久しぶりのチーム・コンサル

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過日、ある先輩診断士から声をかけていただきました。長い付き合いの、ある中小企業の経営者から「後継者のことで、複数の候補者がいるが、誰にすべきか悩んでいる」という相談を受けた。ついては、それら複数の候補者から絞り込むための知恵を一緒に考え、提案したい、とのことでした。先輩は私ともう一人の診断士に声をかけられ、チーム・コンサルがスタートしました。

初回は社長へのヒアリングです。進め方については腹案をリーダーに示してはいたものの、実際に経営者の思いを直接伺うことが大事だとの判断で、進め方の案を事前に出すことはしませんでした。ヒアリングの結果、複雑な事情も教えていただき、その辺りも考慮しつつ、進めることが必要であるとわかりました。
とは言え、誰を後継者にするか決めるのは現・社長である、ということはチーム一同共有認識として、以下のように進めました。

まずは後継候補者へのインタビューです。この時の留意事項は、「あなた方は後継候補者です。これから選抜面接をします。」といったようなことは言わないことです。もちろんケースバイケースで、そのように伝えてインタビューをした方がいい場合もあるでしょうが、今回はそれについては触れずに、皆さん幹部であり今後会社がさらに良くなっていくために現在の問題点や課題についてお聞かせいただき、後日幹部でその解決策等の話し合いをする、という説明にしました。

インタビューの結果を整理し、次に、後継候補者である幹部たちに同席してもらい、グループディスカッションを行いました。インタビューで出された問題点や課題については、あらかじめコンサルチームでその背景にあると想定される一般的な原因について仮説を立て、マップにしておきました。マップはあくまで仮説ですので、「参考になさっても結構です」という言い方でマップを見ていただきながら、多数出された問題点や課題の中から、幹部の皆さんに緊急度と重要度の高いものを選んでいただき、それらについて付箋紙を使って原因の深掘りをしてもらい、さらに付箋紙を使って対策案を検討していただきました。

その間、私はファシリテーションの真似事のようなことをして進行のお手伝いをし、もう一人の診断士は観察役(及び記録役)を担いました。誰が次の経営者に相応しいか、など、一回や二回の面談やミーティング観察で赤の他人が判断できるものではありませんが、少なくとも気心の知れた間柄で交わすディスカッションの様子を見ていれば、誰がどんな時にどんな言動をするかの普段の癖(やその背景にある考えの深さ・浅さなど)が知らずに表れてきます。それを観察し、記録し、経営者に提示することで、経営者にとってもっとも望ましいと思われる言動をしている人が誰なのか、についておのずと経営者が判断できる材料を提供することができるのではなかろうか、と考え、上記のような進め方をしました。虚心坦懐の観察がとても重要です。

後継者にはどなたがなってもおかしくはないのでしょうが、誰かに決めなくてはならない。いずれ経営者にも引き時がありますので、後継者をしっかり決め、内外にそのことを示し、自身は後見役として支援&指南を行う。そうした承継ができれば、事業はしっかり次世代につないでいくことができるのではないかと感じます。しかしもちろん問題はこの先も山積しています。誰かに決まったとして、他の幹部はどう出るか。場合によっては会社を後にする人が出てくるかも知れず、しかしそれが損失であると経営者が判断するならばしっかり引き止めねばならず、そのためには待遇をどうするか、どういう期待役割をその人に伝えるか、なぜ他の人なのかをどう伝えるか、など、やらなくてはならないことはまだまだ沢山あります。

色々と勉強にもなった久ぶりのチーム・コンサルでした。

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