NTT時代の恩師思慕の集まり

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今日は13年前に亡くなったNTT勤務時代の最初の上司を偲ぶ会でした。

集まった方々は私よりもずーっと年長の方ばかりで、私なぞはとてもその方々と席を同じうするような立場ではないと承知しつつ、上司のお子さまたちにもお声をかけ、お父様のご家庭でのお話を聞かせて下さい、ということで、比較的お子さまたちと年の近い私も同席を許された次第。

デザインを頼まれて彫刻で作った電話番号が間違っていることに印刷をかける直前に判明し、大慌てでお子様方総動員で修正の手伝いをした話や、手彫りの版画の年賀状の刷り込みもお子様方の仕事だったこと、小矢部の「ムーミン谷」の命名者は三女さんだったということ、照明のアルバイトに駆り出されていたこと、小学校の頃につかこうへいの黒テントを父に連れられて観に行ったこと、家では甘いものも含めてなんでも召し上がっていたこと、料理を作るのは得意だけど奥様が片付けを担当されていたからこそ成り立っていたことなど、ありし日のお姿が目に浮かぶようでした。尾道で生まれ、8歳か9歳で宮大工だったお父上を戦争で亡くされ、お母様の手で4人兄弟の長男として育ったということも初めて知りました。

一昨年奥様もお亡くなりになり、もはやご夫婦のエピソード、奥様のお話は聞くことができなくなりましたが、お子様方がしっかりそれぞれの場所で元気に活躍しておられるので、富山に集まっていただき、お話を伺うことができました。

私が今日このようにあるのは、この最初の上司と奥様のおかげです。ものすごく色々なことを学ばせていただきました。人の営みの連なりと言いますか、昨日があって今日があるということを改めて思い起こすことができ、感謝に堪えません。

上司と奥様に改めて感謝を捧げます。お子様方もお忙しい中ありがとうございました。合掌。

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交流分析全国大会での村上信夫(元NHK)さんのお話

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 昨日10月6日(土)と今日7日(日)にかけて、富山市のサンフォルテで、交流分析協会の全国年次大会が開催されていました。
 私もスタッフとして今日だけですが、参加して参りました。(やった仕事は3階から2階へ台車一つ運んだだけですが)

 今日の講演は元NHKエグゼクティブアナウンサーの村上信夫さん。
 現在65歳におなりになっており、言葉の伝道師として、全国で言葉の大切さを伝える仕事を続けておられるようです。
 2時間近い講演でしたが、その一部、私の中に大きく印象が残ったところを書き起こさせていただきます。
 以下の内容には、村上さんが語られたことと私がそれから想起したことが混在しています。そのため村上さんの意図とは合っていない部分があるかも知れないことをお断りしておきます。

 ちなみに、村上さん、最初の勤務地は富山だったそうです。私は高校生くらいの時ですが、覚えていないものですね。すみません!

・天気の「いい」「悪い」は自分の都合である。
・正しい(〇)、誤っている、(×)の他に「別解(△)」というものが沢山ある。多くの「別解」を許容できなければ、社会は生きづらくなる。
・自分がいいと思えば、いいと言って良いが、「いい」と言う前に、ちょっとの間を置いてはどうか。間を置くことで、自分とは別の感じ方をする多くの人がいることに思いを馳せる=想像することができる。多様性の理解とか自分以外の人と共生していくためにはそれが必要ではないか。
・『二番目の悪者』(小さい書房)という絵本についての紹介。2014年発売。自分の目で確かめることの重要性。それにより真実に近づく。そして自分が確認したことに基づき、自分の言葉で伝える。伝聞の危うさ。
・筑紫哲也さんは自分で取材し、自分の判断で伝えるべきニュースを伝えていた稀有なジャーナリストだった。
・「伝える」と「伝わる」・・・一字違いだが大違い。「伝える」は自分主体、片想い。「伝わる」は双方向、両想い。
・どうしたら伝わるか。本気で、全力、全精力を使って「言葉」を伝えること。今、この時点で、一番ふさわしい言葉を選ぶこと。
・井上ひさしさんの言葉「やさしく、深く、面白く」・・・難しいことは易しく伝え、易しいことは深く考え、深い内容のことでも面白く伝える、といったような意味のようです。
・『人生は声が決める』という本がある。
・ジャパネットたかたの高田明さん。彼のプレゼンはなぜ素晴らしく、多くの人が買ってしまうか。安いことだけが理由ではなく、高田さんが実際に自分で買って使ってみてその良さや面白い使い方を自分で発見するなどして、それを自分の言葉で伝えるから、ウチにも合うかもと視聴者が自分ごととして引き寄せて感じることができる、からである。そのような受け止め方をしてもらえるように、高田さんは師匠である世阿弥から次のことを教わり、日々工夫していた。
・世阿弥が言っていたことは「我見」「離見」「離見の見」。「我見」は自分の立場。「離見」は相手の立場。「離見の見」はそれらを離れて全体を見る立場、俯瞰ということ。これ、荘子の「道枢」に近いかも知れません。

