馬場マコトさん・土屋洋さんの『江副浩正』

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 リクルート創業者の江副浩正さんの評伝です。およそ500ページの大部の本でした。

   私にとってのリクルートは、NTT初代社長の真藤恒さんが突如経営の座から引きずり降ろされたリクルート事件であり、それはそれは強烈な体験でした。
 役所が民間企業に変貌していくはずの、まさにその真っ最中、先頭に立って旗振りをし、私たち社員一人ひとりを鼓舞し続けてくれていた御一人が犯罪者の疑いをかけられて経営第一線から転落した事件だっただけに、入社間もない私にとっては大きなショックでした。

 その辺りのことを知りたいと思ってリクルートが第二種電気通信事業に乗り出したところから読みましたが、あまり深く触れられているという感じではなく、同社の二種事業進出の背景や、その後撤退したことなどが割と中心に書かれていました。
 真藤さんが「白状したぞ」ということを検察官から告げられて、江副さんもこれ以上世話になった方々に迷惑をかけてはいけないと考え、やってもいないことをやったと言わざるを得なくなった、というくだりは(真実は私にはわかりませんが)涙なくしては読み進められませんでした。

 江副浩正さん自身は稀代の事業家だったと思います。すごいアイディアマンであり、人を生かす経営をし、人を生かす仕組みを考え出して実行し、それを組織の遺伝子になるまで埋め込みました。その結果リクルート出身の起業家の多いこと多いこと。
 しかし、本人は子どもの頃に母を父によって奪われた悔しさを原体験として持ち、合唱部では口パクを強いられた悔しさ、部下の結婚式でわけのわからない会社と言われた悔しさ、稲盛さんに対する悔しさ、野村証券に見放された(と勘違いした)悔しさ、と「悔しさ」という言葉が全編を覆っていて、ちょっと息苦しさを感じました。
 一方でそれが江副浩正さんの成長の原動力だったというような記載もありました。しかし会社が相当大きく成長した後まで、負のエネルギーを糧にし続けているとどうなるのか。高転びに仰のけに転んでしまったということではないでしょうか。ダイエーの中内さん、西友の堤さんなどとの共通点がなんとなく感じられ、つらくなりました。
 どこかで転換できれば良かったのでしょうが、私はこういうふうに生きていく、と無意識のうちに決めてしまった幼児決断は、その後の人生において継続して同じことを何度も繰り返す。それが人生脚本であり、そこから抜け出すには本人が気づくしかない、とは交流分析の考え方です。しかしこんなことを言うのは、当事者でもなく事業家ではない傍観者の世迷言なのでしょうね。

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独立から丸三年、日々新たに、これからも

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 経営コンサルタントとして独立開業して今日で丸三年を過ぎ、四年目に入りました。
 この間、大変多くの方にお声をかけていただき、助けていただきました。
 途中病院通いの時期や父の死などもありましたが、先輩や友人・知人・お客様・医師・薬師など多くの皆様の支えのおかげでなんとか生きてこられました。改めてここで感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 三年前の今日、独立したことをフェイスブックに投稿した時に、沢山の方から励ましの言葉をいただきました。
 その中の一つに、高校時代の同級生から「一人では生きられないことを肝に銘じておけ」というのがありました。
 慢心を戒める忠告として心に響きました。
 振り返ってみると、本当にそうだなと心から感じ入っています。

 四年目のスタートに際して、改めて自分の社会人スタートの時の社長であった真藤恒さんの著書をひもときました。
(思えば、ことあるごとにこの本を繰り返し開いていることに気がつきました)
 200ページに満たない薄い本ですが、昭和50年代末から60年の電電公社民営化に至る期間、真藤さんがどのように私たち従業員の意識を変え、電電公社をたくましい民間会社に生まれ変わらせ、日本が高度情報社会へ進んでいけるように寄与しようとしておられたかが具体例とともにふんだんに記載されており、今日のNTTの基本的な行動指針がこの人によって埋め込まれているなあということを、何度読み返しても感じます。

 謙虚であれ、ということをこの本の中でも何か所かにわたり、真藤さんは書いています。
<人間というものは、一人で生きられるものではなく、お互い気心の合ったものの仲間の信頼感が基礎になって、助け合いながら、ともに成長することのできる動物だと思う。闘争心も使いようによってはよい面もあるが、その立場を押し通すと、世の中に安住の場所は狭くなるばかりである。>

