ある介護事業所のコンサルをさせていただいています。
最近は介護保険料の切り下げなどの影響もあり、経営環境が厳しくなっており、当該の事業所は高齢者福祉の仕事だけでなく、障がい者福祉の仕事へ乗り出しておられます。
そんな縁もあって、障がい者福祉事業の参考にと思い、三重苦を乗り越えて活躍したヘレン・ケラーとサリバン先生の本を手に取りました。
2歳で視覚と聴覚を失い、わがままに育ったヘレンの心の闇をサリバン先生が徐々に取り除いていく物語です。
出会いの当時、サリバン先生は若干20歳、ヘレンは7歳になる直前だったといいます。
サリバン先生っていうとおばさんのイメージがありましたが、この若さにびっくりしました。
さらに驚いたのは、サリバン先生自身が一時期視力を失っており、家族の死などもあって精神病院で極度の引きこもり状態になっていたということです。幸い病院の看護婦さんがサリバン少女のことをとても気にかけてくれ、ようやく心を開き立ち直っていき、目の手術をして視力を回復させ、ついには20歳で教師になったという凄まじい前半生を送った人だということです。
ヘレンはサリバン先生に指に文字を書いてもらうことを通じて、全てのものには名前があることを理解し、やがて言葉を発するようになり、さらにはタイプライターで文章も綴ることができるようになり、人前での講演などもできるようになります。とてつもない苦労の末ハーバード大学の女子学部を24歳で卒業します。
この間サリバン先生はほとんどつきっきりで本を指話で翻訳し、授業で行われる講義も指話で伝えていたそうで、サリバン先生にも学位を与えるべきではないかという話も合ったくらいだそうです。
と言ってもサリバン先生が初めから成人君主だったということではなく、本人が手紙の中で語っていますが、最初は生活の糧を得るため、母校の指示で勤務先(ヘレンの家)に赴任したというような、ごく日常的な関わり方から始まったようです。
全ての人かどうかは私にはわかりませんが、「今より良くなりたい」「色んなことを知りたい」「愛をもって人と接したい」という気持ちをヘレンも心の深いところに持っていたようです。その気持ちをサリバン先生は言葉を教えることと躾を通じて呼び覚ましたようです。
(サリバン先生の手紙より)
可能性があればやってみようというのがサリバン先生の基本スタンスだったうようです。生きている限り前へ進め、という意思の大きな力をこれらの本から教わりました。
私の仕事である企業との関わりにおいても、良い所を見つけ、前へ進める勇気を奮い立たせられるようなお手伝いができるよう心がけたいと思います。