今となっては大昔のこと。
社会人になって二年目くらいだったろうか。
友人が村上春樹の『ノルウェーの森』が面白かったと言って、上下ともに貸してくれた。
それまで村上春樹は全く読んだことがなく、軽チャー本だろうと、読みもしないで軽視していたものだが、他ならねM氏のお薦めだったので、ともかく読んだ。
それはそれは深いもので、一気にのめり込み、最後は涙をぼろぼろ流しながら読んだものだ。それまでの自分の色々な経験や思い出と重ね合わせられる部分も多く、共感しながら読んだ。
その、本のいよいよ最後のあたりで、たまたまレンタルしたレコードを聞きながら、読んだ。
それは、ジョン・コルトレーンのセルフレスネスというLPで、本のエンディングあたりの時に、そのLPの中の「マイ・フェバリット・シングス」という曲が流れていた。
村上春樹の『ノルウェーの森』のエンディングとジョン・コルトレーンの『セルフレスネス』の中の「マイ・フェバリット・シングス」のコラボレーション。
これはキョーレツだった。魂を揺さぶる激しい体験だった。
今日、帰りの電車で、久しぶりにマイ・フェバリット・シングスを聴いた。当時のことが鮮烈に蘇ってきた。やもたてもたまらず、この記事を書いている。
さて、それから数年経って、中学校時代の親友に会った。十年ぶりの再会だった。ひょんなことから、ジャズの話になった。
なんと、彼の一番のお気に入りが、私と同じ、ジョン・コルトレーンのマイ・フェバリット・シングスだった。しかも、セルフレスネスの中のそれが一番いいと言う。
う~ん、底流でなにがしかの気持ちのつながりっちゅうもんでもあるなかなあ、と思った次第である。
最近は少しご無沙汰しているが、ノルウェーの森以来、村上春樹も片っ端から読みまくった。
このほど、イスラエルで何かの賞を受けられたらしい。喜ばしい限りである。
あ、そういえば、今日は私の47歳の誕生日だった。
忘れてた・・・。
コルトレーンとノルウェーの森
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