コミュニケーション研修(交流分析入門講座)の開催

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 経営コンサルタントとして私が目指している「標榜科目」(お医者さんじゃありませんが)は、ITと財務とコミュニケーションの3つの分野です。
 これまでの経験を活かそうと思うと、そういうことになります。
 そのうちコミュニケーションについては、何か一つ体系的なものを学ばなくてはと考え、数年前から交流分析という心理学を学んできました。
 その結果、今年の1月にインストラクター資格をいただくことができました。

 交流分析は極めて実践的で日常生活に活用できるところが、学者さんたちだけに閉じた学問ではない特徴です。
 そのため活用範囲はとても広く、私は企業経営の助言や組織内のコミュニケーション改善にも役立てて行きたいと考えています。
 インストラクター資格をいただいたからには、人様の前でこの素晴らしい実践的な知恵と方法論をお伝えしていきたいと思います。

  ということで、まずはこの5月22日(日)に先輩インストラクターと一緒に初回の入門講座を開催します。
・期 日:平成28年5月22日(日)午後1時半~4時
・場 所:魚津市釈迦堂1-12-18 魚津商工会議所5階研修室
・参加費:1,000円
・申 込:日本交流分析協会北陸支部のHP(http://www.ta-hokuriku.jp/kaiin.html)から申込書をダウンロードして必要事項記入の上、申込み。

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池井戸潤さんの『空飛ぶタイヤ』

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 「池井戸潤さんの本は全部読んでいる」と言っている友人がいました。
 へえーっ、そんなに面白いのか、と当時思っていました。
 それからほどなく『半沢直樹』がテレビで放映され、あ、なるほど、こりゃあ痛快だ、と思ったものです。
 その後『花咲舞』や『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』などが次々とテレビドラマ化され好評を博していますが、ついになかなか本を読むには至らず、たまたま先週ある先輩が「某大手自動車メーカーのタイヤが外れた事件の小説が」という話をしておられ、その自動車メーカーが最近またもや燃費不正問題で騒がれていることもあり、ちょっと見てみようかなという気持ちでこの本を買いました。
 文庫本にしては超厚めの800ページでしたが、読み始めてから終わるまでわずか三日。
 私の人生の中でもこれだけの厚さの本をこれだけ短時間で読み終えたのはこれが初めてだと思います。それほどテンポよく、読みやすく、面白かったということだと思います。幸い、集中して読書する時間が取れたということもありますが。

 財閥系大企業、そのグループの一角を占めるメガバンク、ライバルのメガバンク、警察、弁護士、多くの中小企業の経営者、それぞれの家族、さらにはPTAまで登場してきて、主人公はそれらの渦にもみくちゃにされながら、家族と信頼する従業員(とその家族)の生活を守るため、筋を貫き通す。できることをできる限りやる。
 よくここまで精神状態を維持できるもんだなあと感心しますが、従業員とその家族の生活を背負っているという責任感があればこうなるのだろう、と中小企業経営者の方々に対してあらためて頭の下がる思いがしました。
 もちろんこの小説はフィクションであり、実際の事故に想を得たものではあるでしょうし、それぞれの登場人物の思考や行動のパターンが多分にデフォルメされていると感じるものの、それでも結構リアリティがありました。

 この作家は、大企業やメガバンクの論理、そこで働く官僚的社員たちの保身や立身出世のための立ち回りの仕方を子細に描きながらも、目線は常に中小企業の経営者やその家族や従業員たちにしっかり注がれており、「頑張って下さい!」とエールを送っているように感じます。
 私も一人の中小企業診断士として、中小企業経営者やそこで働く従業員の方々に対する尊敬の念、歯を食いしばって頑張っておられることへの理解がまだまだだなあと反省。単に面白い小説だというだけでなく、自分自身まだまだ心の精進が必要だと感じました。

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富山県よろず支援拠点「にいかわサテライト」他開設のお知らせ