・村上さんが作詞した「嬉しいことばの歌」より。
・おはよう:朝、鏡を見て、自分で自分に笑顔を作って「おはよう」と言うと自分の心の窓が開く。松岡修造さんは寝る時に笑顔を作って寝るのだそうだ。そうすると、疲れてすぐに眠れるし、顔の神経が笑顔の状態を覚えているので、朝起きた時から笑顔でいられるとのこと。
・ありがとう:渋沢栄一翁のお孫さんの鮫島純子さんは部屋中に「ありがとう」を貼っている。こけても「(大きな怪我に合わずに)ありがとう」、便が出ても「ありがとう」、詐欺に合っても「(大金を盗られなくて)ありがとう」「(まだまだ修行が足りないことを悟らせてくれて)ありがとう」と言っている。「ありがとう」の真逆の言葉は「あたりまえ」。拍手は人の幸せを祈るためにするもの。手の甲にあるのは「節(ふし)」、節を合わせるとふしあわせ、手のひらにあるのは「皺(しわ)」、しわを合わせるとしあわせ。
・いただきます:あなたの命を、私の命にいただきます。
・おかげさま:おかげさまは「かげ」に丁寧語の「お」をつけ「さま」を足したもの。つまり「かげ」=目に見えないものに対する感謝の念。目に見えない存在とはたとえばご先祖。10代遡るだけで1024人の人がいる。それだけの人が自分の先にいて、はじめて自分が存在できている。そのことに感謝。
・よかったネ、だいすき、大丈夫:これはワンセットにして。まずは自分に伝える。そして目の前の相手にも。「良かった」と思うことは幸せホルモンを分泌してくれる。幸せホルモンには「我見」から出る「セロトニン」と人の幸せを我がことのように喜ぶことで出る「オキシトニン」がある。これら両方が出ることで、自律神経のバランスが保たれる、とか。
・おやすみ:おやすみとありがとうはセットで。
・言葉は自己への命令。嬉しい言葉を自分に送ることで、自分を変えていく。

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夢うつつと板橋区企業活性化センター中嶋修センター長のこと

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しばらく意識を失っていました。

その中で私は何かのセミナーをやっていました。同じステージにはアドバイザー席のような机があり、そこに座っていた板橋区企業活性化センター長の中嶋修さんがそろそろと立ち上がりながら、おもむろに「あー、ちょっと喋らせてもらってもいいっ?」とあの独特の口調で、表情は柔らかいままで、無理強いはしないけどもし時間をもらえるなら折角だから、という感じで。
私の方は、講演が終わったら引き続き一人10分ずつの個別相談を予定しているというタイトなスケジュールのため、喋ってほしいけれど時間がオーバーするなあとジレンマに陥っている・・・というところでだと気づきました。

10月1日から5日までの5日間、よろず支援拠点の本部研修を受講しました。所は東京板橋にある「板橋区企業活性化センター」。研修の指導者は同センターのセンター長であり、よろず支援拠点全国本部アドバイザリーボード委員長も務めておられる中嶋修さんという方でした。

研修と言いながら、手法やツールについても教わったのですが、どうもそれらとは異なる別のものをも、合わせていただいたような気がします。それが何かまだ判然とはしませんが、中嶋修さんという方の魂のようなものを少し分けていただいたのではなかろうかと感じています。それが夢に現れたのかな?と、勝手な解釈ですが。