 今改めてこのことを肝に銘じて、これからも企業の経営者やそこで働く人たちのより良い今日・明日のため、伴走これ努めて参りたいと思います。

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豊田佐吉記念館の思い出など

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3年前の2月に静岡県に出かける機会がありました。
その折、少し早く到着したため、鷲津駅というJRの駅からほど近いところにあった豊田佐吉記念館を訪れました。
もう記憶も薄れていたのですが、写真の整理をしていて、ああ、ここ行ったなあと思いだしたので、写真データとともに当時の印象を少し記録しておきます。
古い建物が門構えとともに残してあります。敷地は広大で、裏山があり山の上まで登ると眼下に平野が広がっていましたが、そこは措いておき、中に入ってすぐに豊田佐吉が発明した木製の織機が残してある倉庫がありました。お母さんのために作ったものだそうですが、使えるようなものになるまで何度も何度も失敗していたということが書いてありました。確か国産自動車の生産においても何度も失敗したと聞いた覚えがあります。
あのトヨタにして、創業者は失敗の連続だったと。
失敗、と言っても、やめてしまわなければまだ失敗したかどうかはわからない。その時点ではまだ成功とは言えないのでしょうけれど、試作、実験、チャレンジの最中だと考えれば、やり続けている間は失敗ではない、という話を最近聞きました。ものは考えようだなと思います。
「やってみなはれ」と言い続けた鳥井信治郎氏の考え方はサントリーのDNAになっており、今や新商品の数は王者キリンをも抜き去ったと言います。
何代か前のトヨタ社長の奥田碩氏は社長就任挨拶で社員に向かって「悪いのはチャレンジしないことだ」と宣言し、失敗を恐れる空気を一掃したそうです。豊田佐吉記念館を訪れ、この挨拶はまさに佐吉翁の考え方を受け継いだものだと感じました。この家から豊田喜一郎氏なども生まれたそうです。

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アセッサー養成研修を受講して

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 先週一週間に亘って、ヒューマンアセスメントのやり方を学ぶ「アセッサー養成研修」という研修を受講しました。
 元々は諜報機関などで受験者の適否を見極める手法の一部として開発されたもののようですが、日本では任用や育成など人材開発系の方法論として導入されたようです。
 一週間ぶっ通しの研修は随分久しぶりのことでかなり疲れました。

 ヒューマンアセスメントは、個人の潜在能力・資質が、観察しやすい行動として外面に表れる状況を、心理学的に設計された数種類の演習課題を使って作り出し、一定の行動観察技法に基づいて、観察・記録・評定する職務適正の評価技法のことです。ある職務に登用する前などに、その人物がその職務に対する適性があるのか、不足する能力は何かなどを、演習(疑似体験)を通して、客観的に事前評価する手法です。職務への適性やその職務に必要な能力開発を目的としたものであり、人物を評価するものではありません。

 ヒューマンアセスメントの対象規模としては、色んなことを全部やらなければならない個人事業者や中小企業の社員さんを対象とするより、少し大きめの組織で活用することが多いようで。人物評価ではないとは言え、アセスメントをする人が心しておかなければならないことは、そこで出した評定の結果が対象者の人生を左右することもあるということです。見る側も人間である以上、個人個人の経験や感覚はまちまちなので、同じ人の行動を観察しても、異なるバイアスがかかって対象者を見てしまいがちです。しかしプロはそのバイアスを極力少なくするように自分を無にして淡々と人の言動を見る訓練を積んでいるとのことで、一週間の研修を受けただけの私はその域にはすぐには達しませんが、今後修練を積んでいきたいと思っています。

 人への関心が強く、組織の力を高めるためには構成員の目的認識の共有や一人ひとりの協働意識が大切だ、と思っている私は、これまでも人と人とのコミュニケーションをより良好にするための心理学である交流分析や、チームでの仕事を効果的に実施するアナログ・コミュニケーション(インパクト・コンサルティング㈱の手法)を学んできました。今回さらに新しい知見を得ることができましたので、これらを活用して、今後さらに企業などの組織力強化のお役に立てればと思っています。