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 現在私が主な仕事場にさせていただいている「富山県よろず支援拠点」の新川地域の出張拠点「にいかわサテライト」が5月17日(火)午後、魚津商工会議所内に開設されることになりました。(6月以降は毎月第二火曜日の午後の開設です)
 関係者の皆様、心から感謝申し上げます。

 「よろず支援拠点」は、国が全国に設置した経営相談所です。中小企業・小規模事業者の経営者、創業予定者の方々からの、売上拡大、商品開発、後継者や人材育成、経営改善など経営上のあらゆるシーンで起きてくる様々な悩みごとのご相談に対応しています。必要に応じて、商工会・商工会議所、金融機関、その他の公的機関とも連携・連絡を取りながら、課題解決に向けて対応しています。よろず支援拠点へのご相談は何度ご利用されても無料です。
 富山まではちょっと遠いなあとお思いの新川方面の方、お近くに参りますので是非ご利用下さい。

 なお初回記念として、「よろず支援拠点」の原型を作り、今も静岡を拠点に企業支援活動を展開している<カリスマ経営支援家>小出宗昭氏の無料特別セミナーを5月17日(火)午後1時から開催します。
 公的機関を利用して経営改善や売上増大や新製品開発などに取り組みたいとお考えの経営者の方々、独立起業をお考えの方々、経営支援のお仕事に関係されている支援機関や金融機関などの方々、一聴の価値ありです。
 セミナーは定員80名・先着順です。ご関心のある方は、富山県よろず支援拠点へFAXにてお申し込み下さい。お問合せ先は下の写真のとおりです。私宛に電話やメールでご連絡いただいても結構です。よろずにいかわサテライト_セミナー申込書(↑「平成28年6月より開設」と書いてありますが、初回は上記のとおり5月17日(火)です。)

 なお、にいかわサテライトに続いて、6月15日(水)には「なんとサテライト」(福野商工会内に)、6月21日(火)には「たかおかサテライト」(高岡商工会議所内に)がそれぞれ開設されますので、南砺地域・高岡地域の方はそれぞれお近くのサテライトも是非ご利用下さい。

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ちょっと中休み?

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過日、私の体に悪性リンパ腫が見つかりました。
簡単に、経緯とお読みになった方々への参考情報を書いておきます。

今年の2月下旬に、2年ぶりに人間ドックを受診。
オプションでPET/CTを実施。(前の上司から勧められていたので)
結果、小腸の辺りに妙な影あり、精密検査要すとの判定。

3月28日、改めて造影剤を注入して小腸回りの画像診断を実施。
3月31日、転移の有無確認のため、人間ドックに続き再度大腸内視鏡検査。今回は最奥まで。問題なし。
但し、小腸回りの診断結果は「小腸間膜のリンパ節腫脹が疑われる」との見立て。
胃腸の内部ではなく外側のため、内視鏡を入れての検査や組織の採取や治療はできない。
つまり開腹して組織を切除して生検するしかないため、手術要、との結論。
それも1週間は入院が必要とのこと。

ぎょえっ・・・そんなこと急に言われても、仕事が・・・仕事に差し障りがあるではないですか、と抵抗したものの、医師から「普通の悪性腫瘍なら数カ月単位での進行ですが、リンパ腺の場合は数週間単位で進行します。仕事がどうのと言っておられる場合でしょうか?」と諭され、急遽翌週から10日分ほどのスケジュールをキャンセル。

4月4日入院。
4月5日開腹・組織採取、生検へ。
4月6日一般病室へ移動。
4月12日退院。
4月20日生検結果判明。「悪性リンパ腫の非ホジキンリンパ腫の濾胞性リンパ腫」
4月25日骨髄への転移有無の検査。結果判明には時間がかかるものの、それに関わらず治療は開始しましょうとのこと。
5月某日、治療開始予定。最初は1週間ほどの入院にて点滴&服薬。その後は3週間ごとに同じ行程を6回程度やって効果測定をするとのこと。夏の終わり頃までには成果が見えるのではなかろうかと期待しています。