正法眼蔵随聞記という本に「霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる。よき人に近づけば、覚えざるによき人となる」(五ノ三)という一節があります。長らくこの意味がわかりませんでしたが、ああ、これがそれか、と少し理解できたような気になりました。一つのテーマで5日間の研修というのは結構長い時間ですが、それだけの時間をともに過ごさせていただくことで、師匠の仕事に対する姿勢や心が、吸気や皮膚を通じてしみ込んでくる、という感じでしょうか。頭では理解できていませんが、自分の中に中嶋さんの魂の一部なりとも取り込めていればいいなあと、夢から覚め、ひとしきり思いました。※写真は「板橋区企業活性化センター」ではなく、センターがある板橋区の入り口入り口の交差点です。埼玉県の戸田公園駅近くにとった宿から、荒川にかかる戸田橋を毎日歩いて通勤しました。

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今年も創業スクールで講師を務めさせていただきます。

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 魚津市にある認定支援機関のアシステム税理士法人さん。
 3年前からこの税理士法人さんが主催する創業スクールで講師をさせていただいています。
 この創業スクールは、中小企業庁が、全国各地で実施される創業支援講座で一定の要件を満たすカリキュラムを「認定創業スクール」として認定し、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定まで支援する、というものです。
 平成27年に第1回を開催され、私は第2回の平成28年からお手伝いをさせていただいております。
 昨年の第3回からは、通常の講義時間だけではなく、講義終了後に個別相談の時間を設け、受講者の方々の疑問点や相談への対応も柔軟に行っています。それによって、講義を聴くだけでは十分にわからなかった点をしっかり理解していただいたり、ご自分の構想している事業についての深掘りなどを一緒に考えたりしています。
 この8月18日(土)に第4回が開講されますが、市町村の特定創業支援事業の対象地域が新川地域に留まらず、富山市も対象となったこともあり、「にいかわ創業スクール」から「とやま創業スクール」と名称が一新されました。新たな講師も加わり、パワーアップして創業希望者の方へのサポートをしていきたいと願っています。

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知的好奇心を大いに刺激させられたIBMの方の講演

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 ITコーディネータ富山というNPO法人があり、過日、同NPO主催の勉強会に行ってきました。
 目的の一つは、自分の資格維持のためのポイント取得ですが、もう一つは「人工知能とIoTが切り拓く明るい未来と価値創造」という講演テーマに惹かれたことです。
 色々仕事をしている中で、「うちのこれはIoTです」と言われ、よく聞くとLANの中だけで工場内に終始する管理の仕組み話であり、ネットにはつながなかったりするとか、それほど多量でもないのに「ビッグデータを分析して・・・」など、ITとIoTとMtoMとビッグデータとAIの関係や違いが曖昧なまま言葉先行で流通しているような感じがします。
 それはそれで良いのかも知れませんが、機会があれば、ちゃんとそれらのサービスを提供している人のお話に触れようと思っています。

 ということで、今回のお話は、日本アイ・ビー・エム株式会社 マーケティング&コミュニケーション お客様プログラム 北信越地区部長のNさんという方のご講演でした。
 120分という長時間にわたってですが、久しぶりに知的好奇心を大いに刺激された良い内容の講演でした。
 ここでの「良い」とは、もちろん私にとってですが、何が良いって、話を聞いた後で、行動を起こさせるという点が最も大きなことです。
 影響を受けるというのは、行動を起こさせることほど大きなものはないのではないかと思います。(講演の後、色々調べまわったり、購買行動を起こしたりしました)
 ただし、アジテートとか、洗脳とかではありません。
 「これからの時代はこういうものが日常になっていく可能性があります。何ができるかを自分でも色々試しています。」と言って、ご自身が一年間育ててきたトヨタのKIROBOを持参して会話したり、自宅でスマートスピーカーを操作して電気やエアコンのスイッチを入れている様子をスマホで撮影して会場で上映されたり、それらの変化の背景になっている技術動向・政策動向などをふんだんに話していただいただけです。

 以前、NTT勤務時代に、LANの推進をしていたある人は、自費で、当時一台数十万円したルータを何台も買い込み、自宅でLANの構築をして様々な実験をし、その知見に基づいてNTTの後輩に教えるとともにお客様企業を訪問して技術面の解決策を提示するなど、ノウハウを惜しげもなく披露し、北陸地域のLANの普及に努めておられました。
 これはまさに信念を持ったエバンジェリストだと、その姿勢に感銘を受け、自分には何ができるだろうかと考え、パソコン通信に加入してフォーラムに入ったり日経テレコンに個人加盟して記事検索をしたりして仕事に活用していました。
 このように、他人に自発的行動を起こさせる人・話は、随分久しぶりでした。
 また、IBMというと個人的にはThinkPadを会社で使ったという程度しか接点がありませんでしたが、今回の講演でとても身近に感じることができました。

