行き過ぎの逮捕報道

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 イギリスから来ていた女性語学教師を殺害した疑いで今日一人の容疑者が逮捕された。
 警察がその容疑者を連行する模様をずっとテレビでやっていた。
 2年7ヶ月もの間、名前を変え顔を変えて逃亡していたようだ。
 被害者のご家族の気持ちを思うとなんとも言えない。
 逮捕されてほっとしておられるかと思う。
 それにしても新幹線での連行の時のマスコミの暴走ぶりはどうか。
 警察の仕事の妨害以外の何物でもない。
 異常だ。
 それと、それに関わる報道の時間の長さ。
 逮捕されたのだから、それでいいではないか。
 警察とマスコミのすったもんだの映像を延々と流してなんになるのか。
 他に報道しなければならないことはもっと沢山あるのではないか。
 日本の映像マスコミはホントに異常だ。
 妻に言わせると、元アイドルタレントの大麻事件の時(逮捕された時や裁判の時など)も、昼のニュースやワイドショーはそればっかりだったそうだ。
 他に報道しなければならないことは山ほどある。
 日本のマスコミは昔からそうだ。
 田中角栄氏の時もそう。
 戸塚宏氏の時もそう。
 ニワトリが弱ったニワトリを集団でつっつくように、集団リンチのようにみんなで一斉に攻撃しまくる。
 終われば次の獲物を求めてまた集団で動く。
 魔女狩りだ。
 こういう「エセ大衆迎合報道」(エセという理由は、マスコミが「大衆が望んでいるだろう」と勝手に思い込んで自分たちの「報道の権利」を縦に、きっちり仕事をしている人たちの迷惑を省みずに、ずかずかとカメラを持ち込んで好き放題に映像を撮りまくっていくから、そう名づけるのだが)が跋扈している間は日本の知的文化レベルは上がらない。
 私たちが知りたいことは、逮捕された容疑者が新幹線で捜査員に付き添われて大阪から東京へ護送される様子やその道中の警察とマスコミの騒動や新幹線の他のお客さんの迷惑も省みずにどやどやと一緒に乗り込んでJRの運行妨害をしている「俺たち、報道の自由だもんね」と得意げにカメラを回しまくっているマスコミの姿ではない。
 人の命を奪った事件について、真実が明らかになり、犯人が法律で適切に裁かれる、ということが、正しく行われるかどうか、事実が明らかになるかどうか、ということを私たちは知る必要があるのであり、そういうことをきっちりと監視し、国民に伝えていくことがマスコミの仕事ではないか。
 どうか我が国の良識ある人たちが、こういう愚民報道を、劇場で芝居を観るような感覚で見、人としての判断力や冷静な感覚を失わないよう切に願う。

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