人間ドックでの各種検査(PET以外)では特に悪いところはなく、自分自身、自覚症状全くなしでした。
あえて言えば、年相応に下腹部が少しぷっくりしてきているかな、という程度。それでも腹回りはメタボの基準値にも達しておらず、健康そのものと思っていました。
リンパのがんは進行が早いとのことでしたが、私のかかった「濾胞性リンパ腫」はゆっくりと時間をかけて大きくなるので変化に気づきにくいのだそうです。

ということで、当分ペースダウンは否めないものの、ゆるゆると仕事は続けていく予定です。
関係の皆様にはご迷惑をおかけすることになると思いますが、寛大なお心で見守っていただければ有り難いです。
働き始めて32年が経過し、80歳まで働くとして残り26年間に備え、ちょっと中休みせえよ、という神様の思し召しかなと解釈しています。

さてそこでお勧めです。
①PET/CTの受診。
②万一に備え、がん保険への加入。(医療費の補助などになれば助かります)
私の経験が、お読みになった皆さんの何らかの参考になればと思います。

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これから起こる「マイナンバー犯罪」

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夏原武さん、紀藤正樹さんらの著による『これから起こる「マイナンバー犯罪」』というのを図書館で借りて読みました。
・犯罪に巻き込まれないためのマイナンバー制度の基礎知識
・これから起こり得る事態と対処法
・既に発生したマイナンバー詐欺の具体的な手口
などについて書かれています。
具体的な手口は、警察庁や国民生活センターなどが公開しているようです。私も以前総務省のホームページで事例調査をしました。結構生々しい事例が出ていましたので参考になると思います。但し、あくまで過去形です。新しい手口が日々発生していますので、ホームページに出ている手口しかないとは思わないよう注意することが必要です。
今後どんな手口のマイナンバー詐欺が発生しうるか、という話はないものの、誰かが電話やわざわざ訪問してきてマイナンバーを尋ねるとか、マイナンバーが漏れていてなんとかしなければならないからお金がかかる、などということはあり得ない、という基本的なことを理解するよう呼びかけています。
また残念ながら私たちの国では「オレオレ詐欺」に代表されるような特殊詐欺が少しずつ手口を変容させ、相変わらず横行しています。これら特殊詐欺のネタの三原則についても触れられています。
①旬であること、②誰もが興味を持っていること、③しかし詳しい内容はよくわからないこと
なまじ少し勉強して、ちょっと知っているという状況が結構危ないそうです。
「〇〇について知ってますよね?」って電話口で言われると、「知らない」というのが恥ずかしいため、ついつい「ああ、知ってるよ」と答えてしまう。ここからズルズルと相手の手練手管にはまって行ってしまうような人もいらっしゃるそうです。
電話を利用した詐欺に対する防衛手段として、NTTのナンバーディスプレイサービスに入って、知らない電話番号からかかってきた電話には出ない!などのシンプルだけど有効な対策が書かれています。それに対応していない電話機の場合は購入する必要はありますが、家電量販店なら1万円も出せば手に入ります。
マイナンバーが漏れたことだけですぐに犯罪に合う危険性は小さいとのことですから、根拠なく不安に陥ることのないよう、知らない人から脅かされても安易にそれに乗らないよう、冷静にかつ周囲の人に相談することで危険を防ぐようにしたいものです。

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ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

