トヨタ自動車のEVシフトの衝撃

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昨日2020(令和3)年12月14日に、トヨタ自動車の豊田章男社長が、2030年までに世界の電気自動車(EV)の販売台数を年間350万台にするという方針を示しました。うち、最高級ブランドのレクサスについては2035年までにEVを100%にすることを目指すそうです。以前はFCEVも含んで200万台と言っていたようですので、一気に8割増し目標の設定への転換ということです。関連ニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20211214/k10013387871000.html

思えば、通信回線の分野では一旦xDSLでアメリカの後塵を拝していましたが、その後光戦略で世界最先端となったものの、その中を通る情報、IT化、デジタル化、またテレビのディスプレイ、白物家電、スマホ、パソコン、ソフトウェア、半導体に至るまで、どんどん世界の先端から脱落してきたのがこの20年ほどではなかったかと思います。そうした中で遂に自動車分野でも、と落胆しかけていたところにこのトヨタのニュースです。

トヨタ自動車は既存の裾野産業を守るため、部品の少ないEVではなく、燃料車へのこだわりを捨てられず、自動車分野でも世界の潮流から取り残されてしまう、という危惧を抱いていました。日本がいくら燃料車で頑張っていても、そのうち中東などから原油が入ってこなくなる恐れもあり、そうすると日本人の移動手段が大きく損なわれる恐れもあり、そちらもまた恐ろしいことです。

しかしトヨタがオロオロ迷走している(と見えていました)間に、ニッサンが間隙を縫ってEV戦略を強力に推し進めると宣言したのがつい先ごろだったと思います。さてトヨタはいつまでスッキリしない態度を続けるのだろうかと思っていた矢先、昨日一気に15台の新型EVを引っ提げて、大きな方針の転換を発表しました。

となると気になるのが裾野産業たる我らが下請・孫請の中小企業です。EVやFCVへの大転換にトップランナーたるトヨタや他の自動車メーカーが向かう中、部品点数が少なくなると、ついていける中小企業はおのずと限られてくるものと思います。確かに人口減少・後継ぎ不在・自主廃業という企業もこれからさらに増えると見える中、残った企業でやっていけるだけの仕事量になるのかも知れません。

もう一つ、産業界への影響の大きなことが、給電施設の整備についてです。豊田章男社長は、日本中の販売店に給電スタンドを設置するという構想も明らかにしていました。ガソリンスタンドにとっては戦々恐々ものだと思います。エネルギー産業もトヨタが担っていこうという宣言に近いものではないかと思います。世界中を舞台にした競争ですので、国内産業の保護育成ということでは解決できない大問題への挑戦なのだろうと思います。

今回15台のモデルを発表したそうで、普通乗用車からピックアップトラックのようなものまで様々な車種が並んでいたのですが、よく見るとワゴン車が見当たらないような・・・是非ワゴン車も早々に発表して欲しいものです。https://trafficnews.jp/photo/113561#photo5

今後、日本の産業界は大きな激動の時代に入るのではないかと思われます。企業は生き残りをかけて、文字通り鵜の目鷹の目になって技術の取り込みや人材の確保・仕事の確保に取り組む必要がありそうです。そんな時に、受注量の水増し(行きつく先はGDPの嵩上げ)を都道府県に指示する国のお役人たち・・・一体全体何をしているのか、そんなヒマがあればもっと目の前の現実の問題・課題にちゃんと立ち向かえ!と喝の一つも入れたい気持ちです。歯がゆいことこの上なし、の昨日今日でした。

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