残業をして帰る。
桜木町という繁華街の真ん中を突っ切って、市役所の裏へ出る。
市役所の手前には松川という川が流れている。
その川にかかっている華明橋という橋のたもとに幾人かの少女がいる。
全て銅像なので、動くことはない。
中の一人(一体)に、今年「日展100年」で見た、戦後間もない頃に作られた銅像によく似た姿の少女がいる。
ワイシャツを肩から羽織ってスツールか何かに腰かけている少女だ。
誰のワイシャツかわからないが、男物のようにも感じる。父のものか。
正面から見たことはない。
いつも彼女の右斜め後ろから、ほとんど駆け足状態で、目のはなに入るか入らないうちに通り過ぎているのだが、その刹那、前後に少し体を揺らすように動いているような、躍動感というと言い過ぎだが、生き生きとした感じを受けて、一瞬そちらに目を凝らす。
今にも立ち上がりそうな感じがして、ますます目を凝らす。
しかし彼女は立ち上がらない。
作者が誰か、どういう名前の作品かもいまだに知らないし、日展100年の出品作と関係があるのかどうかも調べていないが、伸び盛りの娘の今にも動き出しそうなた感じを形にした作者の力量を感じながら、今日も駅への帰り道を急ぐ。(写真は昼間撮影のもの)
夜の少女
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