別解」を許容できなければ、社会は生きづらくなる。
・自分がいいと思えば、いいと言って良いが、「いい」と言う前に、ちょっとの間を置いてはどうか。間を置くことで、自分とは別の感じ方をする多くの人がいることに思いを馳せる=想像することができる。多様性の理解とか自分以外の人と共生していくためにはそれが必要ではないか。
・『二番目の悪者』(小さい書房)という絵本についての紹介。2014年発売。自分の目で確かめることの重要性。それにより真実に近づく。そして自分が確認したことに基づき、自分の言葉で伝える。伝聞の危うさ。
・筑紫哲也さんは自分で取材し、自分の判断で伝えるべきニュースを伝えていた稀有なジャーナリストだった。
・「伝える」と「伝わる」・・・一字違いだが大違い。「伝える」は自分主体、片想い。「伝わる」は双方向、両想い。
・どうしたら伝わるか。本気で、全力、全精力を使って「言葉」を伝えること。今、この時点で、一番ふさわしい言葉を選ぶこと。
・井上ひさしさんの言葉「やさしく、深く、面白く」・・・難しいことは易しく伝え、易しいことは深く考え、深い内容のことでも面白く伝える、といったような意味のようです。
・『人生は声が決める』という本がある。
・ジャパネットたかたの高田明さん。彼のプレゼンはなぜ素晴らしく、多くの人が買ってしまうか。安いことだけが理由ではなく、高田さんが実際に自分で買って使ってみてその良さや面白い使い方を自分で発見するなどして、それを自分の言葉で伝えるから、ウチにも合うかもと視聴者が自分ごととして引き寄せて感じることができる、からである。そのような受け止め方をしてもらえるように、高田さんは師匠である世阿弥から次のことを教わり、日々工夫していた。
・世阿弥が言っていたことは「我見」「離見」「離見の見」。「我見」は自分の立場。「離見」は相手の立場。「離見の見」はそれらを離れて全体を見る立場、俯瞰ということ。これ、荘子の「道枢」に近いかも知れません。

・村上さんが作詞した「嬉しいことばの歌」より。
・おはよう:朝、鏡を見て、自分で自分に笑顔を作って「おはよう」と言うと自分の心の窓が開く。松岡修造さんは寝る時に笑顔を作って寝るのだそうだ。そうすると、疲れてすぐに眠れるし、顔の神経が笑顔の状態を覚えているので、朝起きた時から笑顔でいられるとのこと。
・ありがとう:渋沢栄一翁のお孫さんの鮫島純子さんは部屋中に「ありがとう」を貼っている。こけても「(大きな怪我に合わずに)ありがとう」、便が出ても「ありがとう」、詐欺に合っても「(大金を盗られなくて)ありがとう」「(まだまだ修行が足りないことを悟らせてくれて)ありがとう」と言っている。「ありがとう」の真逆の言葉は「あたりまえ」。拍手は人の幸せを祈るためにするもの。手の甲にあるのは「節(ふし)」、節を合わせるとふしあわせ、手のひらにあるのは「皺(しわ)」、しわを合わせるとしあわせ。
・いただきます:あなたの命を、私の命にいただきます。
・おかげさま:おかげさまは「かげ」に丁寧語の「お」をつけ「さま」を足したもの。つまり「かげ」=目に見えないものに対する感謝の念。目に見えない存在とはたとえばご先祖。10代遡るだけで1024人の人がいる。それだけの人が自分の先にいて、はじめて自分が存在できている。そのことに感謝。
・よかったネ、だいすき、大丈夫:これはワンセットにして。まずは自分に伝える。そして目の前の相手にも。「良かった」と思うことは幸せホルモンを分泌してくれる。幸せホルモンには「我見」から出る「セロトニン」と人の幸せを我がことのように喜ぶことで出る「オキシトニン」がある。これら両方が出ることで、自律神経のバランスが保たれる、とか。
・おやすみ:おやすみとありがとうはセットで。
・言葉は自己への命令。嬉しい言葉を自分に送ることで、自分を変えていく。

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夢うつつと板橋区企業活性化センター中嶋修センター長のこと