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 とても面白かった。まず言いたいことはそれです。
 最初に読んだドストエフスキーは『貧しい人々』(岩波文庫)でした。
 大学に入った年、時間もできたことだし、少ししっかりしたものを読むべきだろうと思い、世界の名作と言われるドストエフスキーの『罪と罰』を初回作品に選びました。
 しかしいきなり大作の『罪と罰』に挑戦するよりも、まずはロシアの文豪さんの文体や文化になじんでから、と思い選んだのが比較的ページ数の少ない『貧しい人々』でした。これで少し肩慣らしをしてから『罪と罰』に挑戦。
 あれから36年。ようやくドストエフスキー最大の作品と言われる『カラマーゾフの兄弟』に取り組みました。
 きっかけは、色んな媒体で、この作品が極めて特異で極めて壮大な人類文学で極めて重いテーマで極めて素晴らしい文学作品だ、というようなことをずっと目にしてきたこと、そしてとどのつまりは今年読んだ筒井康隆さんの『モナドの領域』でもカラマーゾフが扱われており、筒井さんがその関連のツイートで亀山郁夫さんの翻訳によってようやく読むことができた、という主旨のことを書いておられたことです。
 ということで、今年の1月13日に入手してから4月16日まで約3ヶ月かけ、全5巻約2000ページを読了しました。
 さて、読後の感想。
 物語の導入部分は、好色な男が複数の妻との間にできた子どもを自分で育てる能力も意思もなく、見かねた親戚などが子どもたちをそれぞれ引き取って養育した、というようなことが綴られています。
 そこからいきなり三男が修行している修道院での家族会議の場面になるため、バラバラになっていた兄弟と父がいつの間にどういう経緯で元の家族に戻ったのかがわからないまま会議の風景に入っていくため多少混乱はしますが、導入部分はともかく、修道院での会議を起点として読み進めれば、多分それほど違和感はなく読んでいくことができます。
 壮大な物語ではあるものの、2000ページで語られる時間はほんの数日の出来事です。極めて短い時間の中での濃密な親と子の確執や妄執、現生における神と悪魔の戦い、神聖なはずの宗教指導者の矛盾や混沌、しばしば出てくる「カラマーゾフ的」という強く憧れもあるがどちらかと言うと忌み嫌われる風な遺伝的形質、三兄弟と父を取り巻く多彩な脇役たち、と盛り沢山。しかも出てくる人々が軒並みよく喋る。語り出したら一晩でもかかりそうなくらいセリフが長いので、よくこれだけ多くのことを滔々と語ることができるものだと言葉の洪水に溺れそうになりながら、舟のへりに必死でしがみついているようにしてなんとか読み進めるって感じです。
 アリョーシャという三男坊がドストエフスキーにとっては「我が主人公」であり、私から見ても好感の持てる悩める青年なのですが、兄弟三人、それぞれ個性があり、味わい深い人々です。特に長男のドミートリー。この人は大変がらが悪い。粗野で乱暴で放蕩で猥雑。元軍人なのに規律めいた様子がさっぱり見えない。父フョードルによる「無関心」の一番最初の犠牲者だと思えば、彼の精神世界の寂しさには同情するものの、目の前にこういう人が現れると親しくなりたいなとは思わない人物です。にも拘わらず、とてもピュアな性格で可愛げがありなんだかほっておけない。次男のイワン。極めて理知的で心理分析にも長けていて、もしかするとサイコパスなのではないかなと思わせるような頭のいい人物です。しかし彼も最後の方では果てしない苦悩に落ち込む。
 三男のアリョーシャはこの物語の続編において、恐らく皇帝を殺めんとする者になるのではないかと訳者が書いています。宗教的にピュアなあまり行き過ぎて世の中を混乱させる人々は歴史上もいたわけだし、ロシアにおいてもそのような事件があったそうです。「肝心な二つ目の小説」にその辺のことが描かれる予定だったようで、その二つ目の小説を手がける前にドストエフスキーが世を去ったのはとても残念ですが、この2000ページだけでも文学の世界を十分に堪能できます。
 一人ひとりの人間同士の関係がとても濃密で、ついさっきまで赤の他人だった人同士も関係が生じると厚い交流が始まる。それはもしかすると現代から遥かに遠い、人間関係が濃密だった大昔の物語なのかも知れませんが、深さやじっとりとした時間感覚はともかく、人が人と接した時に、色々な感情が沸き起こってきてその感情がベースとなって何らかの反応が出てくることは間違いなく、怒ることも、腹を立てながら悲しい様子を見せることも、逆に腹の中で怒りに燃えながら悲しい表情になることも、人の態様という点では現代にも十分通用するものであり、典型的な思考・感情・行動などが描かれていて大変勉強にもなりました。
 これだけの物語が今から130年も前に書かれたということが驚きです。一回だけの読書ではとても味わいつくせず、まだまだ色んな気がついていないことがあると思いますが、こればっかりに耽溺はできません。一旦書を閉じることにします。
カラマーゾフ

