就寝前の十数分間の読書タイムだった。
ここのところほぼ毎晩読んできた。
映画化ということもあってベストセラーの上位にずっと名を連ねている。
万城目学氏の『プリンセス・トヨトミ』だ。
私が過去読んだ2冊は奈良と京都を舞台にしたものであり、伝記風な色彩を帯びた青春小説であったが、今回の作品は、歴史を背景に持ちながらも、大阪の下町を描いた青春小説であり、青春小説という点以外は随分異なった趣があった。
それにしても万城目氏は博学だ。
やや司馬遼太郎さんのエッセイ小説を彷彿させるような、説明調が多かったような感じもするが、それはそれでテンポは良かったと思う。
オチ、があるようでないような、最後はやはり日常に戻るという点も安心感がある。
明日も明後日も、この登場人物たちは、同じような日々を繰り返し、いつか結婚したり子孫を残したりしていくんだろうけど、自分の大切にすべきものを大切にしながら懸命に生きていくんだろうと思う。
発想が実に豊かで、とんでもない舞台装置が用意されている面白さが、やはり、ある。
楽しい小説だった。
やっぱり奇妙奇天烈な万城目ワールド『プリンセス・トヨトミ』
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