数年前に友人から紹介された本、小出宗昭氏の『カリスマ支援家「小出宗昭」が教える100戦100勝の事業サポート術』をようやく読んだ。
この人は静岡銀行の出身で経営支援の仕事に携わった末に公的支援機関に出向し、4年ほど前に独立されて企業支援の仕事をしつつ、最近は政府の中小企業施策を担うナントカ委員とかいうのも務めておられる。
そういう人なので、公的機関におけるコンサル手法の本かと思っていた。そういう要素もあるにはあるが、この本の底流にあるのはご自分の後輩たちである、現役の金融機関職員に対する熱いメッセージだと感じた。
つまり金融機関が地域の経済を時間をかけてでも活性化していくためには(それが長期的な経営基盤の強化にもつながるのだが)、これまでのような「融資可能可否」を決算書から判断するという単眼的なものの見方ではなく、経営者や企業としっかり向き合ってその光るポイントを見出し、お金以外も含めた支援ができるようになって欲しい、というメッセージである。そのことを繰り返し巻き返し、本の中で何度も訴えている。とはいえ現実の金融機関は営利企業であり、長期的な取組みだけやるわけにもいかず、企業支援というものは現実的にはやはり公的機関に恃むところ大であろう。
コンサルの進め方や心構え、日ごろの勉強方法や経営者との接し方など、学ぶべき点も多い良書であった。