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坂本光司さんの「持続する良い会社」10の共通点

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 昨年暮れに出た複数の経済誌。
 いずれも2018年の予測を特集していましたが、ダイヤモンド誌に少し異色の記事がありました。
 広告企画で「息子・娘を入れたい会社2018」という特集で、広告なので大半は企業のPRなのですが、その冒頭に縫製大学院教授の坂本光司さんのインタビューが載っていました。

 坂本さんは以下のように述べておられます。

・企業の真の目的・使命は、企業に関係する全ての人々の幸せの追求と実現です。

・全国の8000社を超える企業の現地調査をしてわかった、業績が安定的に高い企業は例外なく”人をとことん大切にする人間本位主義の経営”を行っていた。

・全ての人々とは、次の5種類の人々である。
 ①社員とその家族(これが最も大切にすべき人々)
 ②仕入先や協力企業等で働く社外社員とその家族
 ③現在の顧客と未来の顧客
 ④地域住民、とりわけ障がい者や高齢者等の社会的弱者
 ⑤出資者や関係機関
 ※出資者や関係機関の幸せは、前の4人の幸せを追求・実現した結果として実現する。社員及び社外社員第一主義を愚直に実践している企業こそ、結果的に高い株主満足度を達成している。

・持続する良い会社に共通する特徴は次の10項目。
 ①人を大切にする経営を実践している。
 ②価格競争ではなく非価格競争を実践している。
  価格以外の付加価値で勝負できるサービス・商品を持っている。
 ③年輪経営を実践している。
  自然の摂理に反する急拡大、急成長を目指していない。
 ④環境依存・環境追随型の経営をしていない。
  環境が良くても悪くても、取引先からの要求に屈しない。そのためには、その企業でしか創造・提供できない価値のあるサービスや商品を持っていることが条件。
 ⑤バランスの良い経営を実践している。
  一部の分野に特化せず、事業内容に偏りがない。
 ⑥ワンマン経営ではなく全員参加型経営を実践している。
  社員のモチベーションを高める有力な方策の一つは計画作りへの参画である。
 ⑦閉鎖的ではなくガラス張り経営を実践している。
  人事評価制度も透明性があり、頑張れば報われる制度が整っている。
 ⑧情報発信力の強い経営を実践している。
 ⑨人財の確保と育成に注力した経営を実践している。
  好不況にかかわらず、新卒採用と人財教育に力を入れている。
  企業のあるべき教育時間は、所定内労働時間の5%以上、月間でほぼ1日分の教育。金額でいえば、社員一人当たりの人財育成経費は年間10万円以上が望ましい。
 ⑩大家族的な経営を実践している。
  行き過ぎた成果主義ではなく、ぬくもりのある企業風土を醸成している。

 これら10の項目の中には、「1項目目」以外にも私もなるほどなあと思うものがいくつもあります。これはコンサルの仕事においても十分役に立つ情報だと思いますので、今後活用させていただきたいと思います。

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2017年の年末に出た経済誌を総ざらえ

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 最近は毎年年末に主要経済誌が翌年の予測の特集号を出すのが慣例になってきました。
 今回は『日経ビジネス』『東洋経済』『エコノミスト』『ダイヤモンド』の各誌をざっと総ざらえしてみました。
 ユーラシアグループのイアン・ブレマーさんと英国エコノミスト誌のビル・エモットさんが複数の雑誌に登場していました。特にブレマーさんは3誌にまで顔を出していました。ということでブレマーさんの象徴的なコメントから記載していきます。

1.日経ビジネスより

 ブレマーさん:Gゼロの拡大、ポピュリストの増大と権威の崩壊という潮流はさらに加速。トランプ大統領の弾劾は(中間選挙までは)なく、米国第一主義は続く。

 ジョセフ・スティグリッツさん:(中国の今後について)習近平国家主席は以前にはない方法で権限を集中させている。債務主導型の成長を続けてきた。債権問題が深刻化するのを避けつつ成長を維持できるか。

