長男の通う大学に行ってきた。
1年生からやっているゼミの指導教授との個別懇談というものである。
それが終わってから、富山県水墨美術館で「日本の美 国宝との出会い」という京都国立博物館所蔵品の展示を見た。
いやあ、素晴らしいものだった。
なんたって、普段は、京都国立博物館でも展示していない、ほんまもんの国宝の数々である。
足利尊氏、と言われている「騎馬武者像」とか、柿本人麻呂の肖像画とか、雪舟の水墨画とか、まあ教科書でしか見られないものばかり。
中でも感激したのは、空海の「金剛般若経開題残巻」というもので、あの空海の「下書き」めいた書であり、ところどころ、書き直し、上書き、訂正などがあり、そういうものが残っていることが空海らしい愛嬌だなと勝手に思い、一人ニンマリとしてしまった。
ともかく、日本の宝の数々を間近で見られたというのはなかなか得がたい体験であり、ありがたかった。よくぞやってくれました。(11月8日まで)
夜はNHKスペシャルの「自動車革命 第一部」を見た。
トヨタを中心とした自動車産業の革命的な変化のレポートだ。
いくつか、気になるキーワードを。
・電気自動車では部品点数は3万点から1万点に減少。
・部品メーカーはこれまでとは異なる業種ヘシフト&減少。
・アメリカのテスラという電気自動車メーカーの参入。ロードスターという車。(価格は1000万円、1回の充電で約350キロメートル走行)
・中国の農家で電気自動車が作り始められている。
・さびない磁石。広島県大竹市にある「戸田工業株」という会社とアイシン精機。
関連ニュース
・中国のBYDという新興自動車メーカー。電気自動車。ウォーレン・バフェット氏が200億円以上を投資し、株価は1年で8倍に。
さて、トヨタはこれからもナンバーワンの地位を維持できるか。
電気自動車が、組み立て型で誰にでも簡単に作れるものだとすると、中国やインドなどの新興国が人海戦術でやってくると、一気に安くて軽くて低公害(無公害?)の車が攻めてくる。
部品メーカーもどんどん淘汰される可能性がある。
そうなると我が国の経済はどうなるか。
やはり革新的なものを作っていくしかないのだろうけど、大変だ、と思う。
来週の「第二部」も目が離せない。
日別アーカイブ: 2009年10月18日
加藤和彦さんの死の報に接して
今日の朝刊で加藤和彦さんの死を知った。
自殺であろうとのこと。
62歳。
まだ若い。
私が最初にこの人の音楽に接したのは、確か小学校の5年生の頃か。
従姉の部屋でサディスティックミカバンドの「タイムマシーンにお願い」の入った「黒船」というLPレコードを聞いたときだったと思う。
もう40年ほど前になる。
「あの素晴らしい愛をもう一度」を聞いたのは、その後である。
作られたのがどっちが先だかは知らない。
フォークを聞いてからロックを聞く、というのが順序だとしたら、私の場合は、この小学校の時の強烈な音楽体験があったために、一瞬普通とは逆の道筋を通ってしまっている。
従姉は当時中2ぐらいだったろうか。
彼女の年齢からすれば、そういう音楽を聞いても不思議はないが、魚津という田舎町の普通の中2の女子生徒が聞く音楽とすれば、今から考えてもちょっと先進的というかとんがっているというか、いい感性してるじゃん、と思う。
その薫陶を受けた割には、「タイムマシーン」以外の曲は「変な音楽だなあ」と思ってしまい、それ以上にはならなかった。
でも、ミカさんのあの狂おしいほどに透きとおった声は、ずっと耳から離れなかった。
その後、ヨーロッパ三部作と言われる一連のアルバムでまたヒットを飛ばしたり、安井かずみさんとの夫婦生活を著した本など、素敵な生活を送っておられるなあと憧れを持って加藤さんの仕事や人生を眺めてきた。
ヨーロッパ三部作では「ケスラー博士の忙しい週末」や「トロカデロ」という曲が大好きだ。
エレガントという表現がいいのか、スタイリッシュという言い方がいいのか、繊細、優雅、心地よいメロディライン・・・。
とにかくかっこいい。
そんな加藤和彦さんが亡くなったのはかえすがえすも寂しいことだ。
木村カエラを迎えて第三のミカバンドを結成したと新聞記事には書いてあった。
第二のミカバンドのアルバムも買ったが、第三でまた「タイムマシーン」や「どんたく」をやっているのなら、是非聞きたいと思う。
軽井沢で首を吊っていたとのこと。
何年か前に先立たれた安井かずみ夫人との思い出の場所ででもあったのだろうか。
安井かずみさんがおられなくなって、すっかり寂しくなっておられたのかも知れない。
だからと言って、自殺だとしたら、それは良くない。しかし加藤さんは既にこの世にはいない。
死を悼み、残された音楽(又はその先進性、未来志向)を継いで行こう。