変化を拒む気持ち

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 ある老舗の日本料理店の経営者の経営相談を受けた。
 この道50年のベテランだ。
 昔は社用族で大賑わいの老舗である。
 ところが時代が変わり、今や社用族が会社の交際費で高級な和食を、など見る影もない。
 はずなのだが、社長氏は「交際費はあるんですが、皆さん、新しいところへ行く。うちにはなかなか来てくれない。」とのたまわっている。
 市場が変わり、立地条件も変わり、財布のひもの具合も変わっている。
 お客さんは変わっているのである。
 にもかかわらず、相変わらず昔の栄光から離れられない。
 ダーウィンは言う。
 強いものが生き残るわけではなく、賢いものが生き残るわけでもない。
 ただ変化するものだけが生き残るのである、と。
 これは般若心経の「色即是空空即是色(生きていることは変化すること、変化することが生きていること」というのと同じだ。
 これだけ市場環境が変わっているのだから、いくら老舗と言っても変わらなければ生きていけない。
 いや、現に売上は往時の30%以上減少している。そのため、従業員のコストを削り、サービス品質は維持しているので、客単価はわずかながら上がっている。しかし借入の返済ができるレベルのキャッシュフローは生み出せていない。
 あと何年で償還するつもりなのか。
 かと言って、高級和食料理店が、そのブランドを捨て、ワンコイン・ランチの店になれなどと言うつもりはない。
 老舗のブランドを壊す必要はない。
 しかし、市場の変化に対応した変化は必要ではないか。
 昔の主要顧客と今の主要顧客は、業種、嗜好など、間違いなく違っている。
 そんなことを感じ、分析のやり方やものの見方などを助言させていただいた。

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