 ビル・エモットさん:(英国について)ジェレミー・コービン氏率いる労働党は格差是正を愚直に訴え支持を高めている。2018年労働党政権が誕生するかも。

 スコット・ギャロウェイさん:GAFA4社の中ではアマゾンが抜け出す可能性が高い。音声アシスタントが既存企業のブランド資産を壊す。今のトレンドが続けば、平均的なミレニアル世代は死ぬまでの間にエフィスブックとインスタグラムに合計2年半分の時間を費やす計算になる。かつて人間が神に聞いていたことを、私たちがグーグルに聞くようになっているとすれば、それは「神」と言えるだろう。グーグルは「脳」、フェイスブックは「ハート(心)」、アマゾンは「胃袋」、アップルは「局部」(アップルは財力や創造性の象徴であり人間の生殖本能にアピールしているから)。

2.東洋経済より

 ビル・エモットさんとリンダ・グラットンさんの対談。
 グラットンさん:日本企業は人材育成にかける費用を減らしてきている。これは間違い。
 エモットさん:日本企業は高水準の利益を上げており余裕はある。人材育成予算が縮小しているのは、非正規雇用が増えたことの裏返し。こういうやり方で競争力を高めようとするのは問題。
 グラットンさん:日本は世界のどこよりも急速に高齢化が進んでいる。日本がこれにどう対処していくかに世界は注目しており、日本はその経験を教えられる。また他国と比べて日本人はロボットやAIに対する信頼が厚く、生産性向上や人生を豊かにしてくれるものとしてロボットやAIがどう役立つかを示すことができる。

 2018年はリーマンショックから10年。先進国も新興国も経済は堅調で「ゴルディロックス(適温)経済」が続くと思われるが、信用危機は10年サイクルで到来するとも言われている。油断禁物。

 ロシア。財務大臣を務めていたアレクセイ・クドリン氏に注目。首相に指名されるかも。もう一人の注目すべき人物はセルゲイ・ソビャーニン・モスクワ市長・・・だそうです。クドリン氏が提唱する構造改革プランが実現すれば3%成長が期待できるとのこと。

 中国経済。習近平氏の2期目は改革促進。
 2015年12月の中央経済工作会議で提起された「五大任務」によって経済の構造改革が進められるのではないか
 五大任務:①過剰生産能力解消、②不動産在庫削減、③デレバレッジ(債務削減)・資産圧縮、④コスト引き下げ、⑤効率的な供給拡大(略称三去一降一補)
 2020年までの「小康社会の全面的完成の決勝期」に挙げられた3つの重点戦略:①重大なリスクの防止・解消、②貧困脱却、③汚染対策(全面的完成とは、2015年に5575万人いた貧困人口を2020年までにゼロにすること)
 金融政策はやや引き締め(資産管理業務規制など)でいくため短期的には景気減速も予想されるが、6%台の成長を維持し、2020年所得倍増計画達成に向かっていくであろう。

 ライドシェア・カーシェアが浸透。
 日本では白タク行為規制によりライドシェアはまだ導入されていないが、個人間のライドシェア(持ち主が使わない間、他人に車を貸す)は人気が出てきた。カーシェアは借りた場所に車を返すラウンドトリップ方式が主流、借りた場所以外の場所にも返せるワンウェイ方式はまだ。

 メルカリ。
 CASHが出たら即同様のサービスを開始。「メルカリナウ」というサービス。楽天もフリマサービスをメルカリを猛追している。メルカリはモノの売り買いに加え、自転車シェアサービス「メルチャリ」やスキル・知識のマッチングサービス「ティーチャ」などコトのサービスシェアへと拡張を始めている。日本発のフリーマーケットサイトから目が離せない。

 ビットコイン。
 デンマークの投資銀行サクソバンクは2018年に6万ドルまで上昇するがそれがピークとなり、その後は1000ドルまで急落するであろう。各国政府の規制と国家による独自仮想通貨発行が価格急落の要因になる。

 堺屋太一さん。
 2020年が過ぎると、大不況になる可能性が高い。膨大なカネを費やす東京オリンピックが終わって、公共事業が止まり、東京都内にまで少子化が及んで空き家だらけになる。2020年代後半には、医者が猛烈に余る。仕事確保のため健康な人を病人扱いしようとする恐れがある。不動産価格は暴落する。江戸時代でいうと天保のころのような雰囲気になる。近い将来の日本でも社会の安定を壊すようなムードが高まるだろう。閉塞感の源である人口減少問題に対して改革の機運が起こる。具体的には移民受け入れを政策的に行うべき。かつての日本は移民受け入れをし、彼らや彼らの子孫は偉大な業績を残したり日本文化の発展に貢献した。日本人は同化力に自信を持つべき、日本文化は決して日本土着の日本人だけで作られたものではない。