 さて、具体的な講演内容はここには書けませんが、私が書き留めたキーワードを後の控えとして列挙しておきます。

・スパコン 中国100ペタ、次はIBM200ペタ(20京)、後5倍でエクサスケール(エクサ=1000ペタ)となる
・未来投資戦略2018 5年で24兆円、Society5.0がこれからの産業政策の柱
・IT活用は2つの視点から (従来型)SoR(System of Record) (これから)SoE(System of Engagement)
・AirBnBやリフトはDigital Disruption(破壊的産業変革)・・・攪乱的?
・Frienemy=Friend+Enemy
・所有から経験へ
・IBMのWatsonはA4サイズの書類8億枚を1秒で読み取り理解する
・AI(アシスト係)とAGI(汎用型)の違い
・無料で使えるIBMクラウド Watson Assistant
・Qiita 技術者が様々な研究成果などを書き込むサイト
・AIはビッグデータがあって初めて有用なものとなる
・Watsonのリアルタイム翻訳機能
・顧客接点改革
・意思決定支援:経験則や学習のまだ少ない人向け
・20世紀フォックスはAIが映画「Morgan」の予告編(観る人の恐怖心をどの辺で煽るかなどを計算し)をわずか24時間で作った(通常は数カ月かかる) これは創造に近い もちろんデータやロジックやストーリーを人が与えるわけであり、その範囲内でしかできないものではあるが
・ロボット+Watson⇒マルチリンガル(多言語対応)、マルチロボット(仕事の引継ぎをロボット間で行う)、マルチタスク(複数の顧客対応を同時並行に行う)
・IoTの事例 セブン自動車保険 amazonダッシュのようなボタンを車につけ、何か事故があるとそのボタンを押す 即座に保険会社から電話がかる 何もなくても走行状態を常にクラウドに上げ、距離やスピードなどの記録をスマホで見ることもできる(もちろんドライバーたちのデータはクラウド上でビッグデータとして集められ分析され何らかの事業者に届けられ、マーケティングやサービス開発などに活用されている可能性はある)
・エッジコンピューティング ラトック 赤外線リモコンの操作 Alexaとの連動
・池上彰氏の『おとなの教養』リベラルアーツはAI時代になっても必要
・AI時代に求められるコンピテンシーは以下の3つ
 Creativity(創造性)
 Hospitality(コミュニケーション)
 Management(リーダーシップ/マネジメント)・・・つまり共感力と感動。

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小暮太一さんの『超入門資本論』

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 大ぶりの書籍は敬して遠ざけていた感があります。
 特に経済学の本などは、大学生の時にミクロ経済学の入り口で挫折して以来、経済学部生であったにもかかわらずその門に近づくことさえせずにいました。
 カール・マルクスの資本論なんてもってのほかだったのですが、一冊も買いもせず、書店で見向きもせず、ということで果たして良いのだろうか、と思っていたら、偶然町の書店でこの本が目に入りました。
 帯には「120分で読める」というようなことが書いてあり、入門のさらに入門編の書として開いてみるのも良いかもと思い、求めました。

 一読して目から鱗がポロポロポロリとなだれおちました。
 著者の小暮さんがどこまで意訳されているのかはわかりませんが、資本主義の本質をわかりやすく説明されているなと感じました。
 最近、経営革新計画やものづくり補助金などの仕事に携わる機会があり、これらの本質を考える上でも大変役に立つ本でした。

 曰く「商品の価値」とは「原材料」「機械使用料」「労働量」の総和であり、ここからは「利益」は出ない。(私たちが一般的に使っている「価値」とは定義が異なるので注意が必要です)
 商品の値段は価値で決まる。
 但し、同じような商品でありながら、ある会社では倍の労力を要して作っても、その労力分を価格に転嫁することはできない。
 価格は社会平均で決まる。社会平均とは、一般的に社会で製造する平均的なコストのかけ方のこと。よってある会社が社会平均よりも手間暇かけたとしても高い価格で売れるわけではない。
 また、「価値」とは別に「使用価値」というものがある。
 商品の価格は「価値」で決まり、「使用価値」で多少上下する。
 「使用価値」とは使う人のメリットである。

