今年の春に先輩の中小企業診断士からコミュニケーションに関する研修を希望している企業がある、と打診がありました。
以前から企業単位で交流分析の知恵をお伝えしたいと思っており、是非取り組ませていただきたいという風に逆提案しました。
私に与えられた日程は4日間(各半日)でした。
いわゆる2級講座を実施するには時間が短く、かつ初級編を経由せずにいきなり会社まるごと2級講座を学んでいただくのは適切ではないと考え、次のようなプログラムを組みました。
1回目:社内コミュニケーションの現状を確認する(講師である私の現状把握という目的もあり、また何よりも参加者である社員の皆さんが日ごろ感じている息苦しさや伝わらなさを表に出して問題の認識を共有できるようにするという意味あいがあります)
2回目:交流分析初級講座その①。1回目であぶりだした職場のコミュニケーション上の問題を念頭に置きながら、相手を変えなければと力む前に、まず自分の心の状態を知ろうということで、交流分析の7つのジャンルのうち「自我状態」を中心に実施。
3回目:交流分析初級講座その②。この回が全体のヤマ場です。交流分析という心理学の中で私が最も中心的な知恵だと感じている「ストローク」を中心に実施。
4回目:交流分析初級講座その③。「人生態度」や「心理ゲーム」などについてワークをしていただきながら自分を深く知るというプロセスを踏んでいただくことで、他者とのコミュニケーションのより良いやり方をそれぞれに考えていただく。
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経営者の意向により、なるべく全社員に共通認識を持ってもらいたいということで、外国人技能実習生の方々も参加されました。これは驚きでしたが、参加者の1/3以上が外国人技能実習生だったことで、インストラクションプランよりも、この方々に果たして伝わるだろうかという不安が大きく、事務局の方にお願いして、日本人だけ、外国人実習生だけでグループになることがないように、また、私の説明でわかりにくい日本語があった場合は、外国人の方々に解説していただくようお願いしました。
1回目は模造紙と付箋紙を使った全員参加型のグループワークでした。お客様情報のためその模様を掲載することはできませんが、後から役員さんからこんなに活発に意見が出てくるとは思っていなかったと驚きの声を伺いました。
当然コロナ下での研修でしたので、全員マスク着用、ソーシャルディスタンスをある程度保ってということでの実施となりました。
1回目のグループワークは通常行うような大部屋で講師が各グループの間を歩き回るというようにはできず、複数の部屋に分散して取り組んでいただいたので、オペレーション的にも大変ではありましたが、なんとかファシリテーターの役を務めることができました。
縷々お伝えしてきて、最終日には次のようなまとめをしました。
①自分らしく気持ち良く過ごせる時間をより長くしていきましょう。
②会社で一緒に学んだ意味は、より心地よい有意義で価値あるコミュニケーションになるよう、コミュニケーションの質を向上させることです。
③職場でも家庭でも、意図的に、肯定的ストロークを出すように心がけてみて下さい。
大きく感謝しているのは、私の依頼を受け止めていただき、幹部の皆さんもしっかり参加していただいたこと、幹部の中でも中心的な方が心理学や職場のコミュニケーションの重要性を感じておられ、交流分析の研修という提案を的確に受け止めて下さったことです。おかげで研修の準備から当日の運営、各日の研修終了時には毎回こういう事象があってどうすべきかといったご相談にもお越しいただき、有意義な取り組みになったと感じています。
時間の関係で、最終回に参加者の方々から1回目にあぶりだしたコミュニケーション上の問題に対して、それぞれの立場でどのように向かっていくかといったことをお尋ねすることができなかったのが反省点ではありますが、それぞれにおいて学びを深めていただき、またお目にかかれる機会があれば、ともに考えさせていただきたいと思っています。