独立する少し前に話を伺った先輩から、経営者に対するリスペクト(尊敬)の念を忘れてはならないよ、と教えられました。
先日伺ったある製造業。業績芳しからず、経営改善の取組を進めなくてはならない状態で、融資先からはダメな会社、ダメな経営者だと思われています。確かに、折角持っている素晴らしい技術をちゃんとお金に変える技量が低いのだろうと思います。
それでもこの社長は20人近い従業員を雇用し続け、その方々の家族の生活まで背負っていらっしゃると思うと頭が下がる思いがします。そんなわけで冒頭の先輩の教訓を念頭に置きながら社長の話にじっくりと耳を傾けました。 「現場が一番大事」「答は現場にある」なんて言い方をよく経営学の教科書でも耳にします。件の社長の口からもさらっと「現場が先生なんです」という言葉が出てきました。頭や理屈でわかっていてもそれを自分の言葉でさらっと言われる所が素敵だなと思いました。そしてそれを従業員の皆さんにも徹底しておられ、クレームがあると、普段は外に出ることはない製造の担当者にも実際に現場(製品が使われている現場)まで行ってもらって、何が問題か、誰が何に困っているかを自分の目で見て確認させることもあるそうです。(毎回ではありません)
ちゃんと製造担当者は加工し、完成検査もクリアして発送したにもかかわらず、何らかの問題が発生することはあるそうです。そうした場合に、何が問題だったのか、ただ謝って交換すれば済むとは限りません。エンドユーザーの要望が設計に反映されていなかったのか、気象条件で予期せぬトラブルだったのか、色んな原因がありえます。もちろん上流工程のメーカーが最下流工程まで気にすることはないのかも知れませんが、実は発生した問題の中に当社の硬直的なものの考え方が原因としてあったかも知れないし、次の商品の開発に向けたヒントがあるかも知れません。
この社長はそういうことを日々考えながら、現場=エンドユーザーの使い勝手まで意識をしながら社の運営、従業員教育をしておられました。後は改善にしっかり着手しV字回復を成し遂げられるだけです。頑張る中小企業、応援していきたいと思います。
「現場が先生」という社長の言葉
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