 この考え方を私たちの賃金(労働力の値段)に置き換えても同じである。
 賃金は、労働力を作るために必要な要素の合計で決まる。
 その仕事をするために必要な体力と知力、食事、休息、住居、など。
 たとえば、医師は医師になるために多くの時間をかけて専門知識をたっぷり吸収しなければならないので、単純作業をする仕事よりも「価値」が大きく、賃金が高い。
 営業担当者の場合、営業をするための体力、知力に応じて賃金が決まる。
 会社により大きな利益をもたらす、高い成果を上げる営業担当者は、会社にとっては「使用価値」が高いことになる。
 「使用価値」は、それが高くても賃金に大きな差はつかない。なぜなら、賃金の基本は「価値」で決まり、「使用価値」は多少の上下にしかならないからである。よって売上や利益が同僚の2倍稼ぐ営業担当者がいても賃金が2倍になるわけではない。

 会社の「利益」は「価値」からも「使用価値」からも出てこない。
 需要と供給が一致している場合、投入した資源(かけたコスト、支払った費用)はそのまま「価格」になるので、「利益」はゼロである。
 「利益」は「剰余価値」から生まれる。
 「剰余価値」とは労働者が自分のもらう給料以上に働いて生み出す価値のこと、だそうです。
 原材料は形を変えても仕入れた原材料以上の価値にはならない、機械も同じ、剰余価値は人が手をかけた分からしか生まれない、のだそうです。
 「剰余価値」には「絶対的剰余価値」「相対的剰余価値」「特別剰余価値」の3種類があるそうです。

 「絶対的剰余価値」は労働者を給料以上に長く働かせることによって生み出される剰余価値。資本主義が進むと、剰余価値=利益を追い求めるために、労働者に給料以上の労働をしてもらわないと会社に利益が残りにくくなる、そのために、ブラックや過労死などが増えていく。

 「相対的剰余価値」はデフレ(需要<供給)でものやサービスの値段が下がり、下がった結果、労働者が労働力を維持するために必要な費用が下がり、その結果賃金を下げたが、働く時間は変わらないため、結果として労働量よりも労働者に支払う賃金が少ない状態になることで生まれる剰余価値。

 「特別剰余価値」・・・これが経営革新計画やものづくり補助金などにとって重要なかかわりのある内容です。
 ある会社が最新鋭の機械を導入することなどによって生産性を高め、一定時間で他社よりも多くの商品を製造することができるようになると、他社よりも小さいコストで製造できることになり、社会平均価格で販売した場合は、安いコストで作った分、利益が出る。
 つまり、イノベーションによって出てくる剰余価値です。
 しかしいずれどの会社も同じように最新鋭の機械を導入して同じ程度のコストで作ることができるようになる、又はそれができない会社は淘汰され、同じコストで作ることのできる会社だけが生き残る。つまり低価格の方に引っ張られる。コモディティ化する。
 そうすると、折角イノベーションをして儲かる仕組みを作ったにもかかわらず、ある程度時間が経つと自社の利益はまた少なくなる。自分で自分の首を絞め続けるのが資本主義の仕組みだということです。

 となると、他社よりも若干古い機械を使用しており、老朽化しているので最新鋭の機械を入れる、というのは、そもそも社会平均よりも高いコストで製造していたのを、社会平均並にするというだけであり、これは革新でもなんでもないことになります。もちろん国が「ものづくり補助金」の申請に求めるものも「革新的な」という内容を満たすことが前提になっていますので、こういう例は残念ながら採択されることはないと思います。経営革新計画も同じです。
 とはいえ、新しい機械を導入しても、いずれまたコモディティ化の波に呑まれてしまうというジレンマがあり、企業の経営者にとっては悩ましい課題です。

 大企業は大量生産し続けていくことが必要なため、自社が製造する商品については、できるだけ他社に先駆けてイノベーションするか、ちょっと変わった機能をつける「付加価値」で多少高価な値付けをするか、などが必要になります。
 しかし中小企業は大企業と同じ土俵で競争をするだけの力がないため、できればイノベーションと縁遠い仕事(自社にしかできない技術・技能・・・例えば一品もの、少量生産もの、試作品など)で勝負できるようにして生き残って行くことが必要ではないかと思いました。

