1冊目に続いて、2冊目も大変面白かった。
明るくリラックスできる推理小説だ。
疲れた時の癒し本、って言ったら著者に失礼だろうか。
主人公と店主の関係が少しずつ狭まってきているのだが、できればこのままプラトニックな関係が続けばいいなあと思っている。
3冊目、4冊目も楽しみにしている。
「読んだ本」カテゴリーアーカイブ
医学者・中田力氏の『日本古代史を科学する』
中田力という方(医学者・・・相当権威のある方らしい)の『日本古代史を科学する』という本を読んだ。
この方が医学者であるということと、本の内容は直接の因果関係はない。
しかし、これまでの歴史学者とはまったく異なるアプローチで、邪馬台国や出雲王朝の成り立ちを解き明かそうという試みであり、大変興味深く、面白く読ませていただいた。
日本古代史好きにとっては、たまらなくロマンを掻き立てるテーマである。
といってもこの著者のアプローチはロマンで行われているわけではない。
ま、能書きはともかく、魏志倭人伝にある「方三百里」とか「陸行何日」とかいうのを、たとえば、一理を何キロという今風の距離感ではなく、当時の色々な資料に当って、せいぜい60~70メートルだ、という比定をして、そこから、最終的には、邪馬台国は宮崎県の日向灘辺りだ、と推論づける。
また、染色体科学や中国の王朝の興亡をひもとき、「奴」国も、邪馬台国も、出雲も、いずれも中国南部の「呉」や「越」の戦争難民が逃れてきたという推論を行っている。この中で検討されているヒトの染色体、それと、米の染色体を連動させて、理論づけている考え方がとても面白く、推理小説を読み進むようなワクワク感がある。
ずっと「科学的」と言い続けておられるのだが、最後の方は、「検証が難しい」と言って、多分に思いで書いておられるようなところも多いが、それは日本古代史の霧の中のことを考えるためおのずと限界があろうと思う。
それでも十分頷けるところの多い、新たな日本古代史論であると思う。
清水克衛さんの『非常識な読書のすすめ』
podcastに「新刊ラジオ」という番組がある。
そこで紹介されていた。(この番組を聴いて買う本が最近は多くなってきた。)
清水克衛さんという私と同年代の書店主が書いた『非常識な読書のすすめ』
内容は、決して非常識ではなく、むしろ常識の王道かも知れない、と思うことが書かれている。
読書がいかに我々の生きる道しるべや参考として大切なものか、ということを、彼が読んだ様々な本の紹介を交えながら語っている。
むしろこれから人生航路を進んでゆく若い人たちに向けられたメッセージのように思える。
<自分を大切に><読書をして磨きをかけろ><ブレるな>など強いメッセージが全編を貫いている。
読書法の本かな、と思って買ったが、そうではなく、著者が読んで面白いな・いいな、と思った本の紹介といった感じで綴られている。
しかも上述のように、単に書評や本の紹介ではなく、読書の有意義さについても語られていている。
ああ、こういう本の書き方もあるんだなあと感心した。
誰かに勧めたい一冊である。
ようやく読みましたM.J.アドラー氏の『本を読む本』
読んだらすぐにここへ読後感想などを書けばいいのだが、仕事に追われる日々が続いていると、ついつい後回しになり、机の上に「積ん読」ならぬ、ただの「積んどく」になってしまう。
この本は宮部みゆきさんの『クロスファイア』を読んだ直後に読了したものであるので、やはり読後2ヶ月くらい経過してしまっている。
きっかけは、勝間和代さんの『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』を読んだことである。
この中で素晴らしい本だと紹介されていたので、いつかしっかり原本を読んでおかなければと思い、すぐに購入したのだが、ちょっと気持ちが守備的になり、読まず仕舞でここまで来た。あれからもう何年経つだろう?