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個人目標による自律的成長へのご支援

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 友人からの紹介で、昨年からある企業の目標管理制度導入のご支援をしてきました。
 目標管理というと、ついつい「会社が従業員個人の目標を管理する」というふうに誤解する向きがありますし、言葉尻を捉えて「オレが管理してやるんだ」と勘違いされるといけないので、あえて「個人目標の取り組み」という表現を使って説明し、お手伝いしてきました。
 ドラッカー教授が言っているように「個人の目標による管理」なので、個人個人の主体性を引き出すことがこの取り組みにおけるマネジメントの役割です。
 コンサルはそのための支援であり、経営陣やマネージャー層がどうやって個人の進捗管理の支援をするかや、社員個々人の主体性を引き出すための動機づけをするか、などを助言していきます。
 お絵描きやグラフなどの見えるツールの提案から面談のサイクルや留意事項など、その都度色々な提言をしてきました。取り組みが進むにつれ、社員さんの成長だけでなく、部分的にマネジマントの課題にも取り組ませていただいているような気がします。
 約1年を経過しましたが、まだまだ色々な課題があります。この先のご支援について、引き続き企業さんの意向を確認しながら、できうるお手伝いをしてまいりたいと思っています。当の社員さんたちの感じ方は色々だろうと思いますし、自分で気づかないとなかなか人は変われないものだと思いますが、間接的とはいえ人様の成長のお手伝いができるとすれば、この上ない喜びです。ありがとうございます。

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横溝正史さんの『本陣殺人事件』

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 今頃ではありますが、横溝正史さんの名作『本陣殺人事件』(1948年第1回探偵作家クラブ賞受賞作)を読みました。
 私が高校生の頃、角川映画が花盛りで横溝さん原作の映画「犬上家の一族」「八つ墓村」が大ヒットした覚えがあります。
 当時書店に行くと、角川文庫の棚には横溝正史さんの著書がずらっと並んでいて大層興味を惹かれたものですが、表紙が結構おどろおどろしくて(著者ご自身は私生活では「釣り針に指をひっかけて血が出た」という話すら嫌がる方らしいですが)、絵を見ているだけでも陰鬱な気分になりそうだったのでこの年になるまで遂に実際に読んでみる機会がありませんでした。
 それでも「名作」と言われるものに手を出さずにいるのもなんだと思い、ようやく一冊。
 戦後の早い時期に本格的な推理小説の扉を開いた作品だということで、この本の後、色んな推理作家が意欲的な作品をどんどん世に出したそうです。
 かの金田一耕助の来歴や探偵業を始めるきっかけなども書いてあって、金田一シリーズをこれから読もうかと考えている人にとってはお薦めの一冊です。
 私自身は、この後『獄門島』『悪魔の手毬唄』『仮面舞踏会』『病院坂の首縊りの家』なども読んでみたいと思うくらいに横溝ワールドに入り込みそうですが、それは後日のお楽しみ。

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岩崎夏海さんの『もしイノ』(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのイノベーションと企業家精神を読んだら)

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 「もしドラ」に続く第二弾。
 不覚にもドラッカーの『イノベーションと企業家精神』という本があることすら知りませんでした。
 ドラッカーの本はとにかく示唆に溢れていて、しかし、書いてあることをそのまま現場に適用しようと思っても私ごときはうまく使えないことが往々にしてあります。
 そういう観点からすると、経営の現場にどう使うかというストレートなやり方でなく、もっとレベルを平たくして高校野球の現場を改革するという落とし込み方はとても平易で入りやすいものでした。

