高田崇史さんの『カンナ 飛鳥の光臨』。
蘇我馬子と蝦夷と入鹿の三人分の仕事を、聖徳太子という仮設(仮に設定)の人物の業績にしたのでは?という仮説(仮の説)を下敷きにした推理小説である。
既に聖徳太子=推古天皇=蘇我馬子という説は人口に膾炙されており、特段奇矯な説ではないものの、そこに至る推理の展開の仕方や、法隆寺金堂の釈迦三尊像が蘇我氏三代(三人)の崇りを鎮める目的で“三体”なのでは?という考え方などは面白い着眼点だと思った。
一話完結ではなく、犯人やその目的や背景などいろいろなものが次回以降に引き継がれてしまっているので、ありゃりゃ、また続きを読まなきゃいけないのか、と面食らったが、面白い小説であった。