加藤和彦さんの死の報に接して

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 今日の朝刊で加藤和彦さんの死を知った。
 自殺であろうとのこと。
 62歳。
 まだ若い。
 私が最初にこの人の音楽に接したのは、確か小学校の5年生の頃か。
 従姉の部屋でサディスティックミカバンドの「タイムマシーンにお願い」の入った「黒船」というLPレコードを聞いたときだったと思う。
 もう40年ほど前になる。
 「あの素晴らしい愛をもう一度」を聞いたのは、その後である。
 作られたのがどっちが先だかは知らない。
 フォークを聞いてからロックを聞く、というのが順序だとしたら、私の場合は、この小学校の時の強烈な音楽体験があったために、一瞬普通とは逆の道筋を通ってしまっている。
 従姉は当時中2ぐらいだったろうか。
 彼女の年齢からすれば、そういう音楽を聞いても不思議はないが、魚津という田舎町の普通の中2の女子生徒が聞く音楽とすれば、今から考えてもちょっと先進的というかとんがっているというか、いい感性してるじゃん、と思う。
 その薫陶を受けた割には、「タイムマシーン」以外の曲は「変な音楽だなあ」と思ってしまい、それ以上にはならなかった。
 でも、ミカさんのあの狂おしいほどに透きとおった声は、ずっと耳から離れなかった。
 その後、ヨーロッパ三部作と言われる一連のアルバムでまたヒットを飛ばしたり、安井かずみさんとの夫婦生活を著した本など、素敵な生活を送っておられるなあと憧れを持って加藤さんの仕事や人生を眺めてきた。
 ヨーロッパ三部作では「ケスラー博士の忙しい週末」「トロカデロ」という曲が大好きだ。
 エレガントという表現がいいのか、スタイリッシュという言い方がいいのか、繊細、優雅、心地よいメロディライン・・・。
 とにかくかっこいい。
 そんな加藤和彦さんが亡くなったのはかえすがえすも寂しいことだ。
 木村カエラを迎えて第三のミカバンドを結成したと新聞記事には書いてあった。
 第二のミカバンドのアルバムも買ったが、第三でまた「タイムマシーン」や「どんたく」をやっているのなら、是非聞きたいと思う。
 軽井沢で首を吊っていたとのこと。
 何年か前に先立たれた安井かずみ夫人との思い出の場所ででもあったのだろうか。
 安井かずみさんがおられなくなって、すっかり寂しくなっておられたのかも知れない。
 だからと言って、自殺だとしたら、それは良くない。しかし加藤さんは既にこの世にはいない。
 死を悼み、残された音楽(又はその先進性、未来志向)を継いで行こう。

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