とやまキトキトBIZねっとという異業種交流会&勉強会がある。
今日はその33回目の例会であった。
今日のテーマは「私の人生に影響を与えた一冊」ということで、運営委員4人がそれぞれ自分の人生に影響を与えた本を紹介するというものだった。
初めの講師は、某公的機関に勤務するIさん。
紹介本は沢木耕太郎氏の『深夜特急1~6』(新潮文庫)。
私も「1」は持っているが、まだ最初の数ページを読んだだけで止まっている。(こういうのは読んだとは言わない)
彼は大学時代にこれを読んで、卒業直前にインド旅行をしたらしい。
そこでまさしくインドらしい大変な体験をしたということだが、思わず藤原新也氏の『印度放浪』を思い出した。
<人間は犬に食われるほど自由だ>というコピーと犬に食われている人の死体が衝撃だった。
二人目。
某金融期間勤務のH氏。
渡邉美樹氏の『渡邉美樹の夢に日付を!夢実現の手帳術』(あさ出版)である。
ご存知、今をときめくワタミフーズのCEOであり、テレビなどにもよく出演されている。
(この本は私も読んだ)
人は皆色々な願望や夢や目標を持っているが、おざなりになっていないだろうか。
いつ実現・達成したいのか。
具体的な達成目標時期がなければ、ただの願望でしかない。
実現したい時期をはっきりさせれば、そこまでのステップやプロセスが見える。
具体的なプロセスが見えれば、実現可能性はぐっと高まる。
そうやって日付を入れていくことで、自分の願望を引き寄せることができる、という話。
この本が凄いところは、著者の渡邉美樹さん自身が、それを実践し、かつ実現している最中の人物だということである。
事実は何よりインパクトがある。
三人目は独立コンサルタントの成川友仁氏。
本は中根千枝さんの『タテ社会の力学』(講談社学術文庫)他の三部作である。
中根千枝さんは、私も大学生の時に、日本の文化人類学の先駆者の一人として知り、本も何冊か買った覚えがあるが、残念ながら数ページめくって断念してしまった。
中根さんの言う<タテ社会>というのは、もちろん日本の社会構造を分析したものであるが、いわゆる上下関係がしっかりしている社会、という意味ではなく「ムラ社会」であり、ある共通の属性を持つ人々がすぐに群れたがり、コミュニティを作り、その中で上下関係を構築し、その中のルールで部内者部外者を分け、規範ができてしまう、ということを指しているらしい。そのため、たとえば「いじめはいけない」というような常識的なルールがあっても、そのコミュニティの中にもう一つ別のルールがあると、いわゆる二重規範ができ、構成員はその規範のギャップに苦しむ人、平気な人が出てくる。苦しむ人は本来的には正常な人なのだが、コミュニティ内部の規範に従わないと、異常な人として排斥される。
これが中根千枝さんが分析した「タテ社会」だろうと思う。(すみません、私の解釈も入っています)
この本は大変読みやすいということであったので、早速買ってみようと思う。
しんがりは今年独立開業を果たした中野英一郎氏である。
本は色川武大氏の『うらおもて人生論』(新潮文庫)である。
いやっ。これは知らなかった。
<プロはフォーム>
<フォームを崩してはいけない>
<得るものがあれば失うものもある>
<何かを失ってこそ、得ることができる(拘泥してはいけない)>
<中途半端な反省はしない方がいい。(角が取れて丸くなって特長がなくなるから)>
最後の箴言は「角を矯めて牛を殺す」という中国の格言にも共通する。
自分らしさを大切に、ということだろうか。
<プロは6勝って4負ける、それを維持すれば負けることを恐れなくて良い>
含蓄だ。
この本も買っておこう。
ということで、大変刺激に満ちた1時間であった。
本を紹介し、さらにそれにまつわる思いを語るということは、自分の人生の一部をさらけだすことでもあり、大変勇気のいることだと思うが、そういうのをものともせず、開陳して下さったのはありがたいことだ。
講師の皆さん、お疲れ様でした。そして、大変ありがとうございました。