森のゆめ市民大学受講

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 友人からの突然の誘いで「森のゆめ市民大学」というところへ行ってきた。
 場所は魚津市天神山付近。
 元の洗足学園短大があったところである。
 今は「新川学びの森 天神山交流館」という施設になっている。
 高台の、大変学習には良い立地なのだが、洗足学園が撤退してからは、生涯学習向けの施設としてなんとか建物やいくばくかの設備が残っていることが救いか。
 それはさておき、魚津市の山の中の施設の「市民大学」とはいえ、そんなに人も集まらないだろうし、地域の文化人の講演的なものかなと思っていったがさにあらず。
 田中優子という方の講演だったのだが、紫綬褒章までもらわれている、法政大学の教授である。
 江戸学の研究者だという。
 驚いたのはもう一つ。
 この「市民大学」は、故筑紫哲也氏が学長をしておられ、福岡政行氏と稲本正氏という方が副学長をされている。
 いや、魚津駅の掲示板で見ていたような気もするが、どうせ名誉職、名前を借りているだけだろう、ぐらいに思っていたのだが、全然そうではなく、かなり熱い思いでこの「市民大学」に関わっておられたのではないかと感じた。
 筑紫氏は亡くなって既に半年が過ぎるので、当然この場には来られないが、どうも、毎度来ておられたような感じだ。
 挨拶に立たれた福岡政行氏が、大変熱のこもったスピーチをしておられた。
 今の政治情勢に関して真剣にかつ滔滔と、まるで政治演説のようにすら思えるくらい熱い語り口であった。
 えっ?文化講演会じゃないの?
 と思ったが、考えてみたら筑紫氏自体、文化人というよりも政治に深く関わってきたマスコミ人だし、その筑紫氏が熱い思いで携わってきたこの「市民大学」も、当然単なる文化講演会であるはずがない、と気づいた。
 これまでの講師の顔ぶれを見ても、中坊公平氏、江川紹子氏、塩川正十郎氏、大宅映子氏、増田寛也氏、野中広務氏などなど、政治に関係のある人が結構いる。もちろん芸能・文化の人も大勢いるが。
 ということで、今年が8年目になるようであり、会場には老若男女200人以上が参加しており、その人数の多さにも大変驚いた。
 私の友人など、はるばる富山市から、車で50分ぐらいかけて来ているのである。
 さて本日の田中優子氏。
 江戸時代は循環型経済であった、とするお話だった。
 そしてそのためには、農村があることが前提条件であった、ということである。
 確かに現代よりも文明レベルは低いが、人や動物の排泄物、衣類の最終処理、魚介類の最終処理、などなど、あらゆるものが最後は土へ肥料として使われていたらしい。
 しかも人々の生活必需品の多くは農家で生産されており、農民は農民というよりも衣類や紙などの製造業者であり、家屋の建設業者であり、屋根などの修理業者であり、栽培家でもあり、すなわち農業だけに留まらず、百姓というのが、その仕事のバリエーションの広さ、技術レベルの高さからみてふさわしいのではないか、ということであった。
 田中氏は、バリバリの市場経済主義者であり循環経済論者の田中氏とは立場を逆にしてきた、中谷巌氏と最近講演を一緒にすることが多いと言っておられた。中谷教授は『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』という本を出し、小泉行革の旗振りをやった自らの立場について、懺悔のためにこの本を書いたらしい。
 本の売れ行きは好調で、既に20万部も売れたとか。
 反省して20万冊もの本が売れるというのはやはりネームバリューであろうか。
 それにしても、こんな片田舎の魚津の山で、これほど格調の高い勉強会が行われていたとは知らなかった。
 それも8年もずっと継続されて。
 世の中にはまだまだ知らないことが多い。
 連絡をくれた友人に感謝!

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