 この本には、では労働者はどうやって疲弊せずに生き残って行くか、というヒントも書いてありました。
 それについては、ご関心のある方は是非ご一読をお勧めします。とても読みやすく理解しやすい本でした。(このブログの内容がわかりにくいとすれば、ひとえに私の文章表現の問題であり、著者さんの問題ではありません)

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馬場マコトさん・土屋洋さんの『江副浩正』

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 リクルート創業者の江副浩正さんの評伝です。およそ500ページの大部の本でした。

   私にとってのリクルートは、NTT初代社長の真藤恒さんが突如経営の座から引きずり降ろされたリクルート事件であり、それはそれは強烈な体験でした。
 役所が民間企業に変貌していくはずの、まさにその真っ最中、先頭に立って旗振りをし、私たち社員一人ひとりを鼓舞し続けてくれていた御一人が犯罪者の疑いをかけられて経営第一線から転落した事件だっただけに、入社間もない私にとっては大きなショックでした。

 その辺りのことを知りたいと思ってリクルートが第二種電気通信事業に乗り出したところから読みましたが、あまり深く触れられているという感じではなく、同社の二種事業進出の背景や、その後撤退したことなどが割と中心に書かれていました。
 真藤さんが「白状したぞ」ということを検察官から告げられて、江副さんもこれ以上世話になった方々に迷惑をかけてはいけないと考え、やってもいないことをやったと言わざるを得なくなった、というくだりは(真実は私にはわかりませんが)涙なくしては読み進められませんでした。

 江副浩正さん自身は稀代の事業家だったと思います。すごいアイディアマンであり、人を生かす経営をし、人を生かす仕組みを考え出して実行し、それを組織の遺伝子になるまで埋め込みました。その結果リクルート出身の起業家の多いこと多いこと。
 しかし、本人は子どもの頃に母を父によって奪われた悔しさを原体験として持ち、合唱部では口パクを強いられた悔しさ、部下の結婚式でわけのわからない会社と言われた悔しさ、稲盛さんに対する悔しさ、野村証券に見放された(と勘違いした)悔しさ、と「悔しさ」という言葉が全編を覆っていて、ちょっと息苦しさを感じました。
 一方でそれが江副浩正さんの成長の原動力だったというような記載もありました。しかし会社が相当大きく成長した後まで、負のエネルギーを糧にし続けているとどうなるのか。高転びに仰のけに転んでしまったということではないでしょうか。ダイエーの中内さん、西友の堤さんなどとの共通点がなんとなく感じられ、つらくなりました。
 どこかで転換できれば良かったのでしょうが、私はこういうふうに生きていく、と無意識のうちに決めてしまった幼児決断は、その後の人生において継続して同じことを何度も繰り返す。それが人生脚本であり、そこから抜け出すには本人が気づくしかない、とは交流分析の考え方です。しかしこんなことを言うのは、当事者でもなく事業家ではない傍観者の世迷言なのでしょうね。

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独立から丸三年、日々新たに、これからも

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 経営コンサルタントとして独立開業して今日で丸三年を過ぎ、四年目に入りました。
 この間、大変多くの方にお声をかけていただき、助けていただきました。
 途中病院通いの時期や父の死などもありましたが、先輩や友人・知人・お客様・医師・薬師など多くの皆様の支えのおかげでなんとか生きてこられました。改めてここで感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 三年前の今日、独立したことをフェイスブックに投稿した時に、沢山の方から励ましの言葉をいただきました。
 その中の一つに、高校時代の同級生から「一人では生きられないことを肝に銘じておけ」というのがありました。
 慢心を戒める忠告として心に響きました。
 振り返ってみると、本当にそうだなと心から感じ入っています。

 四年目のスタートに際して、改めて自分の社会人スタートの時の社長であった真藤恒さんの著書をひもときました。
(思えば、ことあるごとにこの本を繰り返し開いていることに気がつきました)
 200ページに満たない薄い本ですが、昭和50年代末から60年の電電公社民営化に至る期間、真藤さんがどのように私たち従業員の意識を変え、電電公社をたくましい民間会社に生まれ変わらせ、日本が高度情報社会へ進んでいけるように寄与しようとしておられたかが具体例とともにふんだんに記載されており、今日のNTTの基本的な行動指針がこの人によって埋め込まれているなあということを、何度読み返しても感じます。