 3.エコノミストより

 嶋中雄二さんの景気循環論。
 キチンサイクル、ジュグラーサイクル、クズネッツサイクル、コンドラチェフサイクルの4つの景気循環サイクルすべてが上昇局面になる「ゴールデンサイクル」(嶋中氏命名)という視点で見ると、米国は2017年から2018年までがゴールデンサイクルとなる。2019年はコンドラチェフサイクルを除きあとの3つは下降へ向かう。2018年終わり頃から2019年にかけてインフレが発生する可能性がある。(米国のことです)

 水野和夫さんの予言。
 ゼロ金利下では近代資本主義は成り立たない。国家は労働分配率を高める努力をせずに、金融緩和のための低金利政策に邁進し、ROE(株主資本利益率)を高める号令を発することに躍起に。この結果、緩和で市中にあふれたマネーが株式に集中し、一部の投資家のみに莫大なリターンをもたらしている。
 16世紀の欧州では、オランダのチューリップバブル後、リターンを得た商人が、次にオランダと英国の東インド会社、南海会社を選んだ。その後南米との貿易に期待が過剰に膨らみ、株価が急騰し、ある日はじけた。この南海泡沫事件から見れば、チューリップバブルは序章に過ぎなかった。それに引き寄せて考えるならば、10年前のリーマン・ショックも序章に過ぎないのではないか。2008年のリーマン・ショックは世界に大きな景気後退をもたらしたが、足元ではまた世界中の資産価格が異様に上昇している。高リターンを得た一部の投資家が世界中で再投資をしているからだ。
 これから100年は近代資本主義とは違う世界が再構築されていく。今の子供たちの世代が再構築していく。今はその過渡期とも言え、絶えず改善策を見つけては一歩ずつ進んでいくしかない。

 中国のIT巨大企業。BAT:検索大手のバイドゥ、EC最大手のアリババ、SNS最大手のテンセント。

 4.ダイヤモンドより

 地銀は利益が20%減。銀行にとっての脅威はバランスシートの健全性からPLの収益性に移行している。(貸出先の企業の業績低迷=銀行の資産の不良状態がバランスシートの問題、PLの収益性は利益が出ずに企業を維持していけなくなる危険性という点での問題)
 (地銀の本業低迷行の地図はショッキング)

 似鳥昭夫氏のコメント。
 五輪景気や消費増税の駆け込み需要が終わる2020年以降の5~10年ぐらいは大不況になる。不況はチャンス。不動産価格が下がれば立地が確保しやすくなり、大手企業が採用を控えれば優秀な人材を採用しやすくなる。消費減退の影響で一気に寡占化が進む。

 KDDI田中孝司社長のコメント。
 われわれはライフデザイン企業に変革する。が、通信事業がコア事業であることになんら変更はない。
 IoTに関しては現在消費者向けに力を入れている。家のIoT化を実現する「auホーム」はこれから増えていく。鍵となる端末はカメラである。本当に需要があるのは家電操作などの機能ではなく、家の見守り。

 以上、私の勝手なつまみ食い抜粋ですが、2018年またはそれ以降を考えて行くための、自分自身の参考情報として記載しておきたいと思います。

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浅田彰さんの新「逃走論」と塩野七生さんの「自由な思考がイノベーションを生む」というお話

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明けましておめでとうございます。
2018年がスタートしました。

毎年元日の全国紙を買って見比べることが私の新年の行事の一つとなっています。
しかしここ数年は地元駅がJRの経営ではなくなったこともあり、売店で全国紙の取扱が一部のみとなってしまいました。
コンビニに行っても一部の新聞しか扱っていないため、いわゆる「朝・毎・読・日経・サンケイ」の五大紙のうち三紙しか手に入りません。加えて地元新聞と北陸中日を読み比べ。
今年は例年になく目ぼしい記事がありませんでした。新聞業界、パワーダウンでしょうか?

