桐野夏生さんの『ポリティコン』(上・下)

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あるラジオ番組で桐野夏生さんのインタビューをやっていたのを聴いた。
この人の小説を読みたいなあという衝動に駆られた。
『東京島』は以前書店で立ち読みしたのだけれど、買うとなると何を読んでいいかわからず、とりあえず図書館に行き、『ポリティコン』という大きな本(上下2巻)を借りてきた。
中上健治さんの路地物語の要素と井上ひさしさんの吉里吉里人のローカリズムが合わさったような重っちい本だった。
この人の小説は(読む前の、色々な本のタイトルから来るイメージで)なんとなく最後が暗く終わってしまって、絶望感が残る後味の悪い読み物なのではなかろうか、という恐れを抱きながらチャレンジしたのだが、この本は、絶望の果てに一縷の望みがあり、前を向いて歩けそうな感じがしてほっとした。

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萱野稔人さんほかの『金融緩和の罠』

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この春からの金融緩和についての影響を学習中。
積極的に緩和せよ、という主張を推し進めた浜田宏一さんの著書は前に読んだので、次は批判的な説をと思い、集英社新書の『金融緩和の罠』。
誤解を恐れずに印象に残ったことを言えば、中央銀行が行う金融緩和は、政府の返済能力≒徴税能力を担保としてこれまでは行われてきており、今回の異次元緩和は裏づけのない金融緩和であり、危ないよ、という感じのことが書いてあった。
残念ながら、市場をびっくりさせる、市場と対話する、という現総裁のやり方の是非については論じてなかった。そこが少し残念。
次回はもう一度推進派の本も読んでみようと思う。

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嶋中雄二さんの講演を聴いた

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 ご縁あって、三菱UFJモルガンスタンレー証券の景気循環研究所長の嶋中雄二さんの講演を聴いた。
 機会があればいつかお話を伺いたいと思っていた、憧れの人である。
 なんだか、大好きなアイドルタレントと握手するような、ワクワク感、昂揚感があった。
 嶋中雄二さんは、景気循環論についての、我が国での恐らく第一人者である。
 特に、まだ若い頃にお書きになった『太陽活動と景気』(日経ビジネス人文庫で復刻)という本に、私は感銘を受けた。
 太陽活動と景気に何らかの関係がある、ということは以前から言われており、この著書では、太陽黒点活動が、景気循環の色々な波(ジュグラー・サイクルやコンドラチェフ・サイクルなど)とほぼ軌を一にしていることを立証しておられる。太陽黒点活動の周期は吉村という先生が明らかにしたもので、吉村サイクルと呼ばれている。
 思えば、その昔、大学生の頃に出会った、大後美保さんという人の『気候と文明』という本に、既に太陽黒点活動が人間の諸活動と密接な関係があると書いてあった。
 さらに、かの〝パンツサル〟の栗本慎一郎教授が、吉村サイクルとコンドラチェフ・サイクルがほぼ一致している、ということを説いて回っていたのが今から20年ほど前。
 そんなこんなで、私のこの30年ほどというものは、太陽黒点活動にとても強く関心を持ってきた期間であった。
 そして数年前に出会ったのが、嶋中氏の『太陽活動と景気』であった。
 とても平明な書きぶりで、しかもよく先駆者たちの学説を踏まえた内容でもあり、わかりやすく、いたく感銘した。
 そんな嶋中氏の講演だったので、楽しみも楽しみ、言葉に表せないくらいワクワクしていた。
 講演の内容はここには書かないが、さすが、金融系のシンクタンクの方らしく、数字、統計、関係性を駆使して、今の世界の景気動向、今後の見立てなど、鮮やかな切り口で論説いただいた。
 少なくとも、今後1年半程度は景気が上昇するであろうとの見立て。
 大要黒点活動の話はなかったけれども、大変興味深い講演だった。

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ヒポクラテスの誓い

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 介護福祉の勉強をしていて出会った言葉<ヒポクラテスの誓い>。
 ヒポクラテス・・・言うまでもなく、医学の祖として讃えられている、ギリシャ時代の医者である。
 映画「ヒポクラテスたち」といえば、故・古尾谷雅人さんの出世作でもある。(これは本題とは関係ないが)
 その「ヒポクラテスの誓い」、本人の作ではないという説もあるそうだが、真偽のほどはともかく、内容がとても素晴しいのでここに一部を転載させていただく。
1.私は、自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
2.依頼されても人を殺す薬を与えない。
3.同様に婦人を流産させる道具を与えない。
4.生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
5.結石を切り出すことは神かけてしない。それを生業とするものに委ねる。
6.どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
7.医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。

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