 謙虚であれ、ということをこの本の中でも何か所かにわたり、真藤さんは書いています。
<人間というものは、一人で生きられるものではなく、お互い気心の合ったものの仲間の信頼感が基礎になって、助け合いながら、ともに成長することのできる動物だと思う。闘争心も使いようによってはよい面もあるが、その立場を押し通すと、世の中に安住の場所は狭くなるばかりである。>

 今改めてこのことを肝に銘じて、これからも企業の経営者やそこで働く人たちのより良い今日・明日のため、伴走これ努めて参りたいと思います。

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豊田佐吉記念館の思い出など

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3年前の2月に静岡県に出かける機会がありました。
その折、少し早く到着したため、鷲津駅というJRの駅からほど近いところにあった豊田佐吉記念館を訪れました。
もう記憶も薄れていたのですが、写真の整理をしていて、ああ、ここ行ったなあと思いだしたので、写真データとともに当時の印象を少し記録しておきます。
古い建物が門構えとともに残してあります。敷地は広大で、裏山があり山の上まで登ると眼下に平野が広がっていましたが、そこは措いておき、中に入ってすぐに豊田佐吉が発明した木製の織機が残してある倉庫がありました。お母さんのために作ったものだそうですが、使えるようなものになるまで何度も何度も失敗していたということが書いてありました。確か国産自動車の生産においても何度も失敗したと聞いた覚えがあります。
あのトヨタにして、創業者は失敗の連続だったと。
失敗、と言っても、やめてしまわなければまだ失敗したかどうかはわからない。その時点ではまだ成功とは言えないのでしょうけれど、試作、実験、チャレンジの最中だと考えれば、やり続けている間は失敗ではない、という話を最近聞きました。ものは考えようだなと思います。
「やってみなはれ」と言い続けた鳥井信治郎氏の考え方はサントリーのDNAになっており、今や新商品の数は王者キリンをも抜き去ったと言います。
何代か前のトヨタ社長の奥田碩氏は社長就任挨拶で社員に向かって「悪いのはチャレンジしないことだ」と宣言し、失敗を恐れる空気を一掃したそうです。豊田佐吉記念館を訪れ、この挨拶はまさに佐吉翁の考え方を受け継いだものだと感じました。この家から豊田喜一郎氏なども生まれたそうです。

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アセッサー養成研修を受講して

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 先週一週間に亘って、ヒューマンアセスメントのやり方を学ぶ「アセッサー養成研修」という研修を受講しました。
 元々は諜報機関などで受験者の適否を見極める手法の一部として開発されたもののようですが、日本では任用や育成など人材開発系の方法論として導入されたようです。
 一週間ぶっ通しの研修は随分久しぶりのことでかなり疲れました。

 ヒューマンアセスメントは、個人の潜在能力・資質が、観察しやすい行動として外面に表れる状況を、心理学的に設計された数種類の演習課題を使って作り出し、一定の行動観察技法に基づいて、観察・記録・評定する職務適正の評価技法のことです。ある職務に登用する前などに、その人物がその職務に対する適性があるのか、不足する能力は何かなどを、演習(疑似体験)を通して、客観的に事前評価する手法です。職務への適性やその職務に必要な能力開発を目的としたものであり、人物を評価するものではありません。

 ヒューマンアセスメントの対象規模としては、色んなことを全部やらなければならない個人事業者や中小企業の社員さんを対象とするより、少し大きめの組織で活用することが多いようで。人物評価ではないとは言え、アセスメントをする人が心しておかなければならないことは、そこで出した評定の結果が対象者の人生を左右することもあるということです。見る側も人間である以上、個人個人の経験や感覚はまちまちなので、同じ人の行動を観察しても、異なるバイアスがかかって対象者を見てしまいがちです。しかしプロはそのバイアスを極力少なくするように自分を無にして淡々と人の言動を見る訓練を積んでいるとのことで、一週間の研修を受けただけの私はその域にはすぐには達しませんが、今後修練を積んでいきたいと思っています。

 人への関心が強く、組織の力を高めるためには構成員の目的認識の共有や一人ひとりの協働意識が大切だ、と思っている私は、これまでも人と人とのコミュニケーションをより良好にするための心理学である交流分析や、チームでの仕事を効果的に実施するアナログ・コミュニケーション(インパクト・コンサルティング㈱の手法)を学んできました。今回さらに新しい知見を得ることができましたので、これらを活用して、今後さらに企業などの組織力強化のお役に立てればと思っています。

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