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しばらく意識を失っていました。

その中で私は何かのセミナーをやっていました。同じステージにはアドバイザー席のような机があり、そこに座っていた板橋区企業活性化センター長の中嶋修さんがそろそろと立ち上がりながら、おもむろに「あー、ちょっと喋らせてもらってもいいっ?」とあの独特の口調で、表情は柔らかいままで、無理強いはしないけどもし時間をもらえるなら折角だから、という感じで。
私の方は、講演が終わったら引き続き一人10分ずつの個別相談を予定しているというタイトなスケジュールのため、喋ってほしいけれど時間がオーバーするなあとジレンマに陥っている・・・というところでだと気づきました。

10月1日から5日までの5日間、よろず支援拠点の本部研修を受講しました。所は東京板橋にある「板橋区企業活性化センター」。研修の指導者は同センターのセンター長であり、よろず支援拠点全国本部アドバイザリーボード委員長も務めておられる中嶋修さんという方でした。

研修と言いながら、手法やツールについても教わったのですが、どうもそれらとは異なる別のものをも、合わせていただいたような気がします。それが何かまだ判然とはしませんが、中嶋修さんという方の魂のようなものを少し分けていただいたのではなかろうかと感じています。それが夢に現れたのかな?と、勝手な解釈ですが。

正法眼蔵随聞記という本に「霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる。よき人に近づけば、覚えざるによき人となる」(五ノ三)という一節があります。長らくこの意味がわかりませんでしたが、ああ、これがそれか、と少し理解できたような気になりました。一つのテーマで5日間の研修というのは結構長い時間ですが、それだけの時間をともに過ごさせていただくことで、師匠の仕事に対する姿勢や心が、吸気や皮膚を通じてしみ込んでくる、という感じでしょうか。頭では理解できていませんが、自分の中に中嶋さんの魂の一部なりとも取り込めていればいいなあと、夢から覚め、ひとしきり思いました。※写真は「板橋区企業活性化センター」ではなく、センターがある板橋区の入り口入り口の交差点です。埼玉県の戸田公園駅近くにとった宿から、荒川にかかる戸田橋を毎日歩いて通勤しました。

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知的好奇心を大いに刺激させられたIBMの方の講演

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 ITコーディネータ富山というNPO法人があり、過日、同NPO主催の勉強会に行ってきました。
 目的の一つは、自分の資格維持のためのポイント取得ですが、もう一つは「人工知能とIoTが切り拓く明るい未来と価値創造」という講演テーマに惹かれたことです。
 色々仕事をしている中で、「うちのこれはIoTです」と言われ、よく聞くとLANの中だけで工場内に終始する管理の仕組み話であり、ネットにはつながなかったりするとか、それほど多量でもないのに「ビッグデータを分析して・・・」など、ITとIoTとMtoMとビッグデータとAIの関係や違いが曖昧なまま言葉先行で流通しているような感じがします。
 それはそれで良いのかも知れませんが、機会があれば、ちゃんとそれらのサービスを提供している人のお話に触れようと思っています。

 ということで、今回のお話は、日本アイ・ビー・エム株式会社 マーケティング&コミュニケーション お客様プログラム 北信越地区部長のNさんという方のご講演でした。
 120分という長時間にわたってですが、久しぶりに知的好奇心を大いに刺激された良い内容の講演でした。
 ここでの「良い」とは、もちろん私にとってですが、何が良いって、話を聞いた後で、行動を起こさせるという点が最も大きなことです。
 影響を受けるというのは、行動を起こさせることほど大きなものはないのではないかと思います。(講演の後、色々調べまわったり、購買行動を起こしたりしました)
 ただし、アジテートとか、洗脳とかではありません。
 「これからの時代はこういうものが日常になっていく可能性があります。何ができるかを自分でも色々試しています。」と言って、ご自身が一年間育ててきたトヨタのKIROBOを持参して会話したり、自宅でスマートスピーカーを操作して電気やエアコンのスイッチを入れている様子をスマホで撮影して会場で上映されたり、それらの変化の背景になっている技術動向・政策動向などをふんだんに話していただいただけです。

