森本真樹さん著『躍動するアフリカ』

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地元の図書館に行ったら<新刊>というコーナーで目に入りました。早速借りてきて一読しました。著者や外交官で3度のアフリカ勤務をなさった方で、現在はエチオピアにあるAUの事務局で働いておられるとか。この方が2008年に当時のエチオピアのメレス首相から、日本には日本にしかできないことをやって欲しい、働く人を指導する指導者の教育である、との依頼を受け、カイゼンを通じた労働教育のプロジェクトを提供したということが書いてありました。ちなみにメレス首相曰く「普通の道路、橋やダムの建設なら、欧州や中国に依頼すれば良い」「規範を書くのは、欧州の人が得意」という風に、日本に依頼することと、欧州や中国に依頼することを区別していたようです。「重要なのは労働倫理です。これは日本が最も得意とする分野であり、日本人にしかできないもの」と仰っていたそうです。

時々知人たちと「日本人の良い所はどこだろうか?」という話題になることがあります。内省的? 思いやり? おだやか? 話し合いでものごとを決めようとする姿勢? どれも合ってるような感じはしますが、それらと逆の出来事にもしばしばお目にかかります。上の人の言うことに素直に従う従順さ・おとなしさ・・・悪く言えば隷従ということにもなりかねず、そういう労働者になるように仕立ててくれ、というのが本音の要請だったとしたら、それはそれで本質を突いていたのかも知れませんが、森本外交官たちが提案し導入したものがカイゼンであったということです。まず、仕事が終わったらきれいに片づける、ということから始めたということですし、カイゼンの本質は、自主性・自発性・チームワークといったボトムアップの取組のはずですから、自由の尊重や多様性重視や相互リスペクトといった価値観も5つのSなどと一緒に伝えられたのではないかと思います。

面白いなと思ったのは日本の蚊取り線香が現地の蚊にも結構効くので、そのおかげでマラリアの感染抑制にも効果があるとの記述でした。蚊取り線香の材料となっている除虫菊はケニアやタンザニア産らしいので、アフリカからすれば逆輸入なんでしょうか。現地で生産できればいいのかも知れません(日本にとっては加工賃が入らなくなるので良くないのかも知れませんが)。

また「アフリカでは、老人が一人亡くなることは、図書館が一つなくなるのとおなじことであると言われる」との記述もありました。老人=先輩は智恵の宝庫。ものの見方、経験、考えて来られたことなど、先輩たちから学ぶことは沢山あります。もうちょっと先輩たちを大事にしなきゃ、と反省。

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