三橋貴明氏の『国民の教養』

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 新進気鋭のネット評論家、と言えばいいか、三橋貴明氏の『国民の教養』を読んだ。
 一読の価値あり、である。
 この人の方法論は、「言葉の定義」と「相対化」である。
 「言葉の定義」は文字通り、世の中で普通に(さも当たり前、常識、のように)扱われる、それらしい言葉を、本当はどういう意味合いで使うべきか、その言葉の通りになったらどうなるか、といったようなことを丹念に定義づけること。
 思い込みや通説で、定義づけられることなく、言葉が独り歩きしているケースが少なくない昨今にあって、これは基本的に重要なことだ。
 また「相対化」は、あるデータがあると、他の数値を比較対象のために引用したり、他国や他者や過去と比較することで、そのデータが本当にいいのか悪いのか、相対的に見てどうか、ということを、これも丹念に行っている。
 その結果、○○は世の中で言われているほどひどくない、とか、風評よりもはるかに深刻な問題を内包している、といったことが露わになってくる場合がある。
 科学に立脚する現代ニッポンでは、そういう手法を用いて私たち自らが判断して行動するのは、当然だと思うが、実際には人は思い込みやすり込みで結構動かされてしまうものだ。
 だからこそ、『経済は感情で動く』などという理論が当てはまったり、アダム・スミスの前提がありえない人間像・情報社会像をモデルにしたり、ということになっているのだろう。
 ということで、本の内容には言及しないが、この人の本、最近やたら沢山出版されている。
 方法論をあらためて学ぶ、その方法論で著者が導き出した結論を<一般的な常識とは異なる見方がある>という観点で学習する、という点から、どの本でもいいと思うが、一読する価値はあると思う。

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