 以前、NTT勤務時代に、LANの推進をしていたある人は、自費で、当時一台数十万円したルータを何台も買い込み、自宅でLANの構築をして様々な実験をし、その知見に基づいてNTTの後輩に教えるとともにお客様企業を訪問して技術面の解決策を提示するなど、ノウハウを惜しげもなく披露し、北陸地域のLANの普及に努めておられました。
 これはまさに信念を持ったエバンジェリストだと、その姿勢に感銘を受け、自分には何ができるだろうかと考え、パソコン通信に加入してフォーラムに入ったり日経テレコンに個人加盟して記事検索をしたりして仕事に活用していました。
 このように、他人に自発的行動を起こさせる人・話は、随分久しぶりでした。
 また、IBMというと個人的にはThinkPadを会社で使ったという程度しか接点がありませんでしたが、今回の講演でとても身近に感じることができました。

 さて、具体的な講演内容はここには書けませんが、私が書き留めたキーワードを後の控えとして列挙しておきます。

・スパコン 中国100ペタ、次はIBM200ペタ(20京)、後5倍でエクサスケール(エクサ=1000ペタ)となる
・未来投資戦略2018 5年で24兆円、Society5.0がこれからの産業政策の柱
・IT活用は2つの視点から (従来型)SoR(System of Record) (これから)SoE(System of Engagement)
・AirBnBやリフトはDigital Disruption(破壊的産業変革)・・・攪乱的?
・Frienemy=Friend+Enemy
・所有から経験へ
・IBMのWatsonはA4サイズの書類8億枚を1秒で読み取り理解する
・AI(アシスト係)とAGI(汎用型)の違い
・無料で使えるIBMクラウド Watson Assistant
・Qiita 技術者が様々な研究成果などを書き込むサイト
・AIはビッグデータがあって初めて有用なものとなる
・Watsonのリアルタイム翻訳機能
・顧客接点改革
・意思決定支援:経験則や学習のまだ少ない人向け
・20世紀フォックスはAIが映画「Morgan」の予告編(観る人の恐怖心をどの辺で煽るかなどを計算し)をわずか24時間で作った(通常は数カ月かかる) これは創造に近い もちろんデータやロジックやストーリーを人が与えるわけであり、その範囲内でしかできないものではあるが
・ロボット+Watson⇒マルチリンガル(多言語対応)、マルチロボット(仕事の引継ぎをロボット間で行う)、マルチタスク(複数の顧客対応を同時並行に行う)
・IoTの事例 セブン自動車保険 amazonダッシュのようなボタンを車につけ、何か事故があるとそのボタンを押す 即座に保険会社から電話がかる 何もなくても走行状態を常にクラウドに上げ、距離やスピードなどの記録をスマホで見ることもできる(もちろんドライバーたちのデータはクラウド上でビッグデータとして集められ分析され何らかの事業者に届けられ、マーケティングやサービス開発などに活用されている可能性はある)
・エッジコンピューティング ラトック 赤外線リモコンの操作 Alexaとの連動
・池上彰氏の『おとなの教養』リベラルアーツはAI時代になっても必要
・AI時代に求められるコンピテンシーは以下の3つ
 Creativity(創造性)
 Hospitality(コミュニケーション)
 Management(リーダーシップ/マネジメント)・・・つまり共感力と感動。