そんな中で一つだけ目を引いた記事が朝日に載っていた浅田彰さんのインタビュー記事でした。
浅田彰さんと言えば、私が大学に通っていた頃、ニューアカデミズムの旗手として中沢新一さんらとともにマスコミにもてはやされていた時期がありました。『構造と力』『逃走論』などという著書が大変な売れ行きだったことを記憶しています。
あれから30年以上経過し、時折論壇などでお目にかかる機会はあるものの、どんな研究をしてどんな言論をしているのかよくわかりませんでした。(私の見ている範囲が限定されていることはあると思いますが)

このインタビュー記事によると、80年代、「家族」「男らしさ/女らしさ」といった価値観が変化する一方、古い価値観やアイデンティティーに固執する(パラノイア)人も多いので、資本主義を半ば肯定しつつ、多様な人々と横につながり、自分も変身していこうと提唱した、これが当時の『逃走論』だったと。そういえば、その後異業種交流などが盛んになった時期でもありました。しかし異業種交流はその後会社で偉くなって行くための人脈形成というふうに一部では変質していったのではないかなと感じています。みんながみんなそうではないのでしょうけど。浅田さんも同様の印象を持ってかどうかはわかりませんが、同じインタビューの中で「逃走の多くは資本主義にのみ込まれた」と語っています。

現代のSNSの時代になっても「「いいね!」数を稼ぐことが重要」「人気や売り上げだけを価値とする資本主義の論理」に重なり、「仲良しのコミュニケーションが重視され、自分と合わない人はすぐに排除する」と分析しています。
多様な価値観をお互いに認めあうことが大切だと私たちは子どもの頃から教わってきましたが、私たちの先輩に当たる年齢の人たちも同年代の人も、驚いたことに私たちよりも若い人たちですら、排除・分断をいともたやすく口にする時代になりました。
浅田さんはそういう状況の中で「自由」を確保するために「ときには接続を切り、ネット村から逃走する必要がある。そのときConnectとCutの間にIが発生する。」と、つないで切断し、切断してつなぐ、その間にいる自分がクールでいることが重要だと説いていました。

この記事の数日前、平成29年12月26日付けの日経新聞には塩野七生さんのインタビュー記事が載っていました。
塩野さんは浅田さんが確保すべきだと語る「自由」について「自由とは基本的には思考の自由」であり、それが「イノベーションにつながる」と語っておられます。
「ネット中毒」や「スマホ中毒」「SNS疲れ」などといったことも言われて久しいですが、人の書いたもの、興奮を煽るもの、その「村祭りの熱狂」から時々少し自分(I)を離して、思考の自由を保つこと(逃走すること)で、心が解放されイノベーションをもたらす元になる、という着想をお二人からいただきました。

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角さんが心していた「10の反省」

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 昨年暮れにセブンイレブンが小林吉弥さんの編集になる「田中角栄名語録 日めくりカレンダー2017」なるものを販売しており、購入して机の上に置いて日々玩味しておりました。(今年は出ているのかどうかわかりませんが。)
 昨日と今日のカレンダーには角さんが「心している」という「10の反省」が2回に分けて記してありました。
 自らの備忘のためここに記しておきます。
①友達と仲良くしたか
②お年寄りに親切にしたか
③弱い者いじめはしなかったか
④生き物や草花を大事にしたか
⑤約束は守ったか
⑥交通ルールは守ったか
⑦親や先生など人の言うことをよく聞いたか
⑧人に迷惑をかけなかったか
⑩正しいことに勇気を持って行動したか
 これらのことはこの人の語ったものを読むと、たぶんにお母様の教えから来ているものが多いのではないかと感じます。
 しかしたったこれだけの項目ではありますが、自分自身で考えるといかにこの10項目を日々やり切ることが難しいか、額の後ろに汗がにじみ出てくるような気がします。
 来年はまずこれらのことが一つでも、一日でもできるよう改めて心していきたいと思いました。

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映画「インビクタス 負けざる者たち」に学ぶリーダーシップ

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 ご存知の方々にとっては今さらという感じでしょうが。
 2年ほど前に友人から「リーダーシップを学ぶなら映画『インビクタス 負けざる者たち』というのがお勧めですよ」と教えられ、以後ずっと気になっていました。
 先だってある団体の管理者研修の講師を仰せつかり、「リーダーシップ」についてというお題をいただきました。
 ドラッカーや倉益幸弘さんのインパクト・コンサルティングで教わった実学などを盛り込みつつ研修内容を固めていきました。
 そうする中で、講義とワークばっかりでもなあと思いつつ、この映画を観てみました。使える部分(失礼な言い方かもしれませんが)がとても多く、これは是非参加者にも観てもらおうと考え、映画の一部分だけではありますが、研修の中に織り込みました。

