和田秀樹さんの『テレビの大罪』

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 和田秀樹さんの『テレビの大罪』(新潮新書)を読んだ。
<<(元不良がテレビに出て)「子どもがグレても、ほっといたほうがいいっすよ」などという言葉を信用してしまった親は、一体どうなるでしょうか。それで子どもが人を殺してしまったり、親が家庭内暴力で殺されたりしてしまったら、テレビはどう責任を取るというのでしょうか。>>(本書より引用)
 という一文がある。極端なたとえかも知れないが、テレビにはそれだけの影響力と責任があるはずだ。この本を書いて、著者の和田秀樹さんは、その後マスコミからオミットされている由。
 しかし書いてあることは正しい。
 テレビは「二分割思考(白か黒しかない、と断定する考え方)」を助長し、正常な判断ができる大人が持っている「認知的複雑性(中間にグレーがあり、濃いグレーから薄いグレーまで様々あるという、可能性の多様性を理解する力)」を弱めている、と主張される。
 最近のテレビには見るに耐えない下劣な番組が多すぎて、とても見られたもんじゃない、という話をよく聞く。その感覚は健全なことだと思う。もちろん、全てのテレビ番組がそうだとは言わないが、お笑い・社会・政治・経済・健康ものに対する注意が必要なこと言うに及ばず、情報番組や歴史検証ものなど、比較的、偏見で作られる可能性が低いものでも、盲信してはいけないぞ、という感性は必要だと思う。
 若い人たちにも一読を勧めたい本だ。

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