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豊田佐吉記念館の思い出など

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3年前の2月に静岡県に出かける機会がありました。
その折、少し早く到着したため、鷲津駅というJRの駅からほど近いところにあった豊田佐吉記念館を訪れました。
もう記憶も薄れていたのですが、写真の整理をしていて、ああ、ここ行ったなあと思いだしたので、写真データとともに当時の印象を少し記録しておきます。
古い建物が門構えとともに残してあります。敷地は広大で、裏山があり山の上まで登ると眼下に平野が広がっていましたが、そこは措いておき、中に入ってすぐに豊田佐吉が発明した木製の織機が残してある倉庫がありました。お母さんのために作ったものだそうですが、使えるようなものになるまで何度も何度も失敗していたということが書いてありました。確か国産自動車の生産においても何度も失敗したと聞いた覚えがあります。
あのトヨタにして、創業者は失敗の連続だったと。
失敗、と言っても、やめてしまわなければまだ失敗したかどうかはわからない。その時点ではまだ成功とは言えないのでしょうけれど、試作、実験、チャレンジの最中だと考えれば、やり続けている間は失敗ではない、という話を最近聞きました。ものは考えようだなと思います。
「やってみなはれ」と言い続けた鳥井信治郎氏の考え方はサントリーのDNAになっており、今や新商品の数は王者キリンをも抜き去ったと言います。
何代か前のトヨタ社長の奥田碩氏は社長就任挨拶で社員に向かって「悪いのはチャレンジしないことだ」と宣言し、失敗を恐れる空気を一掃したそうです。豊田佐吉記念館を訪れ、この挨拶はまさに佐吉翁の考え方を受け継いだものだと感じました。この家から豊田喜一郎氏なども生まれたそうです。

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坂本光司さんの「持続する良い会社」10の共通点

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 昨年暮れに出た複数の経済誌。
 いずれも2018年の予測を特集していましたが、ダイヤモンド誌に少し異色の記事がありました。
 広告企画で「息子・娘を入れたい会社2018」という特集で、広告なので大半は企業のPRなのですが、その冒頭に縫製大学院教授の坂本光司さんのインタビューが載っていました。

 坂本さんは以下のように述べておられます。

・企業の真の目的・使命は、企業に関係する全ての人々の幸せの追求と実現です。

・全国の8000社を超える企業の現地調査をしてわかった、業績が安定的に高い企業は例外なく”人をとことん大切にする人間本位主義の経営”を行っていた。

・全ての人々とは、次の5種類の人々である。
 ①社員とその家族(これが最も大切にすべき人々)
 ②仕入先や協力企業等で働く社外社員とその家族
 ③現在の顧客と未来の顧客
 ④地域住民、とりわけ障がい者や高齢者等の社会的弱者
 ⑤出資者や関係機関
 ※出資者や関係機関の幸せは、前の4人の幸せを追求・実現した結果として実現する。社員及び社外社員第一主義を愚直に実践している企業こそ、結果的に高い株主満足度を達成している。

・持続する良い会社に共通する特徴は次の10項目。
 ①人を大切にする経営を実践している。
 ②価格競争ではなく非価格競争を実践している。
  価格以外の付加価値で勝負できるサービス・商品を持っている。
 ③年輪経営を実践している。
  自然の摂理に反する急拡大、急成長を目指していない。
 ④環境依存・環境追随型の経営をしていない。
  環境が良くても悪くても、取引先からの要求に屈しない。そのためには、その企業でしか創造・提供できない価値のあるサービスや商品を持っていることが条件。
 ⑤バランスの良い経営を実践している。
  一部の分野に特化せず、事業内容に偏りがない。
 ⑥ワンマン経営ではなく全員参加型経営を実践している。
  社員のモチベーションを高める有力な方策の一つは計画作りへの参画である。
 ⑦閉鎖的ではなくガラス張り経営を実践している。
  人事評価制度も透明性があり、頑張れば報われる制度が整っている。
 ⑧情報発信力の強い経営を実践している。
 ⑨人財の確保と育成に注力した経営を実践している。
  好不況にかかわらず、新卒採用と人財教育に力を入れている。
  企業のあるべき教育時間は、所定内労働時間の5%以上、月間でほぼ1日分の教育。金額でいえば、社員一人当たりの人財育成経費は年間10万円以上が望ましい。
 ⑩大家族的な経営を実践している。
  行き過ぎた成果主義ではなく、ぬくもりのある企業風土を醸成している。

 これら10の項目の中には、「1項目目」以外にも私もなるほどなあと思うものがいくつもあります。これはコンサルの仕事においても十分役に立つ情報だと思いますので、今後活用させていただきたいと思います。