 私自身はこの映画から次のことを感じ取りました。

 リーダーとは次のような存在である。
 ・方向性を明示する、ぶれない
 ・その気にさせる、実力以上の力を発揮させる
 ・フォロワーに動いてもらう
 ・間違いを正す、動機づけをする(明示的、暗示的)
 ・自分の役割発揮のために他人に働きかけを行う(誰が選んだのであろうとポジションが役割を規定するのである)

 既にドラッカーが「リーダーシップはスキルであり学ぶことができるものだ」と言っています。
 学ばずにできている人もいるとは思いますが、少なくとも後天的に習得できないものではないというのがドラッカーの見方です。といういようなことをお伝えして研修を進めました。

 参加者の受け止めがどうだったかはわかりませんが、この映画、自分としては研修内容にしっかりフィットしていたのではないかなと感じています。

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2017年日経ITProEXPO見聞録

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 先週東京に行ってきました。
 目的は日経の主催するITProEXPOというイベントの観覧です。行き先は「東京ビッグサイト」。
 一番の目当てはIT関係の新しい動向を勉強することですが、先に届いていた案内を見ると、クラウドやらセキュリティやらIoTやらFinTeckやらと今流行りのキーワードが沢山書いてあり、それぞれのコーナーでブースが設けられているということだったので、さぞかし賑やかなことだろうと期待して出かけました。時間がたっぷりあれば講演なども聞けばいいのですが、なにせ日帰りのためブースを回ってパンフを集めて、というのが精一杯。
 色々面白い展示もありましたが、何より目と耳についたのは「働き方改革」という言葉。幟旗にも「働き方改革のためのIT」だとかが書いてあり、またオープンシアターはデモなどでも盛んに「働き方改革」とのたまわっておりました。ちょっと食傷気味になってしまい、もうちょっと皆さんオリジナリティというか個性を出してもいいんじゃないかなあと感じた次第。

 そんな中にあって、目のつけどころがユニークだと感じたのはGMOさんのブース。
 何やら壁一面にバーコードリーダーが百本ほども刺してあり、ひときわ目を引くパネル。
 内容を聞くと、いわゆるショールーミング対策のソリューションだとか。
 ショールーミングとは店頭で良さげな商品を見るだけ見て、買うのは家に帰ってからネットで最安値のものを探してポチッとするというやり方をされると、リアル店舗にものを飾る企業がいなくなってしまうという恐れが言われています。
 GMOさんの提案は、顧客に店舗の会員になってもらい、会員はその場でお金を持っていなくても、会員カードとクレジットカードがあれば、その場で店のバーコードリーダーを使い、JANコードをどんどん読ませていき最後にクレジットカードを挿入して「決済」というボタンを押すだけで、買い物ができるという仕組みです。
 文章ではなかなか伝わりにくいですし、それでも見るだけのお客様をカバーしきれないと言われればそれまでですが、こういう仕組みの必要性に対して具体的に開発し展示して提案するという意思と力に感心しました。

 それともう一つ、大手ではありますが、Googleクラウドの拡張ぶりがすごいなと感じました。
 G Suite Businessというサービスで、AIが人間がスライドを作成する際にデザインの提案をしてくれるとか、Google Cloud Searchというものでは検索をする前に検索すべきものをプッシュ通知で提案してくるとか、Team Driveはファイルサーバの役割だとか。
 たまたま今お客様でグループウェアの導入を検討している企業があり、サイボウズLIVEでまずは色々試行してみるよう勧めているのですが、この企業が実現したいと思っていることがほぼGoogleクラウドで実現できそうな感じなのです。このイベントでの展示内容はそこからさらに進んだ感じで、正直言って何が起こっているのか理解し切れませんでした。世界企業Google恐るべし、と感じました。

 さて、最後に、あまり意味はありませんが、今回のイベント、およそ半日ほどしかいませんでしたが、色々ノベルティをいただきました。皆さまありがとうございました。

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