塩野七生さんの『ローマ人の物語25(文庫)』

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 随分長いこと離れていた『ローマ人の物語』久しぶりに通勤の帰り電車の中でひもとき始めた。
 今回は<No.25 賢帝の世紀(中)>である。
 今回の主人公は、ハドリアヌス帝。
 ハドリアヌスといえば、ローマ帝国で最大の版図を支配した皇帝ということで、確か世界史で習ったような気がする。いや、最大版図はその前のトラヤヌス帝の時であったろうか。
 五賢帝という言葉もよく耳にする。
 何がどう賢帝なのかわからなかったが、アウグストゥスのような哲人政治家がいたり、狂気の皇帝がいたり、はたまた周辺各国の反乱と戦ったりした動乱の百年を経て、安定かつ異国人を沢山抱えての治世において、駐留軍のモチベーションアップや法体系の整備など色々な仕組みをアップデイトした人たちだったようである。

 それにしても塩野さんはカエサル好きである。
 カエサルが亡くなってすでに100年も経っているにもかかわらず、いまだにカエサルの話題が出てくる。
 やれカエサルが作った制度が今も生きている、カエサルが作った町が活気だ、カエサルの創設した軍の仕組みがしっかり機能しているetc.
 しかもハドリアヌスがカエサルと似ているとまで。
 その演説のうまさ、発想の独創性などなど。
 かえすがえすもカエサルが好きなのだろうと思う。
 そういえば、塩野さんはマキャベリも大好きなようだ。
 現実をしっかり見つめ、やるべきことを鉄の意志を持ってやり抜く人が好きなのだろう。
 しかもそのやるべきことは、個人の好き勝手、ではなく、歴史の必然としてやらなければならないこと、なのであって、我儘を決して許しはしない。
 私は、毅然とした塩野さんの文章が好きだ。
 さ、次は<賢帝の世紀(下)>に入る。

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