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2017年の年末に出た経済誌を総ざらえ

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 最近は毎年年末に主要経済誌が翌年の予測の特集号を出すのが慣例になってきました。
 今回は『日経ビジネス』『東洋経済』『エコノミスト』『ダイヤモンド』の各誌をざっと総ざらえしてみました。
 ユーラシアグループのイアン・ブレマーさんと英国エコノミスト誌のビル・エモットさんが複数の雑誌に登場していました。特にブレマーさんは3誌にまで顔を出していました。ということでブレマーさんの象徴的なコメントから記載していきます。

1.日経ビジネスより

 ブレマーさん:Gゼロの拡大、ポピュリストの増大と権威の崩壊という潮流はさらに加速。トランプ大統領の弾劾は(中間選挙までは)なく、米国第一主義は続く。

 ジョセフ・スティグリッツさん:(中国の今後について)習近平国家主席は以前にはない方法で権限を集中させている。債務主導型の成長を続けてきた。債権問題が深刻化するのを避けつつ成長を維持できるか。

 ビル・エモットさん:(英国について)ジェレミー・コービン氏率いる労働党は格差是正を愚直に訴え支持を高めている。2018年労働党政権が誕生するかも。

 スコット・ギャロウェイさん:GAFA4社の中ではアマゾンが抜け出す可能性が高い。音声アシスタントが既存企業のブランド資産を壊す。今のトレンドが続けば、平均的なミレニアル世代は死ぬまでの間にエフィスブックとインスタグラムに合計2年半分の時間を費やす計算になる。かつて人間が神に聞いていたことを、私たちがグーグルに聞くようになっているとすれば、それは「神」と言えるだろう。グーグルは「脳」、フェイスブックは「ハート(心)」、アマゾンは「胃袋」、アップルは「局部」(アップルは財力や創造性の象徴であり人間の生殖本能にアピールしているから)。

2.東洋経済より

 ビル・エモットさんとリンダ・グラットンさんの対談。
 グラットンさん:日本企業は人材育成にかける費用を減らしてきている。これは間違い。
 エモットさん:日本企業は高水準の利益を上げており余裕はある。人材育成予算が縮小しているのは、非正規雇用が増えたことの裏返し。こういうやり方で競争力を高めようとするのは問題。
 グラットンさん:日本は世界のどこよりも急速に高齢化が進んでいる。日本がこれにどう対処していくかに世界は注目しており、日本はその経験を教えられる。また他国と比べて日本人はロボットやAIに対する信頼が厚く、生産性向上や人生を豊かにしてくれるものとしてロボットやAIがどう役立つかを示すことができる。

 2018年はリーマンショックから10年。先進国も新興国も経済は堅調で「ゴルディロックス(適温)経済」が続くと思われるが、信用危機は10年サイクルで到来するとも言われている。油断禁物。

 ロシア。財務大臣を務めていたアレクセイ・クドリン氏に注目。首相に指名されるかも。もう一人の注目すべき人物はセルゲイ・ソビャーニン・モスクワ市長・・・だそうです。クドリン氏が提唱する構造改革プランが実現すれば3%成長が期待できるとのこと。

 中国経済。習近平氏の2期目は改革促進。
 2015年12月の中央経済工作会議で提起された「五大任務」によって経済の構造改革が進められるのではないか
 五大任務:①過剰生産能力解消、②不動産在庫削減、③デレバレッジ(債務削減)・資産圧縮、④コスト引き下げ、⑤効率的な供給拡大(略称三去一降一補)
 2020年までの「小康社会の全面的完成の決勝期」に挙げられた3つの重点戦略:①重大なリスクの防止・解消、②貧困脱却、③汚染対策(全面的完成とは、2015年に5575万人いた貧困人口を2020年までにゼロにすること)
 金融政策はやや引き締め(資産管理業務規制など)でいくため短期的には景気減速も予想されるが、6%台の成長を維持し、2020年所得倍増計画達成に向かっていくであろう。

 ライドシェア・カーシェアが浸透。
 日本では白タク行為規制によりライドシェアはまだ導入されていないが、個人間のライドシェア(持ち主が使わない間、他人に車を貸す)は人気が出てきた。カーシェアは借りた場所に車を返すラウンドトリップ方式が主流、借りた場所以外の場所にも返せるワンウェイ方式はまだ。