 恐らく原本のエキスをしっかり入れ、かつ岩崎さんの持っている色々な知識も織り交ぜることで、一つの完結したマネジメント本になっていると思います。

 私が参考になった点をいくつか列挙しておきます。

1.企業家は7つの変化=機会をうまく捉え、変化に乗る必要がある。
 ①予期せぬことの生起
 ②ギャップの存在
 ③ニーズの存在
 ④産業構造の変化
 ⑤人口構造の変化
 ⑥認識の変化
 ⑦新しい知識の出現

2.説得とは相手の得を説くこと。
3.トム・ソーヤーのペンキ塗りの逸話(人を動かす秘訣)。
4.古くなったものやことを廃棄することをシステム化していくことの重要性。(イノベーションを魅力的なものとするための第一段階・・・しかし人を同じように扱ってはいけない。他人をモチベートするのは困難だが、居場所をうまく提供できればやる気と自信がわいてくる場合が多い。それをマネジメントがうまくできるかどうか。)
5.企業家的な企業では、トップマネジメント自ら開発研究、エンジニアリング、製造、マーケティング、会計などの部門の若手と定期的に会う。(良い会社はトップとのコミュニケーションをしっかりとっている)
6.型の重要性(坂本龍馬は剣術を知らない人たちを戦力化するために「とにかく振り下ろす練習をしっかりしなさい」と指導した)

 その他その他、示唆に富む本で、ドラッカーにインスパイアされてこういう本が書けるというのは素晴らしいことだと感じ入りました。

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ホワイトアウトの日曜日と『あの日、パナマホテルで』

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 今日は富山で作家宮本輝さんと女優中江有里さんの北日本文学賞の対談の日。IMG_3409
 宮本輝さんは『蛍川』以来のファンだし、中江有里さんは私が初めて広報担当になった年にNTT116のCMでコマーシャルデビューなさった人。
 午後2時の開演に間に合うように少し早めにと思って正午頃出発したのですが、IMG_3407これこのように2メートル先が見えないホワイトアウト状態で、対向車も直前まで見えず道の端っこも信号機もよく見えないことがわかり、とてもとてもまともに富山まで行きつけるとは思えず泣く泣く断念。
 数年前、中江有里さんがラジオでジェイミー・フォード氏の『あの日、パナマホテルで』という小説の紹介をしておられました。IMG_3410
 中江さんの解説がとても感動的だったので、こりゃあ何かの縁だ、読まなきゃと思いつつ早や数年。今回の対談を聞くまでには読了せねばと年明け以降の自分への宿題にしていました。
 純文学的なものはあまり得意ではないので、ついつい別のSFやドタバタを読んでいたのですが、さすがに今日は最終日のため、残り半分ほどを一気呵成に読み終えました。
 まあなんというか、もう、ボロボロもんでした。それも最後に来て一気に、ではなく、半分を過ぎたあたりから、これでもかこれでもかと心を揺さぶる登場人物たちの心情・行動・愛。読んでは顔をぬぐい、また読み、またぬぐい、の連続でほとんど感極まった状態になりました。また、もし自分が主人公のヘンリーのように勇気あふれる少年だったらなあと思ってみたり。ある種『蛍川』に似ていなくもない少年の恋。こちらは第二次世界大戦中のアメリカでの出来事で、スパイ容疑をかけられた日本からの移民と中国系移民の話であり、背景も結末も全く異なりますが、共通点もあるように感じました。
 中江さんっていう人はこういう本を日々読んで感性の高い人になっていってるんだろうなあ。できれば「ありがとう、あなたの推薦図書、ようやく読みましたよ、とっても良かったですよ」と直接お礼を言いたかったのですが、今日のところはここに感謝の気持を延べさせていただくことにしましょう。

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