去年の大晦日、書店に行ったら、文庫のコーナーが気になって、ついつい最近の若者が読んでそうな感じの本を数冊まとめ買いした。
今、並行してそれらを読んでいる。
真っ先に終わったのがこの本だ。
私も本が好きなので、古書店というネーミングだけで惹かれてしまうところがある。
学生時代、神田神保町にはよく出かけたものだ。
さて、この本は、神田神保町ではなく、鎌倉にある三代続く小さな古書店を舞台にしたものだ。
しかも店主は病院に入院しながら色々な事件を解決していくというもの。
世に「安楽椅子探偵もの」というジャンルがあったような気がするが、これもその系譜かも知れない。
主人公は自分のことを「俺」と表現する23歳の読書まったくしない男性であるが、気持ちが実にいい若者だ。
この若者の視線を通し、古書店主(女性)が〝探偵〟の役回りを務める。
とても内気で社会との関係がうまく結べないような女性だが、本のことになると、それも古書のことになると俄然人格が変わったように元気になる。
彼女退院したら、一度この古書店を訪ね、お目にかかってゆっくりお話を伺いたいものだと思う。
一冊の文庫本に見事に起承転結が入っている。
小気味良いストーリー作りだなあと思う。
本の雑誌2011年文庫ベスト1らしく、私が購入したのは発売9ヶ月で既に第15版である。
Part2も出ているようなので、是非読んでみようと思う。