 メルカリ。
 CASHが出たら即同様のサービスを開始。「メルカリナウ」というサービス。楽天もフリマサービスをメルカリを猛追している。メルカリはモノの売り買いに加え、自転車シェアサービス「メルチャリ」やスキル・知識のマッチングサービス「ティーチャ」などコトのサービスシェアへと拡張を始めている。日本発のフリーマーケットサイトから目が離せない。

 ビットコイン。
 デンマークの投資銀行サクソバンクは2018年に6万ドルまで上昇するがそれがピークとなり、その後は1000ドルまで急落するであろう。各国政府の規制と国家による独自仮想通貨発行が価格急落の要因になる。

 堺屋太一さん。
 2020年が過ぎると、大不況になる可能性が高い。膨大なカネを費やす東京オリンピックが終わって、公共事業が止まり、東京都内にまで少子化が及んで空き家だらけになる。2020年代後半には、医者が猛烈に余る。仕事確保のため健康な人を病人扱いしようとする恐れがある。不動産価格は暴落する。江戸時代でいうと天保のころのような雰囲気になる。近い将来の日本でも社会の安定を壊すようなムードが高まるだろう。閉塞感の源である人口減少問題に対して改革の機運が起こる。具体的には移民受け入れを政策的に行うべき。かつての日本は移民受け入れをし、彼らや彼らの子孫は偉大な業績を残したり日本文化の発展に貢献した。日本人は同化力に自信を持つべき、日本文化は決して日本土着の日本人だけで作られたものではない。

 3.エコノミストより

 嶋中雄二さんの景気循環論。
 キチンサイクル、ジュグラーサイクル、クズネッツサイクル、コンドラチェフサイクルの4つの景気循環サイクルすべてが上昇局面になる「ゴールデンサイクル」(嶋中氏命名)という視点で見ると、米国は2017年から2018年までがゴールデンサイクルとなる。2019年はコンドラチェフサイクルを除きあとの3つは下降へ向かう。2018年終わり頃から2019年にかけてインフレが発生する可能性がある。(米国のことです)

 水野和夫さんの予言。
 ゼロ金利下では近代資本主義は成り立たない。国家は労働分配率を高める努力をせずに、金融緩和のための低金利政策に邁進し、ROE(株主資本利益率)を高める号令を発することに躍起に。この結果、緩和で市中にあふれたマネーが株式に集中し、一部の投資家のみに莫大なリターンをもたらしている。
 16世紀の欧州では、オランダのチューリップバブル後、リターンを得た商人が、次にオランダと英国の東インド会社、南海会社を選んだ。その後南米との貿易に期待が過剰に膨らみ、株価が急騰し、ある日はじけた。この南海泡沫事件から見れば、チューリップバブルは序章に過ぎなかった。それに引き寄せて考えるならば、10年前のリーマン・ショックも序章に過ぎないのではないか。2008年のリーマン・ショックは世界に大きな景気後退をもたらしたが、足元ではまた世界中の資産価格が異様に上昇している。高リターンを得た一部の投資家が世界中で再投資をしているからだ。
 これから100年は近代資本主義とは違う世界が再構築されていく。今の子供たちの世代が再構築していく。今はその過渡期とも言え、絶えず改善策を見つけては一歩ずつ進んでいくしかない。

 中国のIT巨大企業。BAT:検索大手のバイドゥ、EC最大手のアリババ、SNS最大手のテンセント。

 4.ダイヤモンドより

 地銀は利益が20%減。銀行にとっての脅威はバランスシートの健全性からPLの収益性に移行している。(貸出先の企業の業績低迷=銀行の資産の不良状態がバランスシートの問題、PLの収益性は利益が出ずに企業を維持していけなくなる危険性という点での問題)
 (地銀の本業低迷行の地図はショッキング)

 似鳥昭夫氏のコメント。
 五輪景気や消費増税の駆け込み需要が終わる2020年以降の5~10年ぐらいは大不況になる。不況はチャンス。不動産価格が下がれば立地が確保しやすくなり、大手企業が採用を控えれば優秀な人材を採用しやすくなる。消費減退の影響で一気に寡占化が進む。