ということで本のエッセンスを少し紹介しよう。
1.読書には4つのレベルがある。
第一のレベルは「初級読書」
言ってみれば、普通に文字を習い、読み方を覚え、一字一句詠んでいくというもの。
2.第二のレベルは「点検読書」
表題や序文を見る。
目次を調べて、本の構造を知る。
その他、索引やカバーのうたい文句を見る。
その本の要の部分を想定して、いくつかの章をよく見る。
ところどころ拾い読みする。
ここまでが「点検読書」の前半であり、数分からせいぜい一時間程度で行う。これで大体のことが把握できるという。
後半は、指を本に添えて文字の上を動かし、その速度に従って目で追うというものである。
これは、恐らく慣れていないとやりにくいが、理解できる部分だけを表面的に読むというやり方である。
抵抗感があるかも知れないが、難しいことを理解することが目的でなければ、表面読みで構わない、というようなことを著者は言っている。
3.いずれにしろ、本は受動的な読書のレベルで留まらず、積極的な段階へ移すように、と著者は主張する。
これが第二レベル以上の読書に必要な条件だという。
そのための基本的な4つの質問。
質問、とは読者が本(著者)に対して行うものである。
従って、誰も音声では答えてはくれない。本から引っ張り出すのである。
そのことを前提に。
①全体として何に関する本か。
②何がどのように詳しく述べられているか。
③その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か。
④それにはどんな意義があるのか。
これらは、どんな本を読む場合でも、読者がしなくてはならない共通の質問だという。
これを行わないと、問題の核心を突いたことにはならない。
第二レベル以上の読書の技術は、正しい質問を正しい順序でする習慣をつけることだ。
4.以降のレベルの詳述は行わないが、ちなみに、第三レベルは「分析読書」
本を批判的に読むこと。
高校ぐらいでよく国語の教師から言われたことは、「批判的に本を読みなさい」というものだった。
それがこの年になってようやくわかってきた。ちと遅い。
さらに第四レベルは「シントピカル読書」というらしい。
これは複数の本を同時並行的に読み、色んな考え方・違い・共通点などを、質問を携えながら、自分の論点をまとめ上げていく読み方だという。
テレビの「キイナ」がやっていたのはまさしくこういう読み方だと思う。(かなり魔法的な速読までやっていたが)
ということで、本を読むための技術が、きちんと整理された良書だと思う。
色々読書技術に関する本を読んでいるが、いずれも「質問しなさい」ということがきっちりと書かれているのはどの本にも共通したことだ。
自分が判断の主体であり、その判断のために、主体的に必要な情報を収集し、活用しなさいよということだと思う。あとはテクニックだ。さあ、また読んで人生をより豊かなものにしていこう。
宮部みゆきさんの『クロスファイア』
なかなか書く暇がなく、読了後2ヶ月以上経ってしまった。
宮部みゆきさんの本は、どちらかと言うと妻が愛読しているのを、私が妻が読んだ数年後に後追いさせてもらっている。
エスパーものである。
女性エスパーと言えば、筒井康隆さんの「火田七瀬」ものか、半村良さんの「魔女伝説」が面白かった。
筒井さんの火田七瀬は、人の心を読む(聞こえてくる)力を持っていて、はじめはそれを制御するのに苦労していた。
事務員などの職業に就くのが危険だと思い、お手伝いさんを転々とするという職業を選んだ。
純情可憐な乙女で登場する。
途中で能力者を探す組織に狙われて、二作目の最後に命を落としてしまう。
最終的には神と一体化だったか、神と結婚だったか、そういうような終わり方まで昇華してしまう、三部作だったと思う。
一方こちらは、清らかな火田七瀬とは違い、悪いやつをやっつける、という使命感に燃えた、でも人をあやめることには変わりはない、少しダーティなヒロインである。
七瀬よりも年齢も少し上だ。
いずれにしろ、世間をはばかる生活をしている点は同じかも知れない。
終わり方がつらい点は、能力者の共通した宿命なのかも知れないが、主人公の青木淳子が次の世代に何かを残しているのかも知れないなと感じられる最後のシーンは救いがあると考えたい。
そういえば、半村良さんの『岬一郎の反抗』というエスパーものも似たような趣の小説ではなかったか。
いずれ読んでおきたい。
三上延さんの『ビブリア古書店の事件手帖』
去年の大晦日、書店に行ったら、文庫のコーナーが気になって、ついつい最近の若者が読んでそうな感じの本を数冊まとめ買いした。
今、並行してそれらを読んでいる。
真っ先に終わったのがこの本だ。
私も本が好きなので、古書店というネーミングだけで惹かれてしまうところがある。
学生時代、神田神保町にはよく出かけたものだ。
さて、この本は、神田神保町ではなく、鎌倉にある三代続く小さな古書店を舞台にしたものだ。
しかも店主は病院に入院しながら色々な事件を解決していくというもの。
世に「安楽椅子探偵もの」というジャンルがあったような気がするが、これもその系譜かも知れない。