 KDDI田中孝司社長のコメント。
 われわれはライフデザイン企業に変革する。が、通信事業がコア事業であることになんら変更はない。
 IoTに関しては現在消費者向けに力を入れている。家のIoT化を実現する「auホーム」はこれから増えていく。鍵となる端末はカメラである。本当に需要があるのは家電操作などの機能ではなく、家の見守り。

 以上、私の勝手なつまみ食い抜粋ですが、2018年またはそれ以降を考えて行くための、自分自身の参考情報として記載しておきたいと思います。

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浅田彰さんの新「逃走論」と塩野七生さんの「自由な思考がイノベーションを生む」というお話

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明けましておめでとうございます。
2018年がスタートしました。

毎年元日の全国紙を買って見比べることが私の新年の行事の一つとなっています。
しかしここ数年は地元駅がJRの経営ではなくなったこともあり、売店で全国紙の取扱が一部のみとなってしまいました。
コンビニに行っても一部の新聞しか扱っていないため、いわゆる「朝・毎・読・日経・サンケイ」の五大紙のうち三紙しか手に入りません。加えて地元新聞と北陸中日を読み比べ。
今年は例年になく目ぼしい記事がありませんでした。新聞業界、パワーダウンでしょうか?

そんな中で一つだけ目を引いた記事が朝日に載っていた浅田彰さんのインタビュー記事でした。
浅田彰さんと言えば、私が大学に通っていた頃、ニューアカデミズムの旗手として中沢新一さんらとともにマスコミにもてはやされていた時期がありました。『構造と力』『逃走論』などという著書が大変な売れ行きだったことを記憶しています。
あれから30年以上経過し、時折論壇などでお目にかかる機会はあるものの、どんな研究をしてどんな言論をしているのかよくわかりませんでした。(私の見ている範囲が限定されていることはあると思いますが)

このインタビュー記事によると、80年代、「家族」「男らしさ/女らしさ」といった価値観が変化する一方、古い価値観やアイデンティティーに固執する(パラノイア)人も多いので、資本主義を半ば肯定しつつ、多様な人々と横につながり、自分も変身していこうと提唱した、これが当時の『逃走論』だったと。そういえば、その後異業種交流などが盛んになった時期でもありました。しかし異業種交流はその後会社で偉くなって行くための人脈形成というふうに一部では変質していったのではないかなと感じています。みんながみんなそうではないのでしょうけど。浅田さんも同様の印象を持ってかどうかはわかりませんが、同じインタビューの中で「逃走の多くは資本主義にのみ込まれた」と語っています。

現代のSNSの時代になっても「「いいね!」数を稼ぐことが重要」「人気や売り上げだけを価値とする資本主義の論理」に重なり、「仲良しのコミュニケーションが重視され、自分と合わない人はすぐに排除する」と分析しています。
多様な価値観をお互いに認めあうことが大切だと私たちは子どもの頃から教わってきましたが、私たちの先輩に当たる年齢の人たちも同年代の人も、驚いたことに私たちよりも若い人たちですら、排除・分断をいともたやすく口にする時代になりました。
浅田さんはそういう状況の中で「自由」を確保するために「ときには接続を切り、ネット村から逃走する必要がある。そのときConnectとCutの間にIが発生する。」と、つないで切断し、切断してつなぐ、その間にいる自分がクールでいることが重要だと説いていました。

この記事の数日前、平成29年12月26日付けの日経新聞には塩野七生さんのインタビュー記事が載っていました。
塩野さんは浅田さんが確保すべきだと語る「自由」について「自由とは基本的には思考の自由」であり、それが「イノベーションにつながる」と語っておられます。
「ネット中毒」や「スマホ中毒」「SNS疲れ」などといったことも言われて久しいですが、人の書いたもの、興奮を煽るもの、その「村祭りの熱狂」から時々少し自分(I)を離して、思考の自由を保つこと(逃走すること)で、心が解放されイノベーションをもたらす元になる、という着想をお二人からいただきました。

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