主人公は自分のことを「俺」と表現する23歳の読書まったくしない男性であるが、気持ちが実にいい若者だ。
この若者の視線を通し、古書店主(女性)が〝探偵〟の役回りを務める。
とても内気で社会との関係がうまく結べないような女性だが、本のことになると、それも古書のことになると俄然人格が変わったように元気になる。
彼女退院したら、一度この古書店を訪ね、お目にかかってゆっくりお話を伺いたいものだと思う。
一冊の文庫本に見事に起承転結が入っている。
小気味良いストーリー作りだなあと思う。
本の雑誌2011年文庫ベスト1らしく、私が購入したのは発売9ヶ月で既に第15版である。
Part2も出ているようなので、是非読んでみようと思う。
高橋政史さんの『必要な知識を15分でインプットできる速読術』
書店にふらりと入って、なんとなく虫が騒いで、自己啓発本のコーナーに足が向いた。
買う予定はなかったにも拘わらず、どうも気になり、平積みでもなく、本の表が向けてあるわけでもなく、書棚の隅の方に普通に差し込んであった本になぜか目が止まった。
やたら長いタイトル。
そして、なんの変哲もない静かな装丁。
なぜこの本を手に取ったのか、いまだにわからないが、中も見ないで買ってしまった。
速読については、フォトリーディングの研修を名古屋まで受講しに行くくらい、そのスキルを高めたいと思っているわりに、なかなか実行することができないできた。(ポール・シーリィ氏の本を買ったのはもう10年も前なのに・・・)
たぶん、仕事で読み物が多く、家に帰ってきてまでものを読むという気力が沸いてこなかったせいかも知れないが、それは言い訳だ。
というわけで、先日から、少しずつ、フォトリーディングに取り掛かっている。
キーポイントは、ぼやっとした目の焦点の合わせ方と、左手でいかにリズミカルにつっかえずにページをめくることができるか、であろうと気づいてきた。
そんな矢先だったからかも知れない。
この本が電磁波のようなものを発して、私を呼び寄せたのだろうか、と思う。
本の中身は、この著者のオリジナルの方法論が色々書かれてある。
しかし、これまでの速読法の本と共通している点がいくつかある。
1.目的を持って取りかかるべし。
2.アウトプットを意識して読むべし。
3.キーワードを拾い上げるようにして、パラパラと検索すべし。
4.紙に書くべし。
5.時間をかけないこと。直感で、心の声に従って、キーワードを拾うのが良い。
6.自分の言葉に置き換えて理解すること。
そんなところであろうか。
この著者の素晴らしいところは、22歳まで野口英世さんの伝記ぐらいしか読んだことがなく、本を読めと言われた時に、最初の1冊を読むのに30日間かかった・・・というところから始まり、速読のために1千万円ぐらいの費用をかけたが、結局仕事の必要に迫られ、3日で60冊の本を読む力がつき、その結晶としてオリジナルでこの本に書かれてあるようなノウハウを編み出した、という点ではなかろうか。
もちろんオリジナルと言っても、それまでに受講した研修で学んだ色々なノウハウが下地にあったからこそ、ということかも知れないが、そういう人のノウハウだから、真剣に取り組めばできそうな気がする。
是非取り入れてみたいと思っている。いい本に出合えた。著者にも感謝したい。
南雲吉則さんの『50歳を超えても30代に見える生き方 「人生100年計画」の行程表 』
最近我が家では「ゴボウ茶」が旬である。
悪くない味なので飲んでいたが、著者の南雲吉則氏が提唱者らしい。
56歳ということだが、どう見ても40歳前後にしか見えない。
本の表に写真が出ている。
今時の若者、って感じだ。
しかしこの人は「今時の若者」ではない。
医者であり科学者だ。そして理屈ではなくしっかり実践し、自らの若さを保っておられる。
小食にしてゴボウ茶を飲み、よく歩く。
早寝早起き、小さな魚や果物を皮ごと食べる。
これを実践して100歳まで生きる。
私も少しでもこの人に近づいて、目標である100歳まで生きることとしよう。
100歳のある老人の言。
「100歳まで生きるためには、死なないようにすること」
けだし、名言。
オダギリ展子さん『最強の文具活用術』
文具好きにはたまらない一冊。
中身も見ないで買ってしまった。
中で紹介されていた、キングジムのデジタル名刺ホルダー「ピットレック」。
名刺整理については長いことずぼらで来たが、そろそろこういうものできちんと整理&スピーディーに検索できるようにしなければ、と思い始めている。
津本陽さんの『胡蝶の剣』
kazuto_nakajin
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JRでの帰路。最近読んでいるのは、友人お薦めの作家の剣豪小説。津本陽さんの『胡蝶の剣』である。
舞台は幕末近い嘉永年間。薩摩から江戸へ。剣術修行中の若き侍たちの物語。
日本人はこういう質実剛健な生き方をしてきたのだと、今の軟弱な自分が恥ずかしくなるような清冽な物語だ。
とても面白い。
この作家は薩摩人?と思ったが、和歌山のご出身らしい。